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夕暮れロマンス

橙色の景色に包まれて

あなたの横顔を見ると

感情がよくわからなくなった。


煌めいて、美しいその横顔を

私だけのものにしたい。

凛々しくて、自信に満ち溢れた出立ちに

私の背中を預けたい。

河川敷から見る夕焼けに

私のあからむ頬がリンクする。


あなたはもうすぐ行ってしまう。

手の届かない、私の知らない世界へ。

あなたにとって華々しい幸せ。

そのはずなのに。

私の隣であなたは笑顔のまま泣いている。


さよなら


ありがとう


ごめんね


若年者の私たちには

これが全ての最後だった。


大事な言葉は

何も伝えられないまま

ただふたり

肩を並べ

日が沈みゆくのを

眺める。



行かないで。

好きだよ。

また会おう。



飲み込んでしまった言葉たちは

吐き出す術なくして

心臓を裂いた。

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