【ニュースコラム】図書館司書の新たな肩書き―令和の中西進さんが発案

―民主主義の根幹を図書館が支え、その図書館を司書が支えている

あまり利用しない方にとっては、不要にも感じられる図書館。

しかしながら、“知る権利”を誰もが公平に享受できる、民主主義の根幹を支え、社会生活を豊かなものにする、重要な社会教育施設である。

個人的にはkindleによって、利用は激減してしまった。さらに昨今は、利用を制限せざるを得ない状況が続いている。

そのような状況の中、読売新聞に図書館に関する、記事が掲載された。

 図書館職員が司書であることをアピールし、専門家としての役割を知ってもらおうと、京都市図書館が今年度から導入した肩書が注目されている。「主幹司書」「上級主幹司書」といった司書専用の「呼称」を独自に設け、対外的にも活用する。京都市中央図書館長を務める国文学者の中西進さん(91)の発案で、「司書の社会的な地位向上につなげたい」との思いが込められている。

図書館司書は、大学や短期大学で決められたカリキュラムを受講して、単位を取れば取得できる資格。本好きからすれば、興味をそそられる資格のひとつであろうと思う。筆者も当然のことながら取得した。単なる利用者という立場からは、見えてこなかった視点を学ぶことができた。本との向き合い方がまるで変わってくる。

通常の講義と被らないよう、だいたい5講目(どの大学でも16:30以降であろうか)以降に開講される。それは、有り難いのだが、なかなかハードなスケジュールであった。週に2度ほど、朝9時から専攻科目の通常講義に始まり、5~6講で司書課程を受講して、終わるのが夜8時ということがあった。

にも関わらず、半数以上の受講者は女性である。女性に大変人気のある職業のひとつ。記事でインタビューに答えている司書さんも、女性である。

図書館業界は、実に様々な問題を孕んでいる。それを、書き始めると長くなるので、また改める。

京都市にある図書館を何度か利用したことがある。いい意味で司書さんのレベルが違っていた。とにかく、丁寧かつ迅速な対応だった。実のところを言うと、レポート課題を提出するために、敢えてやっかいな質問をしたのだが、イヤな顔ひとつされず、わざわざお電話まで下さった。女性ならではのきめ細やかな対応であったと思う。それは、京都市が長年にわたって、図書館に力を注いできた結果であろう。

 資格を持つ専任職員の割合が85%(19年)と全国トップの滋賀県は、人口100人当たりの貸出数も東京都に次ぎ2位(18年度)。「研修に力を入れており、質の高い司書の存在が利用の多さの一因だろう」と県教育委員会の担当者はみる。

京都市と同様に滋賀県も図書館に力を注いできたようである。図書館は、市町村単位のバラつきが大きいサービス。県単位で力を注いでいるのは、珍しいケースであると思われる。

図書館司書に新たな肩書きを設けることは大いに賛成だが、全国一律にこの運気が盛り上がるとなると、少し戸惑いを感じるのが正直なところ。

同協会(日本図書館協会)は、図書館運営の中核を担う人材の育成を目的として独自に「認定司書」制度を導入。10年以上の実務経験や研修の受講、論文執筆などが条件で、全国で175人を認定している。

全国一律に広げるのであれば、こういった何か基準のようなものが必要となる。図書館は内外にある諸問題を解決しながら、目的を見失わず、さらなる向上を目指してほしい。

多くの図書館では、市民へ向けた利用のガイダンスが行われてきた。それは、あくまで利用価値という側面からのアプローチである。存在価値という側面からアプローチするガイダンスがあってもよいのではないかと思えてならない。


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