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#創作大賞2024恋愛小説部門      タヒチの星の下1話 BL

            あらすじ

自分のアイデンティティに違和感を抱きながら成長してきた一平。
自己探求の悩みに明け暮れる彼の人生は、アメリカ留学での新たな出会いで大きく変わる。親友トムやマーガレットとの深い友情、そして恋人タオとの絆が彼の心に大きな影響を与える。タオとの愛を通じて一平は愛の喜びを知るが、タオは不慮の事故で突然命を落とす。

タオの最後の言葉 お前は一人じゃない! 一平の心に深く響き
彼の足に刻まれた太陽とバニラの花のタトゥーには、永遠の愛の象徴が込められていた。
悲しみに打ちひしがれる中その意味を理解し自分を見つけた一平はタオの言葉を胸に生き続ける決意を固める。
愛しき日々は今も続くタヒチの星の下で紡がれる二人の物語

            


        愛の形は一つじゃない 時を超えた約束

いろいろな事を整理しながら初めて愛した人のことを綴ります。
これは、個人的なものなので・・・肯定的、否定的どちらでも構いません。
それぞれの解釈で構いません。
じゃーどうして伝えなければならないかと考えると自分の為でもあり素でありたい自分らしく生きたい。と思っています。
愛するタオのため そしてボクらの歴史を残すため…….

ボクは二十代の後半の時に結婚しました。自分の真の気持ちではありません。友達たちが結婚し始めて、親の世間体もあって何度も「いい人いないのか。孫がみたい」など色々言われていました。とても悩んでいました。

アメリカから帰国し本当は、それどころじゃない精神状態でした。
傷ついているボクを彼女は、見離せなかったのか優しくしてくれました。
とても優しい家庭的な人で、痒いところに手が届くような人でした。
気がつけば一緒にいたという感じです。結婚した事実が自己嫌悪になりました。女性を見て綺麗だとかかわいいと思うのですがその体を求めたいとは思いません。アメリカでいろんなことがあり過ぎました。
仕事も順調で通訳として都内で働き、収入も新卒より多かった気がします。

元妻の実家もボクの安定した財力により順風満帆で家庭が築けて満足してるようにみていたのではないかと思います。彼女の親もボクの親も本当に喜んでくれました。女性を愛するということは、女性そのものではなく人として
性格や弱さ全てを受け入れ許してあげることの大事が必要だと思いました。

女性を求めるなんてできないと100%思っていました、努力しましたが自分を偽りながら生きていくのは嫌だと強く思い3か月後、彼女についにカミングアウト。幼い頃から同性が好きだったこと。アメリカで視野が広がり、愛する人ができたこと。でも、その愛は、永遠の別れになってしまったこと全て話しました。これがボクの全ての愛の形なんだと何も隠さず真剣に話しました。彼女は、それらを全て受け入れてくれて今でも元妻とのやりとりは続いています。そして円満に離れることができました。

         小5の悪夢

ボクの中では葛藤が既に小学生から始まっていていました。厳格な父の元で育ち自分の心を隠しながら、近くにある池の公園で大声で叫びながらストレスを発散することしかできませんでした。学校にしても高校から大学までの道が示され、将来のことを自分で決めるということすら許されなかったのです。バイトさえ許してもらえず、18時には帰宅21時には就寝と食事も決められていました。初恋は小3で女の子ではなく同級生の男子でした。

自分でも理解できず、ボクは病気なんだと…当時とても幼心に悩んでいて誰かに話すということもできないで一人悩んでいました。情報もなく、まして自分でそういった本、TVなどから情報を得ることもできないでいると小5の時に音楽の先生男(当時25・6歳)から体を触られとてもイヤでした。先生はどうして優しいのか。なぜボクの身体を触るのか。と違和感がありました。ボクは、多分、先生は同性が好きなんだな…と思いはじめ、唯一ボクの心を理解してくれるのではないかと思い、なすがまま時は過ぎ何時か聞いてみようと思っていたのです。


結局1年が過ぎ卒業、中学へと進学していきました。男友達はみんな好きな女の子の話しをしたり楽しんでいましたが、ボクは逆に話についていけず、ここでも一人で抱えていたのです。高校卒業と同時に都内の大学へ進学して、初めて情報を得ることができました。ボクは、病気だと思っていましたので、いつかは治るものだと思い込んでいたからです。考える事は、なぜ女性に生まれなかったのかということ。逆に女性の服が着たいのか?と質問されれば答えは、全く思ったことはありません。
ただ心が女性的だとだけは自覚していました。見かけは男でも中身が女性的な心だと思っていました。

大学では英語を学びたいという目標がありました。そこへシアトル留学という大きなチャンスが到来、味わったことのない解放感、男として男性を愛するそして愛される童話のような物語が展開していゆくのです。


大学に進学して、ここでは猛烈に勉強しました。何より、自分は何なのか。何を探しているのかが徐々に自分なりに解ってきました。
成績も学年で上位にくるぐらいに猛烈に勉強しましたが一番喜んでくれたのが父でした。今、思えば高校生のボクに父は何を問いただしているのか分からなくて、高校2年後期に「お前大学どうするんだ?」「青山学院大学」「慶応義塾大学」と候補を出し「で?お前 金あるの?」と聞いてきて当然バイトもさせてくれない親でしたし、当然出してくれるものと思い込んでいました。「ありません…」「親の義務教育は、高校までだから、分っているよな」どうすればいいのか混乱しました。「じゃ。立て替えてやるから、大学卒業後毎月返済しなさい」と言われ、卒業後アメリカ留学の資金、親への返済と1日3つのバイトを掛け持ち、資金を調達しました。


そして渡米-------

北米ワシントン州シアトルでは、日本では考えられないほどの自由があって、「友だち100人」という歌がありますが、100人以上いました。
みんな気さくで毎週どこかでパーティーで一時、勉強より楽しいと、よこしまな思考へ傾いた時期もありました。半年が過ぎようとしているころには毎日楽しい発見が幾つも幾つもあって楽しい思い出しかありません。

ボクは気を許せる友達になった男女友達にボクの心の中の状況を伝え始めることにしました。意外にも「なーんだ!そんなこと?」と言われ、肩透かしをくらったように「え?何その反応?」パニックでした。

女友達マーガレットは、ギューッとボクをハグして母親が子供にするようにチークキスしてくれる「私の友人にもいるよ。紹介するね」といわれたり男友達は「オレの弟がGayなんだ仲良くしてくれよ。心配すんな!」と肩を組まれた。今まで一人で考え悩んできた自分は、何だったんだと思うと涙が出ました。異常なくらいオープンでそして、みんな陽気で自由なんだと思いました。目の前にあったフィルターが一枚ハラリと落ちてクリアになった。

アメリカで一気に視野が開け会う人会う人が眩しく見えました。
中でもフランス系アメリカ人のトムは尋常じゃないほど陽気でいつも勉強も悩みも聞いてくれて何でも話せる親友になっていき今でもたまに「元気か?」とSkypeをくれています。

トムが「ニックネームを考えてくれよ、日本人の名前は発音が難しいからな」トムに付けられた名前が「Tonyトニーってのはどう?」といわれ、トニーになりました。
真夏の昼下がり、2人でぬるいコーラを飲みながら質問責めになっていた。

「ところでトニーお前のことなんだけど、その話の内容や考えからGayだと思うでも、Gayでもいろいろあって、男なのに女のような言葉を使うヤツや男でも女でもできる(バイセクシャル)とか色々あるんだがトニーの場合どちなんだと思うんだ?」何も知らなかったとはいえ自分の心をよく考えてみたら「妄想のキスの相手は男」と答えた。

「sexはあるのか?」「イヤイヤ、全く無い」と言い切る。
「オレがキスぐらい教えて上げたいけど、もう友達だからな。それ以上はできないんだよな…」「日系のアメリカ人が知り合いでいるから紹介する」トムはそう言って、日系でも日本人の血が入るタヒチ人だった。
母方のお婆さん(クオーター)に日本人の血が入った(ワンエイスといいます)彼を紹介してくれました。

         タオとの運命的出会い

タオは22歳、ボクが21歳の時に出会いました。初めて彼に会った瞬間、その魅力に圧倒されました。高身長で引き締まった体つき、黒い髪と長いまつ毛、濡れたような黒い瞳、ほんのり日焼けした肌と相まって、まるで魔法にかかったような錯覚を覚えました。彼の視線を受けるたびに、心が奪われる感覚に襲われました。タオの名前がタヒチ語で「戦争に使われる槍」を意味することを知り、その神秘的で力強い響きにますます魅了されニコニコと

笑う彼の口元に見える白い歯は、俳優、横浜流星を彷彿とさせる。毎日、くだらない話で笑い合いながら、彼がウインクするたびに、心の中に温かい感情が芽生えました。その瞬間、ボクは、一瞬で恋に落ちました。彼もまたボクを愛してくれました。しかし、彼はバイセクシュアルで、女性にも魅力的だったため、時折ボクの嫉妬が原因でケンカすることもありました。それでも、長い休日に友人たちとともに様々な国を旅した経験は、忘れられない宝物となりました。そして、出会ってから半年が経つ頃には、ボクたちの世界が一気に広がり始めました。
                              




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