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【マンガ感想文】大和和紀著『はいからさんが通る』主題歌2番の衝撃

―令和の遙か先を行っていた大正レディはいからさん

つい先日までkindleセールが行われ、『はいからさんが通る』新装版の1巻と2巻がナント無料であった。

子どもの頃から、テレビアニメ版の再放送を何回も見てきた作品である。ちゃんと原作を見るのは、今回が初となる。

1975年から『週刊少女フレンド』にて連載が開始された作品。

はいからさんの生き様は、まさにジェンダー論である。はいからさんの幼なじみ蘭丸くんは、LGBTの先駆けであると言える。少尉はもちろん、外国人問題である。現在も続く、様々な問題をどこまでも爽やかに活写している。

70年代にこの内容が描けていた、その先見性がスゴイ。

とにかく絵が美しく爽快である。男女の別なく楽しめる。

そして、心理描写の細やかさは、少年マンガではあまり見られないものだと思う。その心理状態を、モノローグを多用せずに表現しているため、むしろグングン引き込まれていく。

筆者の骨々しい表現では、大和先生の優美な世界観をとても表現できない。情けない限りである。

さて、テレビアニメ版の主題歌は名曲である。いや、中毒性すら感じる。どうも、ビートがしっかり効いていていながら、メロディアスな曲調が好みなのだと思う。

たとえば、「働きマン」の『シャングリラ』とか、「デビルマン」の『今日もどこかでデビルマン』など。

『はいからさんが通る』の主題歌は、テレビアニメでは当然ながら1番しか流れない。だから、2番の存在はかなり後で知ったが、強烈な歌詞がある。

もう うわさはききましたか
やはり あなたもとりこなんですか
がっくりくるほど ペチャパイなのに
がっくりくるほど じゃじゃ馬なのに

どうせ1番しか流れないからと、作詞をされた方の遊び心なのかも知れないが、「ペチャパイ」という言葉のセンスにがっくりくるほどである。

本当に名曲なだけに、その落胆は少なくない。

作曲もされヴォーカルも担当されている関田昇介さんが、よくOKしたなと思う。このあたりの秘話が聞いてみたいと思う。何より大和和紀先生は、この歌詞をどう思っていたんだろう。

いずれにせよ、強くてピュアな女性キャラクターに筆者が弱いということだけは、間違いがないようである。

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