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経営を長く続けてほしい|深掘りニスト

このnoteは、中小企業の社長さんに仕事への想いや仕事を始めたルーツを深掘りインタビューするnoteです。

概要

「経営者のサポートをしたい」という想いで税理士の道へ進んだ菅原さん。税理士の中では珍しい“銀行からの資金調達”を得意とされています。今回は、銀行からの資金調達を行う上で、成功確率を上げるための視点と経営者の皆様に対する想いを深掘りしました。

経営を長く続けてほしい

ーーー税理士さんというとちょっとお堅いようなイメージがありますが、菅原さんはとても穏やかなお人柄で緊張がほぐれます。税理士というお仕事をする上で、大切にしていることはありますか?

菅原氏:私自身は税理士として経営に纏わるあらゆる課題を1つ1つ解決することを目的に仕事に取り組んでいます。会社を長く続けてもらいたいという想いが強いのです。そのために、お金の流れをよくすること、特に適切な借り入れをすることによって会社の成長を加速してもらいたいという想いで税理士をやらせていただいています。

常に相手の視点に立つこと

ーーー税理士さんの業務は税務署に出すための書類の作成というイメージがありますが、菅原さんはそれだけではなく“銀行からの資金調達”を得意とされているとか。銀行から借入したくてもなかなか思うようなタイミングや金額で借入ができないと悩む経営者は多くいらっしゃる気がします。

菅原氏:銀行からの資金調達には必要な視点が3つあるのです。内部にいると欠けてしまいがちなのですが。その3つの視点というのは“プレゼンする意識を持つこと・決算書を銀行向けに作ること・勘定項目を適切にすること”です。

ーーー“プレゼンする意識を持つこと”からお聞かせ願えますか?

菅原氏:銀行の担当者に「この会社なら貸したお金は必ず返ってくる」と判断してもらえるようなプレゼンテーションができなければお金は借りられないのです。例えば、日々の資金繰りが大変だと思われるような決算書を持っていったら?銀行の担当者が社内稟議で使うためのわかりやすい資料を準備しておかなかったら?「貸したお金が返ってこないかも」「稟議を通しにくい」と思わせてしまいますね。だからこそ、銀行にプレゼンをする意識を持つことがまず必要な視点です。

ーーー銀行の担当者に「この会社の決算書には不安な点がなく、稟議に添える資料も十分あるので通しやすい」と思ってもらえれば借入の成功確率が上がりそうです。では、2つ目の視点“決算書を銀行向けに作ること”についてお聞かせ願えますか?

菅原氏:多くの場合、銀行に借入の相談に行く時にも税務署に向けた決算書をそのまま持参しているのですが、実はこれが間違い。銀行には銀行向けの、先ほどお話した銀行担当者が不安にならないような決算書が必要なのです。では、なぜ多くの場合、税務署向けの決算書と同じものを持参してしまうのかというと、多くの税理士が決算書を税務署に提出するものとして作ることが多いから、です。決算書は通常税務署に提出するものなのでそれは当たり前のことなのですが、銀行からの資金調達を検討しているのなら銀行向けの決算書の準備が必要です。なぜなら、税務署と銀行では決算書の見ているポイントが違うからです。

ーーー銀行向けの決算書というと、3つ目の視点である“勘定項目を適切にすること”につながってきそうですね。

菅原氏:そうですね。銀行向けに勘定項目を適切にすることは大切な視点です。よくやってしまいがちなことは銀行が不安になるような勘定項目を使ってしまうということ。例えば、資金繰りが苦しい時に社長が会社に一時的にお金を貸して仕分けしがちな「短期借入金」。実際は返済が遅くなっても大丈夫なお金ですが、銀行には1年以内に返さなければならないお金だと受け止められてしまいます。つまり、資金繰りに余裕のない会社だと思われてしまうのです。ですから、もちろん嘘の決算書は絶対に作成してはいけませんが、銀行側が見て「貸したお金は返ってくる」と安心できる勘定項目で決算書を作成するという視点はぜひ持っておいてもらいたいです。

ーーー銀行からの資金調達の成功確率を上げる“プレゼンする意識を持つこと・決算書を銀行向けに作ること・勘定項目を適切にすること”という3つの視点を伺ってきました。ここで疑問なのですが、多くの経営者が銀行の視点に立って特に決算書の作成が準備できない原因はあるのでしょうか?

菅原氏:それは、税理士事務所の構造が原因なのです。実際に、経営者は決算書周りのことは税理士事務所に聞くことが多いですね。その時に対応してくれるのは税理士事務所のスタッフです。ところが、スタッフの方は銀行からお金を借りるという経験をしたことがない。したがって、相談されても銀行視点の回答にはならないのです。

会社のために今からできること

ーーー実際に、銀行から資金調達をした経験がなければ銀行側の視点でアドバイスするのは難しそうですね。そんな中でも、銀行からの資金調達を検討されている方にできる対策はありますか?

菅原氏:3つの対策をお伝えしますね。“銀行の評価の高い決算書を作成すること・お金を借りたいと言い出すタイミングを間違えないこと・借入したお金の使用用途を明確にすること”です。

ーーーまずは“銀行の評価の高い決算書を作成すること”についてお願いします。

菅原氏:銀行の評価の高い決算書を作ることはずっとお話している内容です。銀行が現在の会社の状況を見て「貸したお金が返ってこなそう」と思わないようにすることが大切なのです。ところが、決算書は年1回必ず作成するもので簡単に修正できるものではありません。したがって、日頃からの意識が必要です。例えば、銀行は手元資金の状況、借入状況はよく見ています。勘定項目に注意して決算書を見返してみましょう。

ーーー2つ目の“お金を借りたいと言い出すタイミングを間違えないこと”について解説をお願いします。

菅原氏:お金を借りたいと銀行に申し出るタイミングによって、銀行側によくない印象を与えてしまうことがあります。例えば、月中ばに「月末にお金を借りたい」と相談したら、銀行にどんな印象を与えてしまうでしょうか?きっとお金にルーズな会社だと判断されてしまうでしょう。それでは、会社の評価が下がってしまいます。目安になりますが、お金を借りたければ着金希望の2ヶ月前には銀行に相談をしに行きましょう。

ーーー3つ目の“借入したお金の使用用途を明確にすること”について解説をお願いします。

菅原氏:会社を発展させていくために使うお金である、ということを明確に示しましょう。なぜなら、貸したお金が日々会社を回していくために使われるよりも、事業を大きくしていくために使われる方が、返済されやすいと銀行に判断されるからです。例えば、事業を大きくしていくためのホームページ作りや販促物の作成、開発費等などが当てはまります。銀行に返済されやすいと判断してもらうために、借入したお金の使用用途を事業発展のためだと明確に示しましょう。

儲けることよりも大切なこと

ーーーここまで、銀行からの資金調達の確立を上げるために、今からできる対策3つについてお伺いました。銀行からの資金調達に関して、菅原さんにご相談に来る経営者は多くいらっしゃいますが、菅原さんはいつもどのようなお気持ちで経営者と向き合っているのでしょうか?

菅原氏:私は、経営者の皆様に商売を長くうまく続けてほしいと常に思っています。そのためには儲けることは大前提ですが、それ以上に会社のお金の流れをスムーズにすることが大切です。日々、税理士事務所とお付き合いする中では、その点に気づかずに過ごされている経営者が多く見受けられます。だからこそ、私と関わっていただくことで1つでもクリアになるようにと努めています。

○プロフィール
菅原靖
菅原靖税理士事務所代表。経営者に寄り添い、会社経営を長く続けてもらうことを目標に、税務周り・資金調達の支援、さらに社長に対するコーチングにも力を入れている。

○深掘りインタビュー
深掘りニスト 飯野真里子(いいの まりこ)
自分では気がついていない自分の魅力、あるいは商品やサービス、企業の魅力を引き出す深掘りニスト。

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