タヒチの星の下17話BL
マオヒのマンフルラ誓いの指環
目に染みる海の蒼は、何時間でも見ていられる美しさは、ボクの魂に刻まれていきます。愛するタオがいて、海風の心地よい風は、花びらを吹き上げ宙に浮かせ漂い香りさえ体中にまとわりつきます。タオに後ろから抱かれると体温が伝わり無言でもタオの魂とボクの魂が会話をはじめます。ボクは目を閉じて、ただタオの愛の存在を感じていました。
「トニーお前はオレのものになった。慣れないことばかりで頭を混乱させたオレの責任だ。すまない。明日、ボラボラへ行くが2人だけで滞在を考えていたが、見守りをする同行者2名を許可した。お前は普通にオレだけを見ていればいい」
「タオ。治安が良いとはいえ、この前の件もあるし用心しょう」
「それにしてもお前をこうして抱いているとアメリカでのお前とは違う、
言葉では表現できない何かを感じるトニー1つ質問したいことがある」「ん?」「タヒチに来て何かしら感じるものはないか?」「感じるもの?匂
いが敏感になったかな。空気感が軽いが分かるようになった」「それからほかには?」「何か気配を感じる・・・」「やっぱりな・・・」「それがどうしたの」「空港でお前が眩暈を起こした時があっただろう。オレは、その時
にもうきたのかと思っていた」「どういうこと?」「お前は無意識に大地に手を当てた。ファファフィネの儀式前にマオヒに挨拶したことになる」「確かに無意識に手を当て、お招きありがとうございますマオヒの神々、と言った。いけなかったの?」「いけないことではないが、早くにお前は、気配、を察し匂いも含め五感が鋭くなるんだ。ボラボラに行くと更に強くなるオレが付いてるから大丈夫だ安心しろ」ソファーにボクを座らせタオは、何か考えているように感じる。ノックがして、タオが返事して入るよういうとケコアさんとメイドがいた。
「ケコアどうした?」「プリンスTao、Lord(家長)がプリンスTonyを呼ぶように言われて来ました」「オレは聞いてないぞ!」「はい。予定より早まったからお連れするようにと・・・・」
「トニー。形式的なものだから直ぐに終わる。オレも同席するから大丈夫だ」「プリンスTaoは、お部屋で待つよう言われています。プリンスTonyだけです」タオはボクを抱きしめキスをする「トニー愛してる!待ってる!オレたちはいつも一緒だ」ケコアさんが先導して部屋を後にするとところどころに人が立っていた。なぜか下を向き正面を見ていないことに気づく、長い
通路を通り抜けて、一画に到着するとケコアさんはここで着ているものを全て脱ぎ着替えるように言われ、全裸で白い布でできたローブを女性が手伝いながら着させられた。ドアが開くと木製の横笛と竪琴のようなもので何か演奏している。不思議な曲だった。正面にはおじいさん。おばあさんが座り、前に進むようケコアさんに言われ、近くにいくと胡坐で座りました。厳粛な雰囲気が漂い無言だった
おじいさんが話し始めます。私の愛するタオの愛するトニー。もう気づいていますね?マオヒが傍に来ていることをもう感じますね。トニー」ケコアがタヒチ語を通訳するとボクは無言で頷く。これからもっとマオヒは近くにきて何か言うでしょう。同時に光りをもたない存在も
寄ってきます。光をもたない存在は、あなたを騙そうとします、トニーの心
に入ろうとしますが、騙されないようにしてください。強くタオだけを愛しなさい。マオヒを守る精霊から作ったこの水を体に浴びなさい。ケコアが着ていたローブを脱がせ仰向けに横になるよう促されボクの裸に花びらの入った水をゆっくりと全身にかける。さらに不思議な曲が大きくなり、気が遠くなりはじめる感覚がありました。
「立ちなさいトニー」裸のボクにケコアは乾いた長いローブを着せた。「愛するトニーこの指輪を受け取りなさい」ケコアが受け取りボクの指に付ける「指輪は、なるべく付けておくようにしなさい。外してもいいが近くにあることが重要です。愛するトニーあなたにマオヒと精霊が守りつづけます。この事はタオとここの家族以外話す事は許されません。タオの人生が終わり、天に召される時にあなたは、解き放たれます」そう言うと理解できないタヒチ語でもない呪文を唱えながらボクの顔にふーっと息を吹きかけました。同時に一瞬ふらつきケコアが支え、おじいさんは奥へと帰っていきました。まるでシャーマンの儀式です。
ケコアは、目を伏せながらプリンスTony、全ての儀式が終わりました。と言い来た通路を先導しながら戻って行きます。同じように人が立っているのですが、皆目を伏せながらボクらが通り過ぎるまで立っていました。ぼーっとしながらも部屋前にくるとケコアは、「今日1日は、余韻が残ります。お部屋でお過ごしください。直ぐに飲み物を持ってこさせます」といいドアを開けてれました。タオは、部屋にいてボクを抱きしめ「疲れただろう」といいボクの着替えをしてくれ、ソファーに連れて行き後ろから抱かれました。
「どのくらいかかったの?」と聞くと「2時間ぐらいだ」と聞き、自分では10分ぐらいの感覚でした。「これからタヒチにいる間は、オレと同等に扱われるからそのつもりでいてくれオレが死ぬまでマオヒに守られお前と生涯、オレは添いとげるからな」といわれました。
話しているとノックがして飲み物をメイドが持ってきた。飲むと苦い・・・「これは何?」と聞くとライムジュースだった。酷く苦いのでタオに渡すと苦くは無く、甘酸っぱいと言われ味覚が激変していましたので、バニラ入りのレモネードをお願いして、またもや苦く感じられタオに言うと「仕方ないミルクでもするか」ミルクもどことなく違う気がして棘があるような変な状態でした。「明日には戻るから、多分、儀式のせいで脳が拒絶反応して味覚が乱れてる」といわれました。ゴーヤを生で食べたような苦さです。
ボクには、タオから貰った指輪と右手にはマンフルラと言われるマオヒの指環が付けられ指環裏には幾何学模様の文字が刻まれて、どっしり重い金の指環です。外してもいいと、おじいさんが言ってたのはこの重さだからだと気づきました。(※神聖なものなので実物は見せられません)タオと話しているとモエが来て、儀式が無事に終わりボクの顔を見にきたといって3人で色々と話し込みました。タオ以外に兄ができたと大変喜びボクの手をとり離すことはありませんでした。
翌日、早朝から南半球の真珠といわれるボラボラ島へ向かいます。飛行機で直行でわずか50分の場所に位置し白い砂浜ネックレスのように光り輝くラグーンこの世のものとは思えない雰囲気が漂っています。なんという美しさ!
天国に来たような光景です。言葉では表現できない神秘的な風景でした。まさにため息がでる美しさです!ボクが詩人を連れてくれば至極の詩を書いて
くれたでしょう。タオが予約してくれた浮かぶ水上バンガローは、ボラボラの象徴でもあるオテマヌ山の神秘的な姿を望むことができ、また、日の出から夕暮れまで刻々と変化する光のページェントを見られる、もはや夢を見ている神の領域とすら思えるところでした。音楽もなくタオの言葉と呼吸、打
ち寄せる波の音のみです。ホテルのボーイは、冷たいビールと水をもってきて存分にこの景色を堪能してくださいとニコニコしながら出ていきました。「タオ・・・ありがとうボクは幸せを全身で感じてる」
「今夜はお前との約束の星を見るぞ」「うん」「トニーお前とボラボラへ来て2人きりだ。見えていないところにはいるがな。
この人生という世界で今、こうしてできることは、
どう頑張っても2,3つしかない!
だからその30%ぐらいをここでお前と使いたい
何も考えずただオレを見ていろ!オレもただお前を見ている!
愛してるトニー」
「タオはボクの全てだよ!」タオは、ボクを引き寄せキスをした。そして床に座り後ろから抱きしめられ海を見ている。「オレたちは、南太平洋のちょうど真ん中辺りにいるんだぞ、
時間って命の一部なんだぞ!
この2人でいる時間を大事にしなきゃ未来の時間は
きっと大事にできないってことだ!
そう思わないかトニー。
南太平洋にいたってアメリカにいても同じだ。お前の人生にオレはいる。
そしてオレの人生にもお前が存在してるんだ。
一緒に歳を重ねて昔話をするオレ達を想像してみろ。
どう生きたかじゃない!どう何を残したかなんだ!
金や名誉ではないんだ人として素晴らしい人生を生きたと思って
オレは、この世を後にしたい。
「その為にはトニーという愛する人がオレの人生には不可欠なんだ。今のお前にはオレのいうことが分かるはずだ。」「ボクの心に響く言葉だよ。とても深いなと感じる。
トムとマーガレット、と知り合って、そうじゃないって気づかされて、タオと出会った。そしてボクはタオに恋に落ちた。タオと会うと時間が短くなっていって、もっと一緒にいたいと思うようになった。それは、恋から愛へと
変化したんだと思った。でも会えなくて寂しかった。来る日も来る日もタオと会える日を毎日毎日待ち望んでいたんだ。誕生日にタオから贈られた真珠のネックレスは、本当に嬉しかった。大勢の友達がいる目の前で、貰ったものだったからね。ボクを護っていくと言ってくれた時は、狂うように嬉しくて泣いたよ。本当に嬉しかった。
そして、タオとこうして生まれたタヒチに来ることができて、最初は、ファファフィネは戸惑ったけど、嬉しい反面コワイ気持ちもあったんだ。ファファフィネの儀式を終えて本当にタオのものになったと実感したよ。おじいさんもおばさんもパパ、ママ、モエとも家族になったと思うと嬉しくてしょうがない。タオがボクの人生を変えてくれたんだ。
愛される喜びと愛する喜びがボクの生きる意味を教えてくれた。まだ日本には、ボクの過去のような気持ちを持った人が大勢いると思う。でも、男だろうが女だろうが区別のない世界がこれから理解と概念が変わっていけば世界も変わる気がする。
「そうだなオレもそれを強く思う。ここは、誰も来ないし、人もいない」ここから飛び込んで夕陽を見るぞ。夜には、約束の南十字星が出迎えてくれるはずだ。水着は着けなくていぞ裸で飛び込むんだ」行くぞ!着ているものを脱ぎ捨て丸裸でタオは透き通る海に飛び込んだ。ボクも裸でタオの後を追い飛び込んだ。
青いラグーンには真っ赤な夕陽が残り、プカプカ浮いて夜のとばりがおりてくる。美しい夕陽の中でボクらは最高のキスをしていた。
ボクに南十字星が見えた瞬間タオのとった行動は~素敵すぎた~