Kacha 生成AIと権利侵害と東雲うみさんと。
■はじめに
本日、Xで東雲うみさんのこんなポストが流れてきた。
どうやらAIのアプリ広告で勝手に画像を利用され、キスをする動画が流れていたようでその注意喚起だった。
この投稿を見てこう思った。
「なぜこんな事になったのか」と。
■使用された画像の確認
まず、画像に使われている両者が誰なのか。
どんな画像を使われているか確認する。
女性についてはポストされている東雲 うみさん本人である。
グラビア・コスプレイヤーとして活躍されている方だ。
使われている画像はinstagramに投稿されている以下の画像の様である。
https://instagrammernews.com/detail/3139402305840222236
では男性の方は誰だろうか。
どうやら調べてみると、モデルとしてメンズノンノでも活躍されている栄莉弥さんという方の様である。
この両者の画像を利用して動画を作成した様である。
■制作会社「ASTRO INFINITY」
さて、ではこのアプリの制作会社について調べてみる。
このアプリKACHAはどうやらASTRO INFINITYと言う会社の制作によるものであるようだ。
このASTRO INFINITYだが、どうやらシンガポールにある会社の様である。
ちなみに、会社HPを見て見ると1ページしかないあまりにも怪しすぎるサイトだった。
もう少し何とかならなかったのだろうか。
これでは騙せるものも騙せない。
ちなみに住所からグーグルマップで見て見たが、良く分からなかった。おそらくこの辺である。
なお、活動履歴を調べてみると(真偽はちょっと怪しいサイトだが)2023年11月頃から同じくリリースしているパスポート写真作成アプリと共に、アップデートを繰り返している様である。
https://www.appbrain.com/dev/ASTRO+INFINITY+PTE.+LTD./
■「Kacha」とは
Kachaについてももう少し調べてみると、専用サイトを見つける事が出来た。
日本語への翻訳が怪しい所は置いておいて、結局は「画像をSNS映えする良い感じに出来るよ」でしかなさそうだ。
価格を見て見ると、1画像=1クレジットだと仮に仮定しても10画像で9.9ドル。日本円で1,500円前後だろうか。
日常的に使うインフルエンサーや承認欲求のお化けであれば、安いと感じるのかもしれない。本当に「良い感じ」に出来るのであれば、だが。
ちなみに、各SNSへのリンクも存在した。
※招待しているディスコードのリンクが同一である為、Xの2つのアカウントは同一の運用であると想定。
非常にどうでもいい事だが、公式Xだとしたら趣味前回のフォローは如何なものだろうか。
残念ながらKachaは私の趣味には合わない。使う事はなさそうである。
■考察
さて、ここまで調べて当初の疑問「なぜこんな事になったのか」について考えてみる。
広告を出す前に当然チェックは入るだろうが、プラットフォーマー側で「誰」が写っているかまではチェックしないだろう。
つまり、「2枚の静止画からAIでキスの動画を作る広告」としてはプラットフォーマー側は問題無いと判断せざる得ないだろう。
では、ASTRO INFINITY側はどうだろうか。
広告を出す際に何の画像を使うかを選択するはずであるが、それをネットで適当に拾ってきてしまったのだろうか。そんな事あり得るのだろうか。
(人為的では無く)クローリングで勝手にイケメンと美女の画像を拾ってきた、と言うのが一番あり得そうな話である。
まぁ、AI画像を生成する会社なら拾ってこないで自分で生成しろと言いたいところではある。
しかし、これが仮に「本人に似ている様に見えるAI生成画像」であった場合どうだろう。
かなり難しい話になってきそうである。本人は不快感を味わうだろうが、何かの権利侵害を示すことの難易度がかなり高くなりそうである。
また、これが「キスをする動画」であった事も色々な反感を買う大きな要因であったと想像するが、逆にそうでなければここまで話題にならなかった可能性があるとも言える。
つまり、「なんだか良く分からない間」に「勝手に学習された画像」が「知らない間に使われ続け」それがさらに学習される可能性すらある。
と、恐ろしさの一面を垣間見る話題だった。
■終わりに
「なんでこんな事になったのだろう」そんな思いからちょっと調べてみた。
仮にも営利目的の企業なら権利関係はしっかりするべきだし(そもそも侵害時のリスクが大きすぎる)、しないなら怪しい企業でしかない。
しかし、この様な広告を何も知らない(=悪意に触れていない)若年層が見ると思うと恐怖でしかない。