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【コラム】アオハルノレキドク

―わら半紙のような低品質な紙と、それに反比例する高品質な中身

すっかり、kindle端末を利用した読書が普通になってしまった。ブックレビューやパッチワーク書評に使用する本は、基本的にkindleで利用可能な本である。

kindle端末を使用するようになると、必然とAmazonのホームページを見る機会が増えていく。そうして、膨大な書籍情報に触れるうち、非常に悲しい出来事があった。

―新人物往来社がなくなっていたのである

今も本棚の一角を、新人物往来社の本が占めている。新人物往来社は、歴史図書専門の出版社。アカデミックとエンタテイメントの架け橋のような存在だった。

他社の歴史関連書籍の参考文献でもお馴染みの出版社であった。もちろん、「知ってるつもり?!」や「驚きももの木20世紀」などの教養系番組では、エンドロールの常連にもなっていた。

新人物往来社と言えばコレ!!

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ライフガードで有名なチェリオが親会社だったのである。新人物往来社を代表する雑誌『歴史読本』の裏表紙は、決まってチェリオ商品の広告だった。

飲料メーカーが歴史の本を出版していることが面白いと、何度かテレビにも取材されていたように思う。

2008年に中経出版の傘下となり、2013年には中経出版に吸収合併され解散。さらに、同年に中経出版がKADOKAWAに吸収合併された。雑誌『歴史読本』は2015年秋号を最後に休刊となった。

『歴史読本』は“れきどく”と歴史ファンから親しまれていた。筆者にとっても、アオハルの1ページであったことは間違いない。まだ、青春という言葉には抵抗がある…。

筆者は5年ほど前、図書館司書の資格を取得した。図書館司書には、レファレンスサービス(利用者の質問に答える)があるため、いわばリベラルアーツとして、各分野の参考資料や雑誌などを学ぶ機会がある。例えば、科学なら『NEWTON』という具合である。

歴史分野では、もちろん『歴史読本』が挙げられていた。しかしながら、その時すでに大変な状況となっていたのである。

れきどくの編集者は、今も残っていらっしゃるのであろうか。れきどくの一部はkindle化されている。長く支えて来られた編集者の方々へ、少しでも収入になればと、kindle化されているものは、すべて購入させていただいた。

出版社の趨勢の厳しさを思いつつ、身体の一部がもがれてしまったような、寂しさを感じた。

そこで、改めて読んでみると、新人物往来社刊の本は中身が濃い。いや、濃すぎるかも知れない。

もう、古本でしか入手できない貴重な本から、面白い話を【れきどくコラム】として紹介していきたいと考えている。

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