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タヒチの星の下15話タオの明かされた 秘密

                     王族の血が受け継ぐもの                

                     ノンフィクションBL

目覚めると横で寝ていたはずのタオの姿は無く内線でタオの居場所をメイドに聞きました。「朝のコーヒーを持って来るので少し待ってください」とのことだった。ノックがしてメイドはワゴンにコーヒーと皿に盛られたクッキーと綺麗な花があった「タオはどこにいるの?」「prince taoは、トレーニング室にいます」Prince?タオはプリンスと呼ばれているのか・・と思った。「場所を教えてもらったら一人で向かうのでいいよ」と伝え地図を片手に向かうことにした。

ピアノの曲が流れ、ぐるりと張り巡らされた鏡、練習用バーがあり一人でBarre Lesson (バレェッスン)をしていた。ボクは静かにタオの練習を見守り

つづけ、ボクが見えないところでもこうして練習を欠かさず行っているのだなと見入ってしまった。

凄い量の汗が噴き出ていて、休憩になるまでボクは見ていようと思っていた。先ほどのメイドが、トレーに飲み物をタオに持ってきてタオが気づき、ボクがいることもバレてしまった。「おはようタオ」「トニー見てたのか」「隠れて見てたよ」「凄い汗だね」
「レモンジュースが美味いんだ」と言って持ってきた飲み物を飲んでいた。
「ボクと同じぐらいに寝たのに早くに起きたんだね」「レッスンはサボらないから9時から始めてるな。少しでもサボると必ず分かるんだ。ここができないとか。回らないとかね。そろそろ終わるから庭でブランチでもするか」「わかった」「じゃストレッチしてシャワーするからお前、庭でも散歩してろ!」と言われ「わかったそうする」内線でブランチの用意を頼んでいるようだった。


庭に出ると数人の人が花や木々の手入れをして「おはようございます!」と笑顔で迎えてくれました。花の種類や香りを楽しみ、聞いていると横から「プリンスTony」と声がして振り向くとスーツ姿の初老の男性でした。

「ケコア Kekoaと言います。この屋敷の全てを取り仕切る者です。コーヒーを持ってこさせましょうか」「ありがとうございます」メイドを指で合図してコーヒーをその場でボクは、飲み始めました「私が数日間、身体を壊し抜けていましたので、宴にも顔を出さず申し訳ございません」と言われた。

広い所に移動して「あなたがAdaエイダ家プリンスtaoのファファフィネになり本当に私達は、嬉しく思います」「これからタヒチに滞在中は、タコトがお世話しますので何でもお申し付け下さい」「少しお話させて頂いてもいいですか?」「はい。どうぞケコアさん」「プリンスTaoは、少額を持って旦那様を振り切りアメリカへ行きました。家の者が隠れて後を追いプリンスTaoは住まいも持たず、路上で生活して、その日暮らしをしていたと報告されました。

旦那様からの申し出を一切断り、アクターへ進んだと聞きました。ニューヨークからロスアンゼルス、シアトルに移り、タヒチに戻る度に残るように再三説得はしたもののまたアメリカに行きました。そして
プリンスTaoのバッグに忍ばせて隠して入れた小切手、お金さえ門のところ

タヒチ王ポマレ5世

に投げ捨てていました。私は、代々Ada家を見てきました。旦那様の会社、財産をプリンスTaoが受け継げば安心だったのですがアクターの道へ進み困っています。

今回ファファフィネの儀式で戻り、そしてプリンスTonyが生まれたことは、私がいうのは、おそれおおいのですが、嬉しく思っています。タヒチに滞在中はプリンスTonyと呼ばせて下さい。「ボクはプリンスでもなんでもない一般人です。プリンスは止めてください!」「この屋敷ではプリンスTaoのファファフィネですのでそれはできません!申し訳ないのですがしきたりです」

「直ぐにとはいいません。プリンスTaoがタヒチに戻り、旦那様の後継者となるように説得してもらえませんか」「タオには夢があります!世界中でミュージカル俳優として披露したいと聞いています。挫折しても諦めてはダメだとボクも彼にいいました」
タヒチに戻って会社の後継者になれとは、到底いえません。でも頭の隅においておきます」「即答はできません。しかしKekoaさんの気持ちは分かりました」と言うと
 
そこへタオが来て、Kekoa!久しぶりだな。「プリンスTao会えて嬉しいです。顔も出さずすみません」「トニーに何か言ったんじゃないだろうな・・・」「タオ、Kekoaさんは、ファファフィネの儀式の挨拶をしてくれたんだよ」「そうか」

ボクは、目でサインしてその場を押さえた。「もうテーブルの準備ができたと思います。「さーこちらへ」タオに肩を抱かれテーブルのあるところに行った。椰子の木陰は、気持ちよくテーブルには何種類もの料理ときれいな花が置かれ、給仕が好みを聞き、皿に盛りつけていきます。タヒチの郷土料理、フレンチ風といろいろありましたが、ボクは、タヒチの郷土料理をチョイスして食べました。

タオの気持ちとパパの気持ち、ケコアさんの気持ちと混濁して、タオには気づかれなようにしていました。裕福な家庭に生まれ、王族の血を引くタオ、思えばボクにはそんな素振りは一切、見せず汚れて一生懸命働いている姿で優しいタオしかボクの心にはありません。

これが、切迫した後継者選びとなれば、ボクの気持ちも揺らぎ、どう切り出したらいいものなのか分かりませんでした。いずれにしてもタヒチ滞在中に少しでもタオの気持ちが分かればいい方向に展開していくのではないかと思いました。
 
本当に童話のような展開です。タオの気持ちを最優先に考え下手なことは言えないし、パパの気持ちも分かる。ミュージカル俳優への夢も続けさせたいとても複雑な気持ちでこの事には触れずにいつもの優しいタオです。
陽が暮れる前に街中と秘密の場所へタオの運転で回ることになりました。

このあと警察のお世話になるとは、誰も予想だにしていない展開が繰り広げ

られます。
 
                    つづく