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#創作大賞2024恋愛小説部門 タヒチの星の下21話BL       

                                  親友TOMとの出会い

ボクが北米に住み始めて10年以上過ぎて、日本語を使わない生活をしていると日本語を忘れます。変な言い方ですが文法が変だったり、単語が出てこないのです。文章がオカシイのです。とはいえ当時は純粋に日本人コミユニティーに入ろうとは思いませんでした。何故なら英語を勉強する為に渡米したのですから日本語環境をある種遠ざけなければ言葉は覚えないと思ったからです。Tomとの出会いは今、思うと定められた縁を感じるのです。TomもMargaretもTaoの最期の役目をボクと共に看取ったのですから、人は生まれる前に決めて生まれるといいます。

留学先の大学は、はじめ当時友人といえる人はいなくて、学校と自宅のみの往復でした。アルバイトは、せずに親から渡されたクレカで買い物もキャッシュも賄っていました。ある日、無性にピザが食べたくて、たまたま入った店で

               pizza屋

どれをチョイスするのか迷っていると、Tomが店のお勧めを教えてくれました。「それは止めた方がいい」とか「これはチリが入っているから辛い」とか結局Tomの好みで決めたようなものです。
シアトルに来たたばかりで地理も分らず、どこに何があるとさえ分からないというと地図を広げて丁寧に教えてくれお節介なほど親切でした。

「大事なことは、マーケットと銀行だから今度連れていく」と約束してくれたのです「デリバリーもしているから使って」とメニューを書いたチラシも親切にくれました。日本から留学していることなどを話していると既に30分ぐらい経っていました。

東南アジアの友達はいるが日本人と話したのは初めてだということでとても興味を持っていました。特に日本のアニメが好きで観ているとだとか言っていましたが、残念なことにボクは殆どアニメを観たことがありません。


数日後、大学からの帰宅中また店の前を通りかかろうとしたら店内からTomが出てきて「Yo, what’s up? – よお、どうしたの?―またピザはどうだい?」と言ってきて「今日はピザじゃなく他の物を探してる」というと「あと20分でバイトが終わるから待ってて」と言われ店の前で待っていると
膝に穴の開いたデニムを着て車の停まっているところまで案内されました。

車で20分ほど先にある大きなマーケットに連れていってくれボク一人では、こんなに運ぶことができないほどの食料や日用品を購入して、トムも持つのを手伝ってくれました。カートごと車が停まるエリアまで運びミルク1ガロンとか日本では考えられない量ですが日本のミルクと比べると、とても味が薄いのが特徴です。


                 チーズ売り場



                1ガロン/単位で3.8Lも あります
                  マーケット野菜売り場

そうして、また来た道を通り帰宅するのですが、親切にしてくれたので、悪い気がして一瞬、何か魂胆があるのでは?と脳裏によぎりましたが、初対面の時に地図を開いて見せてくれたことや気さくな性格であることから、「荷物を運ぶのを手伝ってくれたお礼に夕食を作るので食べていかないか」と言いました。

素直に「ありがたい」と言ってくれたので帰宅後すぐに作り始めました。
メニューは焼肉丼と野菜サラダ、オニオンスープにしました。
食事中も話を止めることはなく、高校時代アメフトの選手だったことや大学へは進学せず好きなことをしながら暮らしていること家族構成やフランスにルーツがあることなどを話してくれました。

ボクのことも話しました。〇〇大学の留学生であること日本から来て約2か月で知り合いもいないことやまだ慣れない生活の不安など伝えました。
当時は、学校で勉強した英語程度のレベル会話だったのですがTomは,聞き上手といいますか理解しょうと努力してくれていたと思います。

メアドや電話番号を交換して頻繁にメールや電話があり一週間に1度は会うようになっていき、ライブの誘いや買い物も含め、とてもよくしてくれました。徐々にTomの友人を紹介してくれて友達の輪が広がっていったのです。そして5回目の時にMargaretが同じ大学の生徒であることが分かり紹介してくれることになりました。

Tomというヤツがいなければボクの人生の運命の人であるTaoとも巡り合うこともありません。そう思うとどう考えてもTomと出会うことが運命であったと言わざるおえないと思います。ありがたいことです。