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集中できない自分にとって、理想のデスクは「モバイル」だった話

テレワークに悩み、自分にとっての理想のデスク環境を試行錯誤した結果、ちょっと不思議なデスク+バッグのモバイルワークデスクが誕生しました。

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ここまで約1年振り回されたテレワーク。良いことも悪いこともありますが…オンとオフの境目がつけづらい自分にとって、悩ましかったその間を埋め、リラックスして働ける方法が見つかった気がしています。
今回、ようやくお知らせできる段階になったので、そのプロセスの中で見つけたテレワークのスタイルにおける発見や、デザインの背景をまとめておきたいと思います。
(製品詳細ページや販売など関連リンクは末尾にもまとめています)

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(ベッドでだって働けます。モデルはテスター第一号のAtsushiさん)

2020年3月、テレワークが始まった

もう正しくは思い出せないけど、2020年の3月下旬だったたはず。本業でちょうどオフラインのセミナーのような業務も催していた自分は、仕事のコロナの影響もそれなりに早い段階から風向きを実感していました。騒ぎの前後には手持ちの機材でオフィスでオンライン配信のトライアルを始めたり。

しかし予想を超えてあれよあれよと状況はエスカレートし、3月の後半には私も晴れて?まさかの在宅勤務、テレワーカーに転身。それから約半年、全ての業務が在宅でオペレーションされる結果になりました。

素敵なデスクが続々SNSに上がる中、私の選ぶ道は?

晴れて自由な在宅ワーカー!と思った私。ですが、当初しばしフリーズしました。何しろまともな場所がない。家族3人狭い賃貸で住まう私には、もう私のワークスペースを構築する余裕は皆無でした。

帰って寝られればいいぐらいのつもりで部屋を借りていた一人暮らしの方も、もしかしたら似たような想いを抱いていたのでは。

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(残念ながら登場する写真は私の家ではなくAtsushiさん宅)

noteでもお馴染みのとおり、この頃SNSには次々と広大で美しいワークスペースがアップされ始めますが、私に新たにデスクを置けるような場所はありません。世間とのギャップにエーンと泣きました。

折り畳みデスクなども一時よく売り切れてましたが、デスクを置くとは椅子も置くということだし、設置物を増やすのは狭い家の中の課題をのちのち増やすことで、これも一旦見送りました。

そもそも優柔不断な自分。この状況は来月にも終わるかも知れないぞ!?という気持ちがよぎると、間取りに大ナタを入れるまでは勇気は出ず。

地獄のダイニング

我が家で私が使える唯一の机、それはダイニングテーブル。とりあえずそこで仕事を始めることに。

…即、「このままじゃダメだ」と、ここから自分にとってベストなワークスタイルを探す長い旅路に出る決意をしました。
なぜ、自宅、ダイニングはここまで仕事に向いてないのか…あまりにも働く環境としてつらい。
皆さん、ご想像に難くないと思うのですが…

まずシンプルに身体が痛い。
「テーブル」と「デスク」の名前の違いが示すとおり、ダイニングは長時間の作業には全く向かないんですね。首と腰を少し前傾させながら作業するので、とにかくすぐ疲れる。8時間も働いたら痛みまで生じて、翌日はベッドから動きたくない…

1つの場所で集中が続かない。
狭い家で孤独に作業していると、没頭できる間はいいのですが、しばらくすると落ち着きがなくなってきます。気分を変えたくて家の中や外を意味もなくウロウロしたり、ベッドが目に入って誘惑されたり。
席を立ったら最後、作業が途切れてしまうのです。
特にダイニングだと、「お皿洗っちゃお」「お米炊いちゃお」みたいに、つい心に生活まで割り込んできます。なお良くない。

良くも悪くも、プライベートが確保できない。
特にビデオ会議はダイニングで最もやりづらいタスクの一つ。ちょっと移動してベッドサイドの小さなスペースなどに逃げ込むんですが、広げた仕事道具はとても移動しづらい。
逆に、家族で住まう人間にとっては良いこともありました。ゆるやかに誰かと時間を共有しながら仕事ができるので、これはメリットとなることも(ちょっとした宅配便の応対レベルでも)。

道具が散らかる。
ダイニングに本来全く関係ない仕事道具は、オフの時にはそれだけでノイズ。テーブルが大渋滞。というかご飯の準備ができない。道具も広げておけないし、困りました。

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在宅ってオフィスより不自由かも

自分の裁量を持って働きやすいのが在宅ワーク…という期待がどこかにありましたが、ここまで過酷だったとは想像だにしませんでした。思えば、オフィスの方が自分の席以外にも会議室やフリースペースなど様々な作業や気分を紛らせる環境があったり、オフィスの方が自由だったのでは…とすら思えてきました。

自宅なんだからもっとリラックスして働けてもいいのでは

思えば自宅自体はそもそもつらいはずの場所ではないのです。ベッドではリラックスできるし、なんなら多少はこだわって選んだはずのソファーもある。うちはたまたまベランダの陽当たりも良いのでした。

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せっかく家の中にあるいいスペース、これ、仕事にも仕事に活かせないかな?なんならこれら全部で仕事ができたら生産性も上がってしまうのでは?
と思ったのが、自分にとっての理想のデスク作りへ走り始めた発端です。

無論、完璧に構築したデスクのワークスペースが一つあるに越したことはないと思います。でも、それ以外のスキマの部分、家のあらゆるスポットをもうちょっと仕事と馴染ませられないかな…と思ったのです。

小さくても必要なのは「デスク」なんだと気づいた、
クッション「テーブル」との出会い

そんな中、クッションテーブルというジャンルの製品を知りました。お膝に乗せて、ソファーに座りながらでも作業をしたり軽く飲食するなど楽しめるコンセプトのものです。有名どころだとビーズクッションのヨギボーが「トレイボー」という名前で売っているものです(最近テレビでチュートリアル徳井さんが石原さとみさんにおすすめしてました)。
一旦私はコレらのジャンルを買い漁ることになります…

が、ある程度は用途を満たすものの、どうも自分の目的に完璧にフィットするものではありませんでした。

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(こちらはyogibo.jpより引用「Traybo2.0 - トレイボー2.0」)

最小限のデスク、「モバイルワークデスク」を作ろう

この過程でよくわかったことがありました。
今まで触れたモノはなんだかんだ「テーブル」で、仕事のために最適化された「デスク」とはまた違ったジャンルかな…と。自分が求めていたのは小さくても「デスク」なんだなと思ったのです。

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私がクッションテーブルを使って感じたのは…

・PC作業にもっとベストを目指す、姿勢も自由に
大きなものも多いけど、サイズ感はPCにジャストでいい。重くなるし。また、食事などはできなくてもいいので、もっと自由な姿勢でPCが使えたら…

・仕事道具も含めて持ち歩きしやすくなってほしい
クッションテーブルは持ち運べるものの、いざパソコンだ充電器だ持とうとすると、荷物が手にいっぱいになって移動するにはちょっとつらかったです。じっと集中できない自分には向いてない。ワークデスクとして、仕事道具も一体になってほしい。

・ちゃんと片付いて、次の日も気楽に仕事をスタートしたい
これも重要なポイント。そもそも新しい設置物を置けないので、使わないときは存在感が小さくなること。クッションテーブル使用後に硬い板がソファーやベッドに転がってるのは結構異物感を覚えていました。
ちゃんとしまえれば、生活の邪魔にもならず、次の日もそれをパッと手に取るだけで仕事が始められます。

・最後に、もっと暮らしに馴染んでほしい
いわゆるビーズクッションに板をつけたクッションテーブルは、形状がなまめかしく、あえて極彩色などが選ばれています。嫌いではないのですが、自分の身体の延長線としてのデスクとしていろんな場所に持ち運ぶにあたって、せっかくだからどこでももっとマッチするものにならないかなという悩みもありました。

たまたま自分は趣味の延長で友人のデザイナーとものづくりをするデザインユニット「ファーイーストガジェット」というプロジェクトを営んでいます。彼とこの悩みを議論することから始まり、ここから約1年、「モバイルワークデスク」の誕生に関わることになったのでした…

見えてきた理想的な持ち運べるデスクの条件

というわけで、春からもう一度春が来るまで、試作品を何度も作りながら、しかも東京・名古屋でメンバーが離れていることもあり、リモートで実物をやりとりしながらの開発が長く続きました。
細かい試行錯誤はここでは省略しますが、モバイルワークデスクとしてそのデザインが至るまでに、いくつか気がついたポイントを記しておこうと思います。

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後傾姿勢が大事。首・腰ができるだけ前に曲がらない
ごはんって、少し下を向く、前傾して食べますよね。でもパソコンを長い時間作業する上において、よくおすすめされている作業姿勢は後傾姿勢です(↓チェア選びの基本としても、よく出てくる話題です)。

ダイニングが向いてない理由がよくわかりました。ではソファは最適では?と思うのですが、そのまま膝にPCを載せて使おうとすると、PCがやや下になってしまうため、首や背中が丸まってしまう。丸まらないように、一定の高さや角度を加えてあげる必要がありました。
また、ターゲットをPCに特化すれば、デスクの天板は水平を保つ必要もない。テレワークで利用される方が増えたPCスタンドのように、角度をつけて使えればさらにPCが視線まで上がってきました。

PCと一体で片手で運べること
移動するには、両手が塞がってしまうと、ドアが開けられなかったり、飲み物を持ち運ぶこともできません。なのでただデスクが持ち運びやすければOKではなく、一体となって持ち運べるデザインが必要。
そのための機構も必須条件だなと思いました。もちろんPCだけでなくて、なんでもかんでも、というわけではありませんが最小限のものが入ることも。

使わないときは省スペースになること
膝に載せてる時は十分な面積が必要ですが、使わない時は少ないスペースで済む構造のアイデアが必要でした。
PCなど道具も一緒にできたらなおOK。従って、充電もできることも絶対条件。

悩みがクリアになった「デスクエニウェア」が誕生

一旦決めたサイズから思い切って変更したり、スタンドする必要なんてあるのか!?と揉めたり細かい面白エピソードはたくさんありますが、紆余曲折の結果生まれたのが、モバイルワークデスク「デスクエニウェア」です。
ここまで書いてきた、テレワークでの悩み解消や、これまでなかった持ち運べる「デスク」としての条件を備えたベストなプロダクトとして、ようやく自分たちなりの答えに行き着いた感があります。

アートボード 21@2x

ここでは簡単に写真と共にポイントを見ていただければ。
詳しくは製品詳細や、クラウドファンディングで販売もすることにしましたので、是非そちらをご覧ください(ページの末尾にリンクしています)。

ちょうどいい高さのクッション&寝ても使えるストッパー

デスク天板を支えるクッションには、弾力あるフレームとウレタンクッションが入っています。これが+約10cm、+約10度の高さを加え、ソファーにもたれたままPC後傾姿勢を実現してくれます。長時間使いたいので、1kg未満と軽いのもポイント。
急な角度で使ってもPCがすべり落ちないようにストッパーを付属しました。天板にスリットに気持ちよく収まります。これでベッドでも働けるように。やったー!(この期に及んでそれか?)

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入れたいものが多少増えても持ち運べるバッグ的収納

ここにこれまでクッションテーブルと呼ばれるジャンルの製品には存在しなかった完全独自の構造が採用されました。中にフレームを内蔵することで、広大な空間ができ、それが収納ポケットになっています。PCをはじめ、充電器や文房具などがぽいぽい入るようになりました。
優柔不断な私にとって、ここは充電器用、ここはケーブル用!など全てがジャストサイズの専用になっているのも不安でした。そのため、後々必要物が増えても多少は余裕の設計になっています。

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荷物を入れてスタンド。無印の棚にも入る!

広い収納空間を確保するために採用されたフレーム構造は、省スペース化にも役立ってくれるアイデアとなりました。そう、メインの写真の通りデスクエニウェアは自立します。面積比で言えば使用時・未使用時で1/3くらいになるのです。しっかり構造が入っているので、重いPCが入ってもしっかち立ちます。そしてちゃんと充電もできます(念押し)。
基準として、ブランドとして共通したスケールを持つ無印良品の棚に収まるようにしよう、といった目標もありました。

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最後に、家具としてデザインすること

機能的な面ばかりフォーカスしましたが、最後にブレない基準として持ちたかったのはこれは小さな「デスク」=「家具」であるということです。
家具ということは、長く暮らしの中で親しまれるべきで、それこそ使用していない時も違和感のない存在でいてほしい。「無印良品の棚」といったキーワードが出てきたのもそのわけがあります。
そのため、さまざまなこだわりは欠かせないものでした。

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・天然レザーハンドル
持ち運びのハンドルは、デスクエニウェアのアクセントにもなっています。パートナーの鞄メーカー様の協力により、栃木レザーを採用しています。

・家具用ファブリック
椅子の張り地に採用されている生地を使用しています。長く触れるものなので、耐久性と触れ心地の良さはとても重要でした。布地のニュアンスある織の風合いも魅力的です。

・リアルな板材
板材を張り合わせたシナ合板を採用しています。本物木目と手触りは、手にもとてもフィットしやすいです。ニス塗り加工なので、ちょっとした汚れなら拭き取れます。

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同じ悩みの人も、デスクのある人も。

「オン」と「オフ」の間を埋めたい

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こうして生まれたデスクエニウェア。
テレワークは多様な働き方を許容する可能性があり、良い面もうたわれるものの、より仕事との関係性が切れなくなって夜遅くまで伸びてしまったり、こもりきりになって家族や社会との関係がこじれてしまったりするという話題もたびたび見かけます。

とはいえ、実際にテレワークに振り回されていると、これが気持ちや仕組みづくりだけでどうも満足できる環境になるとも想像できていません。デスクエニウェアは、あえて「オン」と「オフ」の間にも仕事を馴染ませることで揺れがちなワークライフバランスをちょっと真ん中でおさえる、解決の一つのスタイルになればいいな、と思います。

ごちゃごちゃ能書きは垂れましたが、同じ悩みを持つ人はきっといるに違いない!その人に届いたらいいな、と感じて、商品化にも踏み切ることにしました。ただ、アイデアがあっても初期投資の大きいプロダクト生産はなかなか高いハードルです。そのため今回は、クラウドファンディングに挑戦することを決意しました。ぜひここまでで共感や、ちょっと試してやるかと思われた方は、私たちと一緒に新しいワークスタイルを体験できれば幸いです(販売ページも末尾にリンクしています。よろしければ、ぜひ)。

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想像以上に手間な「家具」と「カバン」のハイブリッド

デスクエニウェアは存在が特異な分、その生産も割と大変です。
ファブリックをまとういわゆる「カバン」の部分と、デスクや構造の役割を果たす「家具」の部分は、その製造ノウハウが違うからです。
量産にあたっては、ランドセルの製造を得意とする名古屋の鞄メーカー「村瀬鞄行」様にカバン部分の協力をいただけることになりました。

そして、その後の工程は、ファーイーストガジェットの中の人が1つ1つ対応している現状です(この辺りは、今後より早くお届けできるように、改善されていくかもしれません)。


全ていわゆるメイドインジャパン&手仕事です。お届けにちょっと時間がかかりますが、想像しながらお待ちいただけると嬉しいです。

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この動画も、そしてnoteも膝の上で

色々イイことばかり言ったけど、「本当に使えるの?」というのは、誰もが思うことだと思います。万人に言える確実な証左は私にはありませんが、この記事も、そして、デスクエニウェアを伝えるために作ったこの動画も全て膝の上で編集されたものだとお伝えすれば、多少の裏付けにはなるでしょうか。
このプロダクトが、誰かのお悩み解決、新しいクリエイティブに繋がれば、私たちはとても嬉しいです。

デスクエニウェアの詳細や購入はこちら

>販売ページ(Makuake)

>製品詳細・ブランドページ


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