ゆきえ☆ハーブ小説家

30年苦しんだうつ病から、ハーブで見事脱却❤ わたしを救ったハーブのすごさを様々なお話…

ゆきえ☆ハーブ小説家

30年苦しんだうつ病から、ハーブで見事脱却❤ わたしを救ったハーブのすごさを様々なお話でお伝えしていきます!

マガジン

  • わたしがうつ病になったわけ

    どんな人間がうつ病になるのか? 自分史を紐解いて、考えてみることにした。 そしたら、けっこうエグかった…。 ヘンテコ人間の生成法が分かるかも。

  • わたしがうつ病を克服した方法

    30年患ったうつ病を克服すべく、あれやこれやと試した様々な方法の数々を公開! もう治らないのかも…。そんな辛い思いをしているうつ病さんやご家族のお役に立てれば幸いです。

  • ハーブ小説・エルダーの庭

    高校生の杏樹は、同級生からクラスの前で、思いがけない自分の秘密をバラされる。 傷つき学校を飛び出した杏樹。 偶然見つけたハーブカフェ・エルダーの庭で、癒しを見つけるのだった。

最近の記事

  • 固定された記事

エルダーの庭 ~ローズマリー一家~       § プロローグ

§  プロローグ 「あんたなんて、誰にも必要とされなかった子なのよ」  思い出したくもない言葉が、頭の中をぐるぐると回っていた。  実際に目の前の景色もグラグラと揺れていた。  わたし…どうしてこんなところを歩いているんだろう…  杏樹は額に浮かぶ汗を手で拭いながら、辺りを見渡した。  急な坂道の先には、鬱蒼としげる木々に覆われた山がせまっていた。  道の両脇も、大自然の力に人間が負けたように、雑草やツタで覆われた緑の荒れ地が広がっている。  確かに朝は、いつも

    • わたしがうつ病になったわけ #6

      ボケボケ娘が、突然サッカーに目覚め、日々カメハメ波をうつべく練習に明け暮れた時代もあったねぇという、第一覚醒期を向かえたというのが、前回までのお話。 時代時代で、大人が子どもに求めるものというのは違ってくるものです。 現代の子どもたちには、何が求められているのでしょう? 一時代前の物質的な成功者になれという圧力は、ややトーンダウンしているように感じます。 これが、よく耳にする「風の時代」の到来と関係があるのかもしれないですね。 わたしが過ごした子供時代は、「土の時代」 形

      • エルダーの庭 続編予告

        エルダーの庭の続編を連載していきます。

        • わたしがうつ病になったわけ ♯5

          なんとも不気味な空気をはらんだ地区で幼少期を過ごしたわたし。 そのためにいくつかの変異を経験したのであった、というのが前回の話 人生にはいつかの転換点、フェーズが変わる瞬間というものがあるように感じます。 わたしのこれまでの人生にも、ガラリと状況が変わる節目がいくつかありました。 その1つは、10歳の時にやってきました。 隙あればボケーっと妄想の世界に飛び立って帰ってこない子どもだったわたしが、ギラリと目を光らせ、男子と走り回る日々がやって来たのです。 ボールは友だち

        • 固定された記事

        エルダーの庭 ~ローズマリー一家~       § プロローグ

        マガジン

        • わたしがうつ病になったわけ
          6本
        • わたしがうつ病を克服した方法
          12本
        • ハーブ小説・エルダーの庭
          10本

        記事

          わたしがうつ病になったわけ #4

          小学校の低学年。 出血をともなうケガを負うほどのイジメにあっていたわたし。 が、しかし、本人はイジメにあっているとは気づいていなかったのです! というのが前回までのはなし。  日々まったりと自分と楽しく対話しては、ニヘラと笑っていた小学校のわたし。 キャラクターは完全に天然でした。 通学は学校まで約3キロというなかなかな距離を歩いていたのですが、妄想の世界を飛び回っていたわたしには、至福の時間でした。 田舎の通学路は、毎日目新しい景色に満ちていました。 雨の次の日は、田

          わたしがうつ病になったわけ #4

          掌編小説 「指輪物語」

           マグマとなったカレー鍋の中で、じゃがいもやニンジンが踊っている。  立ち上る香りが胃袋を刺激する。  おたまですくったカレーを、真白なご飯の上にかける。自分のものはご飯とカレーをお皿に半々で盛る。そして彼の分はご飯の白が見えないように上からかける。 「カレーできたよ」  キッチンから声をかければ、寝っ転がって本を読んでいた彼が「うん」と応えて起き上がる。  無言ながらテーブルの上に散らかった雑誌やリモコンを片付け、カレー皿を置く場所を作ってくれる。 「今日はひき肉

          掌編小説 「指輪物語」

          わたしがうつ病になったわけ #3

          小学校への入学を機に、祖父母、父の二番目の兄(障がい者だけどいいおじさん)との同居が始まった。 だが、それがわたしの気苦労の日々の始まりとなったのだった。 というのが前回までの話。 これぞ鈍感力! 小学校入学を契機にうつ症状を起こし始めました。 と書くと、学校で何かあったのかな? いじめ? って思いますよね。 ところがうつ症状の原因は学校にはなく、家庭内にあったのです。 家の中には一秒たりとも気を抜いていられる時間はない。 だけど、学校は気を抜き放題だったんだから、天国

          わたしがうつ病になったわけ #3

          エルダーの庭 ~ローズマリー一家~ § エピローグ

          § エピローグ 「こら! ブラックとベリー! そんなところ上ったらダメ!」  エルダーの庭のハーブガーデンを、二匹の子猫が走り回っていた。  黒猫がブラック。茶トラと黒のべっ甲猫がベリー。  どちらも杏樹がボランティアを始めた、動物の保護施設からやってきた子猫だ。  杏樹はその後、自信を取り戻して学校にも戻り、楽しい日々を送っているようだ。 「まだ沙也佳ちゃんとは話せていないけど、きっと、何か沙也佳ちゃんには沙也佳ちゃんの事情があるんだろうなって、思うことにしたの」

          エルダーの庭 ~ローズマリー一家~ § エピローグ

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第八話 大切な贈り物

          8  大切な贈り物  翌日のエルダーの庭には、開店と同時にお客様が来ていた。  杏樹とその父、母の三人だった。 「この二日間、うちの娘が大変お世話になったそうで、ありがとうございました」  深々と頭を下げる両親に、拓人も結も恐縮して顔の前で手を振った。 「お世話になったのはこちらの方で、昨日のランチに杏樹ちゃんがいなかったらと思うと青くなるくらいです。本当に働き者で気の利く子ですね」    その娘への褒め言葉に、両親はそろってうなずく。 「ええ、そうなんです。うちの

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第八話 大切な贈り物

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第七話 ローズマリー一家

          7  ローズマリー一家  長野の冬は厳しい。  特に標高の高いエルダーの庭は、冷たい風が吹き抜け、厳寒期には地面も凍り付いて霜柱が立つ。    でも、エルダーの庭の植物たちは、自力でその冬を乗り越えて強くなっていく。 「もちろん冬に耐えられない種類のハーブたちは、鉢にあげてビニールハウスに引っ越すんだけれど、耐寒性のある子たちには、その場でがんばってもらうんだ」  ローズマリーも、自力で冬を耐える種類のハーブなのだという。  だがその冬に耐えることができるのは、厳寒が訪

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第七話 ローズマリー一家

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第六話 猫の手

          6  猫の手  翌日も杏樹はいつもと同じ時間に、笑顔で手を振って家を出た。  何度か父と母がそろっている席で、自分の出生について尋ねようとしてみた。  だが「わたしは二人の子どもではないの?」という言葉は、喉の奥で凍りついて出てこようとしなかった。  今日も母に、紙袋に入れた玄米粉のパウンドケーキを持たされていた。 「これ、結さんと拓人さんへのお礼にしようかな」  わたしはただ逃げているんじゃない。  昨日のお礼をするためにエルダーの庭に行こうとしているだけ。

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第六話 猫の手

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第五話 逃げるが勝ち

          5  逃げるが勝ち 「わたし、何も言い返せずにただ逃げてきてしまったんです」  杏樹の告白を、拓人は黙って聞いていた。  結は涙を浮かべて杏樹の背中を撫で続けていた。 「杏樹ちゃん、辛かったね」  涙を流す結に、かえって冷静になった杏樹が力なくほほえむ。 「ご両親と話したのか?」  拓人の問いに、杏樹は首を横に振った。 「いつも通りに、学校から帰る時間まで公園で時間をつぶして帰ったから、親は何も知らないです。学校の早退も、たぶん友達が先生にうまく言ってくれたみ

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第五話 逃げるが勝ち

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第四話 明かされた秘密

          4  明らかにされた秘密  翌日の昼休みの杏樹の席の周りには、人だかりができていた。 「すごい、かわいい! もらっていいの?」 「うん。昨日、母が焼いてくれたクッキーなの。たくさんあるから食べてもらえると嬉しい」  昨日の夜、父と母と三人でラッピングしたクッキーが、机の上に並んでいた。  アイシングを施したクッキーは、アクセサリーにしてもいいくらいに美しかったし、母の手の込んだアイシングは、表情豊かなクマちゃんだったので、みんなが歓声を上げるのも納得だった。 「杏樹

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第四話 明かされた秘密

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第三話 なにものでもない私

          3  なにものでもない私  杏樹が生まれ育った東京を離れたのは、祖母のケガが原因だった。  長野で一人暮らしをする祖母が、今後車いすを必要とする後遺症を負ってしまったのだ。  そこで家族で長野に移り住むことを決め、高校から新たな地での生活が始まることになったのだ。 「お友達もたくさんいただろうに、ばあばのせいで辛い思いをさせて悪かったね」  祖母はそう言って、杏樹の手をなでた。  だが杏樹はその祖母の手の上に、自分の手を重ねた。 「ううん。わたしはおばあちゃんのそば

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第三話 なにものでもない私

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第二話 心のオアシス

          2  心のオアシス  ハーブカフェ・エルダーの庭は、こぢんまりとした、でも心地のいい店だった。  カウンターとテーブル席が3席。  高い天井にはドライハーブが下がっていて、壁に沿って設置された棚には、数え切れないくらいたくさんの種類のハーブが瓶詰めされて並んでいた。  杏樹はまだ誰もいない店のカウンター席に座っていた。  いつでも横になれるようにと、拓人に渡されたクッションも胸に抱え、目の前のキッチンで鼻歌交じりで働く結を眺めていた。 「今、心も体もうるるんって潤っ

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第二話 心のオアシス

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第一話 エルフのいる庭

          1   エルフのいる庭  最初に目に入ったのは、キラキラと輝く日の光だった。  木漏れ日が、自分の頭上に輝いていた。  風にゆっくりと揺れる葉の一枚一枚が、楽しそうに歌い踊っている。  キレイ…  心が洗われて澄み切っていくような開放感。  だが、耳に飛び込んできた声は、そんな気持ちとは正反対の緊張感に満ちたものだった。 「拓人さん、どうしよう! 救急車呼んだ方がいいんじゃない?」 「そうだな…熱中症かもしれないからな」 「でしょう! 熱中症ってバカにできないん

          エルダーの庭~ローズマリー一家~ 第一話 エルフのいる庭