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【徹底解説】僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション【フレクト・ターンとロディの「名前」に隠された秘密とは?】

今回は、僕のヒーローアカデミアの劇場版第3弾、

「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション」

に登場するキーマン、

フレクト・ターン と
ロディ・ソウル の「名前」に着目して徹底考察してみます。

モロにネタバレを含みますので、
もし観てない場合は
一度まっさらな状態で観るのがオススメです。

その後、この考察を読んで、
もう一度、映画を観てみてください。

色々と気付きがたくさん得られて
10倍面白く観れるはず。

で、

この映画は、単純な悪者退治の映画じゃないです。

悪者、というより、

あえて言うなら
「自分の心の弱さと対峙する(弱さを退治する)映画」だと、
言えます。

登場するキーマン達が
自分の心の弱さを乗り越えて成長していく姿には、
強く背中を押されますね!

では、
さっそくゴリゴリ考察をしていきます!!

1:「フレクト・ターン」の名前に隠された秘密

まず最初の考察として、
ヒューマライズの指導者
「フレクト・ターン」という名前に着目してみます。

これは分かりやすいです。

直訳すると、

・フレクト=屈折
・ターン=方向転換

ということになり、

フレクト・ターンは、

「屈折した方向に進んでしまった人」

という意味に捉えることができます。

これは、
フレクト・ターンの幼少期を振り返れば納得です。

フレクト・ターンが
生まれつき持っている個性は

「受けた衝撃を全て反射する」

という個性。

この個性があるせいで、
自分は親からも抱きしめられたことは無いし、
心を通わせた友人もいないし、
思いを寄せた人からも拒絶された・・

と、本人が語っています。

つまり、

フレクト・ターンは
自分という存在を

「誰からも受け入れてもらったことが無い」

わけです。

これは想像するだけで、
ツラすぎる・・・。

そして、最後デクとのバトル時に
本人の口から印象的なセリフが発せられます。

それがこちら↓

フレクト・ターン

「私は私を否定する!」

フレクト・ターンは、
他者からも拒絶され続け、
ついには、「自分をも拒絶する」ことを
選んだわけですね。

そういった経緯を踏まえ、

個性こそ苦しみが生まれる元凶であり、
大地を血に染めてでも、
個性持ちを粛清する必要がある!

・・という思想を持つに至ったわけです。

かなり「心が屈折」していることが分かります。

で、ここからさらに一歩踏み込んでみます。

まず、名前に再度注目して、

・フレクト
・ターン

これらの言葉の冒頭に、

「リ」をつけると、

・リフレクト=反射する
・リターン=戻る

となります。

僕は最初「フレクト・ターン」という言葉を聞いたき、
なんとなくゴロが悪いな・・と感じたんですよね。

それは恐らく、

「リフレクト」や「リターン」という言葉のほうが
聞き馴染みがあったからだと思います。

では、
なぜ「フレクト・ターン」には

「リ」が入っていないのか?

それは、

フレクトが
「自分の心と弱さと向き合っていないから」です。

フレクトは、
すべての衝撃を反射するという個性ですが、

周囲から自分を拒絶され、
自分自身をも拒絶することで、

自分の心と「向き合うこと」を諦め、
心を「屈折」させたまま、
他者に対して責任を転嫁させたわけです。

つまり、

「間違った(曲がった)方向に進んでしまった」

ということ。

俺がこんなに苦しいのは、
「自分に個性があるせいだ」
「個性持ちが存在するせいだ」

と。

そして、

自分は悪くない、
あいつら(個性)が悪いんだ!
という考えを採用したんですよね。

最後のデクとのバトル時、

デクから

「お前は諦めたんだ。
何度もぶつかれば、触れ合えたかもしれないのに、
それをお前はしなかった」

と、言われてしまいます。

このセリフに対して、
フレクト・ターンは激怒し、

黙れーー!!と、
さらに激しいバトルへと発展していくわけです。

激怒した理由は、
デクの言葉がフレクトにとって「図星」であり、
「受け入れたくなかった事実」であるから。

とはいえ、
大切な人から拒絶され続けるというのは、
非常にツライものがあったんじゃないでしょうか。

想像すると、やはり心が苦しくなります・・。

が、
他者に責任を転嫁するのは
「逃げ」だし、

やっぱりどこかのタイミングで
「自分の心と向き合う」必要は
あったんですよね。

そのきっかけを
デクが作ってくれたわけです。

人間誰しも、
こればっかりは苦手、、とか、
こういうパターンでいっつも失敗しちゃう、、

みたいなことってあると思うんです。

例えば、

つい人の愚痴の粗探しをしてしまう。とか、
つい借金をしてしまう。とか。
なぜかダメ男と付き合っちゃう。とか。

頭ではやらない方がいいよなーと、
思っていることほど、やめられないものですよね。

やってしまっても、結局はなんとかなるし、
別に解決しなくていっか、となってしまう。

そして、自分の中にずっと爆弾を抱えたまま、
過ごすことになるわけです。

爆弾はおろして解除しようとしない限り、
ずっと背中に背負ったまま。

でも、爆弾をおろして解除しようとしたら、
もしかしたら爆発(自分の弱さを突きつけられる)するかもしれない。

そんな風に、
自分の心の弱さだったり、
自分が抱えるダメだと思っていることと
向き合うのは怖いものです。

ダイエット中につい
沢山ジャンキーなものを食べてしまった日に、
今日の合計カロリーを可視化するのは怖いですよね・・?
そんなイメージです。

自分がダメだと思っていることほど、
事実から目を背けたくなるものです。

デクは子供の頃からオールマイトに憧れて
絶対にヒーローになるんだ!と
すごくワクワクしながら育ちますが、

ある日、病院の診断で「無個性」であることが判明。

デクは絶望します、、が、
それでも、デクはヒーローになることを
諦めず、自分の心に嘘をつかず

大好きなオールマイトの動画を観ながら
お母さんに言うわけです、

「どんな困ってる人でも笑顔で助けちゃうんだよ?超かっこいいヒーローさ・・・僕もなれるかな?」

と。

でも、お母さんは
「ごめんね出久!」という言葉しか出てこない。

もちろん、お母さんには
悪気は無く、ただただ申し訳ないという
気持ちだったんだと思います。

それでも、デクは

「なれる!」と、言って欲しかった。

で、後にオールマイトから
その言葉を言ってもらえるわけですね。

フレクトも幼少期に「個性」が原因で絶望し、
デクも幼少期に「無個性」で絶望した経験がある。

同じような痛みを感じたことがある
デクだからこそ、
フレクトの行動が許せなかった。

お前は自分の弱さから逃げて、
周りに八つ当たりしてるだけじゃないか!!

と、そんな思いデクは
フレクトに対して抱いていたのかもしれません。

デクとの壮絶なバトルを経て、
フレクト・ターンの「曲がった心」が矯正され、

今後は自分の個性を「受け入れつつ」、
関わった人から逃げるのではなく、

「真正面」から触れ合うことで、
信頼を築いていってほしいなと思います。

以上、「フレクト・ターン」の名前の解説でした。

2:キーマン「ロディ・ソウル」の名前を解説!

では、続いて

「ロディ・ソウル」の名前を解説します。

分かりやすいのは

「ソウル」の部分ですね。

これはシンプルに
「心」という解釈でいいのかなと思います。

問題は「ロディ」の部分。

これは完全に僕の考察に過ぎませんが、

ロディ=ロスト

という意味であり、

ロスト=消失、取り損なった
ソウル=心

と、解釈できそうです。

ロディは
幼い頃におきた父親の失踪をきっかけに、
周囲からのイジメだったり、仲間はずれに
されます。

そんな経験を経て、

「どんなことをしてでも弟・妹を守る」

という思考に至ります。

なので、強盗の片棒を担ぐような
仕事にも手を出し、
家族のために必死なわけです。

また、
服装にも注目してほしいのですが、

ロディ・ソウル

羽織っているコートはそこそこちゃんとしているんですが、
中のシャツ、ズボン、靴も結構ボロボロなのが分かります。

これは、

ロディの「心の状態」をそのまま表現しているんです。

つまり、

「ホンネをツギハギして取り繕っている」ということ。

本当は「パイロットになる夢を追いかけたい」
本当は「真っ当な仕事をしたい」

といった思いを必死に隠し、取り繕っている。

そんな状態が、服で表現されています。

また、すごく印象的なのが
冒頭のこのシーン
(弟と妹に仕事に行ってくると言い、家を出た直後)

ここでロディは、空を飛んでいる飛行機をみて、
憂鬱そうな顔をします。

あえて、このシーンにセリフをつけるなら

「ふん、いまさらだよな・・」

といった感じでしょうか。

つまり、

自分の「パイロット」という夢を諦め、
自分の「本音」を隠して生きているわけです。

なので、

「ロディ・ソウル」

という名前は、

「心を隠している人」という解釈ができそうです。

だからこそ、

ロディの個性である「ピノ」が良い役割をしてくれます。

ピノの行動=「ロディのホンネ」ですからね。

デクが作中で言っていた

「嘘がつけない個性」というやつです。


ロディ本人は自分の心に嘘つきまくっているのに、
ピノはホンネを表し続ける。

最後、空港でデクとお別れするシーンでは
ロディは「二度と来んな」と言いつつ、
ピノは泣いてましたよね。

このシーンは、めっちゃ好きです。
最高です。秒で泣けます。

そして、さらに最後の最後。

先ほど紹介した「空を見上げるシーン」に注目してほしいのですが、

同じアングルが写り、
ロディは同じように「空を飛んでいる飛行機」を見上げます。

この時のロディの表情を、ぜひ観ていただきたいのです!!

まさに、ロディ本人の「心の成長・変化」を体現しているシーンだなと思います。

3:それぞれのキャラクターが意味するものとは?

さて、

フレクト・ターンと
ロディ・ソウルの名前について解説してきましたが、

それぞれのキャラが持つ特性を一般化してみると、

「誰もが心に2面性を持っている」ということ。

ここでは2面性を

「ホンネ」「タテマエ」という言葉で解説してみます。

例えば、フレクト・ターン場合、

ホンネ= 自分の個性を誰かに受け入れてもらいたい
タテマエ= 個性なんていらない

そして、

ロディ・ソウルの場合、

ホンネ= 真っ当な仕事をして、弟・妹を養い、パイロットになる夢を叶えたい
タテマエ= グレーな仕事だろうが、弟・妹を養えればそれでいい。パイロットになる夢なんて、いまさらどうでもいい。

という感じですね。

現実的な例えを言うならば、

ホンネ=好きなことで収入を得て、毎日楽しく生きていたい!
タテマエ=生活のためにやりたくない仕事でもやるのが当たり前。夢みたいなこと言ってる人ってちょっとイタイよねww。

というイメージです。

そして、この映画の醍醐味は、

キーマンであるロディが、最終的に
「ホンネで生きるようになる」という部分にあります。

ロディは最後、解除キーを制御システムに差し込むときに力尽きて倒れてしまいます。

が、そこで「ピノ」が頑張ってシステムに解除キーを差し込みます。

これは、

ロディの体= タテマエ
ピノ= ホンネ

を、表しています。

つまり、今までは「タテマエ」を重要視して生きてきたんだけど、デクとの出会いを経て、

「ホンネを隠し、タテマエを優先する生き方」から

「ホンネ(ピノ)を優先する生き方」へと、

「心がシフトチェンジする様子」が表現されているわけです。

デクはといえば、

幼少期からずっと「ホンネ」で生きてきました。

ヒーローになりたいと願い、
オールマイトに出会ってからも努力を重ね、

途中、

怪我をしまくって母親から心配されてしまうけど、

でも、デクは「笑顔で困った人を助ける、超カッコいいヒーローになる」という「ホンネ」を貫いてきました。

現代では、誰もが「ホンネとタテマエ」を使い分けながら社会を生きてきているわけですが、SNSの発展により、

会社では「タテマエ」を言って無難にやり過ごし、家では匿名という仮面を被って「ホンネ」をSNSでつぶやく。

なんて人は多いのかなと思います。

そういった状態が続いていると、

ある時ふいにこぼれてしまった「ホンネ」の部分が、SNSというネットワークを通じて他者を傷つけ、大炎上してしまう・・なんてことがよくニュースになっていますよね。

一昔前の時代では、「ホンネとタテマエ」を使い分けることで、上手に生活できていたのですが、

インターネットという技術が発展した今、「ホンネとタテマエ」を使わけるという「コスト」が高くなっているわけです。

ようは、「ホンネを隠すという行為のリスクが大きい」ということ。

表では人畜無害な面してやりすごし、裏では毒を吐く。みたいな生活を続ければ続けるほど、自分の中に抱えた「ホンネとタテマエ」のうち、どちらか一方の要素が大きくなり、

最終的には「タテマエ」に飲まれ、フレクト・ターンのような暴挙に出てしまうかもしれない。

逆に、「タテマエ」を優先して生きることをやめることで、ロディのように「ホンネ」で生きることを決めて新たなスタートを切ることができる、という可能性もあります。

THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッションという映画は、誰もがもつ心の2面性を気づかせてくれたのと同時に、

自分の心にウソをつき、「タテマエ」を優先させる生き方ではなく、「ホンネ」で生きることの大切さを伝えてくれたのではないでしょうか。


以上、かなり脱線しましたが、フレクト・ターンとロディ・ソウルの名前に隠された秘密の徹底解説でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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