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愛なき世界

小説「愛なき世界」は、三浦しをんさんの作品で、植物の研究に情熱を注ぐ大学院生・本村紗英と、彼女に恋をする洋食屋の見習い・藤丸陽太の恋愛物語です。

本村さんは、シロイヌナズナという植物に夢中で、人間の感情には無関心です。藤丸くんは、本村さんの研究に興味を持ち、植物の世界に分け入っていきます。周りには、殺し屋のような教授やイモ好きの老教授、サボテンマニアの同級生など、個性的なキャラクターがたくさん登場します。

この小説の魅力は、植物の神秘や美しさを描いた描写や、植物と人間の関係を考えさせられるテーマだと思います。植物には、人間のような愛という概念がないのに、どうして繁殖や進化ができるのか。植物には、思考や感情がないのに、どうして人間の心を癒したり、影響したりするのか。植物には、言葉がないのに、どうして人間とコミュニケーションができるのか。そんな疑問や不思議を感じながら、本村さんや藤丸くんの成長や恋の行方にも引き込まれます。

植物は、私たちの身近な存在でありながら、私たちとは全く違う生き方をしている不思議な生き物です。植物と人間の関係は、愛とは違うかもしれませんが、尊重と共生という形で、もっと深く理解し合えるのではないかと思いました。

この小説は、植物と人間の新しい関係を提案してくれる、素敵な作品だと思います。


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