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神去なあなあ日常

三浦しをんさんの「神去なあなあ日常」は、林業という職業や自然との関係について知ることができる小説です。主人公の平野勇気は、高校卒業と同時に三重県の山奥にある神去村で林業の研修を受けることになります。そこで彼は、個性的な村人たちや自然との関わり方、神去村の秘密などに触れていきます。

この小説は、林業という私にとって馴染みのない仕事を通して、自然の大切さや美しさを教えてくれます。チェーンソーや薪割り機などの道具や技術、木々や山々の種類や特徴、林業に関する用語や知識などが細かく説明されています。また、林業は危険も多く、命がけで働く人たちの苦労やプライドも感じられます。林業に携わる人たちは、山や自然への畏敬を持ちながら、「なあなあ」という中庸な言葉や考えを大切にしています。これは、「ゆっくり行こう。まぁ落ち着きな」というニュアンスで、自然に逆らわず共存する姿勢を表しています。

この小説はまた、神去村の人々や風習が魅力的で、読んでいて楽しいです。勇気の先輩であるヨキはかっこよくて面白くて優しい男性で、勇気と同じく都会から来た直紀さんは美人で頭が良くて気さくな女性です。他にも巌さんや三郎じいさん、清一さんや繁ばあちゃん、みきさんや山太など個性豊かな登場人物がたくさんいます。彼らは勇気を温かく迎え入れてくれますが、時には厳しくも指導します。彼らと一緒に食事をしたり酒を飲んだり話をしたりする場面は、和やかで楽しいです。また、神去村には神様が実在するという秘密があります。その神様は、山や自然の守り神であり、村人たちとも交流があります。神様に関するエピソードは、神秘的で不思議で面白いです。特に、最後のオオヤマヅミという祭りは圧巻で、勇気と直紀さんの恋の行方も決まります。

この小説は、林業という職業や自然との関係について知ることができるだけでなく、主人公の成長や恋愛も描かれていて、感情移入できる小説です。勇気は最初は神去村に来ることを嫌がっていましたが、次第に林業や自然の良さを見出していきます。彼は仕事や人間関係に悩んだり苦労したりしながらも、自分の居場所や生き方を見つけていきます。彼の成長は、読者にも勇気や希望を与えてくれます。また、彼と直紀さんの恋愛も素直で可愛らしくて応援したくなります。二人は最初は友達以上恋人未満の微妙な関係でしたが、次第に惹かれ合っていきます。二人の甘酸っぱいやりとりやキスシーンは、胸がキュンとします。

この小説は、林業という職業や自然との関係について知ることができる小説であり、個性的な村人たちや風習が魅力的で楽しい小説であり、主人公の成長や恋愛も描かれて感情移入できる小説であり、山や神様に関する神秘的な描写も印象的で想像力をかきたてられる小説です。私はこの小説を読んで、林業や自然に興味を持ちましたし、神去村の人々や風習に魅了されましたし、勇気と直紀さんの恋に感動しました。この小説は、「なあなあ」という言葉が表すように、ゆっくりと心地よく読める小説ですが、深く考えさせられる小説でもあります。この小説を読んでみてください。きっとあなたも「なあなあ」という言葉の意味や魅力を感じられると思います。


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