【マンガ感想文】高橋コウ著『ヤンキーJKの異常な愛情』

―ただ、女のコに翻弄されるのが好きなだけかも知れない

現在、kindleで【夏☆電書2020】1冊11円フェアが実施されている。

ほぼ、ジャケ買いで『ヤンキーJKの異常な愛情』を購入した。

先日ご紹介した『花右京メイド隊』も、主人公が女の子に翻弄される話。

単純にこの手の話に弱いだけかも知れないが…面白かった。

グングン、引き込まれていく。この感じ、前にもどこかであったなと…

夜中にやっていて、たまたま観た映画がツボなときがある。最近、よく使用される言葉で言うところのセレンディピティ。

この感じ、そうだ映画『箱入り息子の恋』を観たときの感覚だと思った。

不器用な二人がひかれ合って、ちょっとエチエチしてるんだけど、純愛だから、すごく爽やか。

漫画編集者の加藤一徹がJKからカツアゲされるシーンから始まる。

この設定がダメだという方は、撤退されることをオススメする。

また、実生活で起こったら、法的措置を採られることをオススメする。

カツアゲメンバーというか、ボコりを担当していたのが、ケンカが強いヤンキーJKの二階堂ライラ。

彼女の夢がマンガ家になること。出版社に原稿を持ち込み、そのとき担当したのが、カツアゲされた加藤一徹。

加藤は恐れおののくが、ライラが真剣に向かい合っていることがわかり、真剣にアドバイスをしていく。性描写があまりにも多いため、もっとフツーの恋愛を描くようにアドバイス。

すると、フツーの恋愛をしたことがないから、わからない。だから、付き合えという話になる。おののく加藤に「疑似だよ、疑似、いいマンガを描くための」とライラが言い放つ。

真剣に向き合ってくれる加藤に疑似ではなくなっていくライラ。女子高生と何かあったら社会的に終わるとビビりながら、距離感に悩む加藤。ただ、加藤はDTであるため、女性のあしらいが上手くない。

それを嗅覚で感じ取られ、エチエチしたアプローチで加藤は翻弄されていく。原作者と編集者、大人と高校生。その規範意識から、加藤は必死で感情を抑えるものの、ひかれ合っていく二人。

ライラはヤンキーJKなんだけど、マンガに取り組む姿勢や恋愛には、とってもピュア。いわゆる、典型的なツンデレなんだろうけど、嫉妬をまったく隠さないところがカワイイ。

とにかく、画がとても上手くてキレイ。特に、おっぱいの描き方がとても丁寧。その感触が伝わってきそうなほどである。一方、下半身の描き方は、少し甘い。

ただ、それは画力の問題ではなく、敢えてそうしている感じがする。下半身までリアルに描いてしまうと、作品の爽やかさが損なわれてしまうからだ。

いわゆる、出版業界を扱った内輪ネタは、その加減が難しいと思う。やり過ぎると、ただの残酷物語になってしまう。美化すれば、ただのファンタジーになってしまう。

エチエチ度、ピュア度、業界話など、色々な加減がちょうどいいのが、この作品の魅力になっているのだと思う。

セールは9月10日まで、2巻目までがセール対象となっている。

興味のある方はぜひ!!

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