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タヒチの星の下13話 BL               盛大な宴会とプロポーズ

                      ノンフィクションBL
トニー、トニーという声が微かに聞え、夢の中で魚になって海を泳ぐ夢を
見ていた。水面からは、タオとボクが見え東の方を見ながら話していた。
ああこれは、タヒチに行かないか。とタオに誘われた時の様子でした。

薄暗い部屋の中でボクにキスをする白い影が見える。気がつくとタオでボクの横に座りボクを起こしていた。ここは、タヒチでタオの家だと分かるとタオの首をつかみ引き寄せ、更にキスを求めた。「タオ・・・」「トニーオレのトニー」「何時なの?」「もう19時になる。メイドが起こしたが起きないので、オレに助けを求めて来たんだ」「え?」「12時間も飛行機じゃ疲れて寝るよな」といい「そろそろ準備してくれないか」「メイドが持参した白いシャツとパンツがあるから着てな」10分後にくるからシャワーでも浴びて目を覚ませよ」「わかった」キスをして出て行った。

あくびをしながら急いでシャワーをした。髪を乾かし、シャツを着る。テーブルの上には、コサージュみたいな綺麗な花が置いてあり、同じく白いパンツ、ピカピカに磨き上げたエナメルの靴、ソックス。キレイにアイロンのかかったハンカチ。言われた通りに着替えてタオを待った。なんだろうと思いながらいるとタオが来た。


「トニー。カッコイイぞ」タオも同じような恰好をしてボクの横に座ると
話し始めた。

「これは、決めるのはお前だ!いいか!どちらでもお前の判断に任せる」
「タヒチにはファファフィネFa'afafineという伝統があって、(女性みたいなの意)と呼ばれる人々がいる。西欧文化の感覚ではいわゆる男娼として認識されてしまいがちだが違う!「ファファフィネ」たちは、公務員、学校教師やスーパをはじめサービス業の店員などあらゆる職場でごく普通に働いていて、女性と見間違えるほどの可愛らしい人から普通の男の姿で内面だけ「ファファフィネ」という人までいる。
 
伝統的に、タヒチには一家の子供に女の子がいなくて女手がたりない場合に生まれた男の子を女の子として育てて女性の家事をさせる風習があるんだ。
背景には、土着の宗教的行事で女性が大切な役割を果たしていたからだとも言われていて本来、タヒチの「ファファフィネ」は、いわゆる性同一性障害や同性愛者ではない。「ファファフィネ」の性的対象としても男性、女性どちらも認知されている。

そこでだ!オレはお前を両親をはじめ親戚、全ての知り合いにファファフィネとしてお前を指名した。ゆくゆくは結婚したいと思っている。
タオは片膝をつき「トニー。ファファフィネとしてお前を迎え、結婚したい!」I want to spend the rest of my life with you.
残りの人生をお前と過ごしたいんだ

Will you marry me?オレと結婚してくれないか?
答え次第ではオレはお前の両親にも許しを請う。急に言われてビックリだろうが、お前を心から愛してる!

何をボクの前で言われているのか分からなかった。でもタオは真剣にプロポーズしてる。「ボクもできるものならずっとタオといたい。ひと時も離れたくない。愛している。答えは1つしかない!

There are many ways to be happy in this life, but all really need is you tao.
幸せになる方法はいくつもあるけど、ボクが本当に必要なのはタオだけだよ

I want to glow old with you tao.タオと一緒に年を重ねていきたい
Taoは、ボクの顔を両手で持ち強く唇を押し付けた。タオは何度も何度もキスした。初めてタオは舌を入れてきて、まとわりつくキスをした。
 
愛してるタオ。オレもトニーを愛してる。


          ----ドアが開き一斉にパパもママもモエも
            沢山の人が入ってきて、祝福のキスとハグ---
 
ママとモエは抱き合って泣いていた。
そしてティアレのレイをボクとタオの首にかけ、ママが最後に左耳の上にテイアレ(恋人、既婚の意味)をつけてくれた。みんな部屋の外から庭へとつづくパーティー会場へ向かう通路に並びティアレの花びらを撒き甘い香りが漂う。歓声が上がる。庭園では、50名以上が集まり、隅の方で男性の激しいタヒチアンダンス(戦闘時の意気高揚的な意味を持つ)が披露されていました。


中央に座るおじいさん。おばあさんに挨拶をするニコニコしながらボクとタオに両頬にキスをされた。「おめでとうタオ、トニー」傍らにはママとパパが挟んで座る。「トニー。オレは幸せだ」タオは目を潤ませていた。「これからも、ずっとお前の傍にいる!

何があろうとお前を幸せにする!」「タオ・・・」タオの目の中には、松明の火が映り込んでいた。そして、タオは、ダンサーに呼ばれタヒチの戦いの舞を上半身のシャツを脱ぎ棄て、仲間に加わった。下半身が激しく動き、両手は天を射し、ほとばしる汗は逞しい彼の体の隅々につたって飛び散る。激しいリズムに合わせタオはボクのために踊る。

力強い太鼓の音はボクの心の魂にも響く、taoという名前は戦争で使われる槍だ。その槍でボクらにくる悪霊を刺すように踊りつづけて、彼はハイになっているようにも見えた。ボクの横に座るママは、じっと見つめながらボクの手を握っていた。今度は、女性によるタヒチアンダンスが行われる。優しく優雅に愛を奏でるように静かに踊って美しい。汗でビショビショのタオはタオルで汗を拭きながら席に戻ってきた。肩で息を切らしながら「観てたか?お前のために踊った!」まだ汗が噴き出るタオの胸にボクは顔を埋め、愛さ

れている実感を肌で感じていた。


長い行列をつくり代わる代わるおじいさんの席に挨拶をする人たち、後ろ姿を見せず3歩下がって、ボクらにも挨拶に来た。タヒチ語なので理解できないが「おめでとうございます」と言ってるらしいタオが通訳してくれた。

深夜まで宴はつづき、出された料理には口をつけず酒でタオもボクも酔っていた。おじいさん。おばあさんが席を立ちもどることになりボクらもその場に立った。空に浮かんでいる下弦の月は、怪しく照らされまだ余韻の残る中庭からじっと見つめられてるようだった。2時を回り、あとでジャグジーに行こうとタオからいわれ「誰もこないオレたちだけの時間を楽しむぞ!」
それが何を意味するのか、まだボクは知るよしもなかった。

                          つづく