見出し画像

心証風景

 美容室に行く。とある目的のため。欲していたのだ、おえ、きもちわるい構文、構文には自信があるくせに、改め、目的は、散髪ではない。 いや、すこしだけ、散髪の目的もあったけれど。

 わたしは、担当の美容師さんのことが、もとから、大好きで、かわいいし、気取らないし、なんか一方的に勝手に、とてもファンだったのだけど、その美容師さんが推しているアイドルというのが、現在わたしと、家族が熱狂しているアイドルであるからにして、とにかく、会話を求めてほっとぺっぱーパーで予約した。

 身辺整理もできてないのに、ひとつきほどで、融点にまで達した、海外のアイドルグループに関して自分の心の置き所を、他人の、しかもビジネスの関係での(客と担当、と、この言い方は夜のにおいがするから、きなくさいね)そんな関係性いったいどうやって、パフォーマンスするか、とにかく、わくわく感つよかったから、もう、いいや、オタク推し活動の流儀などからイツダツしていたらという不安より、とにかく、誰かと彼らのすばらしさ、すてきさ、きらきら星さを、語りたかった。逸脱も厭わず望む。

 午前の早い時間によやくした。

髪をきる、経済的な猶予はあまりなく、でも、あともうすこしで、夏のボーナスも入るので、阿呆なわたしは、気が、蟻の下半身くらいにふくれていたのだ。いつもこんな調子だからさ、計画も、へったくれも惚れた晴れたもないから、金欠病 。

 店に着いてから、わたしの口元がにやにやしはじめて、自分でわかるくらいの嫌悪感を抱きながら、思い切って、「ちょっと、お伝えしたい報告があるんです」と、口火をきると「え、なんだろう?ちょっとまってくださいね」と、担当の方は準備をはじめたが、その間が、も・ど・かしくて、構文破壊、自分は、地球上の臍の集めたゴマだった。

「今日は、髪型とかなんにも考えてなくて、もう話したくてきたんです、すいません」 

 

 告白。

 はなしはじめると、とまらなかった。

 この、ちんけなわたしが、アイドルの話をするなんて。

 口のはしに唾をためないように、清潔な話し方をしたつもりだけど、それは、誰に対しても失礼だったから。

 しかし、鏡に映るわたしは、ばけもんみたいににやついて、鏡は、もう映したくないよと、相変わらず、世界を反映していたけど。

 こりゃだめだと思いつつ、髪をすこし整え、トリートメントをしたら、結構な額が、羽をつけてとんでった。

 

 帰りは、古着屋にいって、誰かが着て生活して、恋愛して、愛情を注いだり、悲しい出来事を体験して売られた衣類を購う、わたしは、古着がすきだ、やすいし、環境にいいし、掘り出しもんがあるし、可愛いし、時代を感じたり、やすいから。時々、新しい服がほしいな、たとえばビームスとかで優雅に選んだり、ユニクロでTシャツとか、なんか、シーズンごとに買ったりしているひとに、なりたくなったりするけど、わたしは古着を買う。古着を着て、誰かの人生をまた、わたしの体で生き直すのだ。なんてさ、VISIONのTシャツが500円で、かわいいので、買った。

 すこしくらい、自由に優しくしてもいいよね、って、いま、椎名林檎の声で再生される、なんだっけ、ああ、”おだいじに”だ。懐かしい。

 いい感じの春のワードローブを買って、装飾欲がすこしだけ収まる。これでいい。自分をもっと、いたわってやらなければ。喉の下の方に、空気をのみこんだみたいな、ふくれた違和感があるのだ。だいたい、春の始まりから。

 荷物をもって、また、食品などかいものして、家族の事をきにしながら帰り道、言葉が地面からはいあがって、唇におちつく。

 はやく、小説かきたいな、と思って、今日は朝すこし進めただけ。

 ハン・ガンを読んでいる。文章が腑に落ちる。どのフレーズも、柔らかい棘の外套を背中からかぶせられているみたいで、しかも、そっと、わたしは、このまま、春の冬眠をはじめたいほど、損傷に敏感だった。どうして、えぐられたり、えぐったりするのだろう。縁石の継ぎ目から生える、緑。今日、空なんてみていない、ただ、歩く道だけみて、荷物を慎重にはこんでいた。

 帰ると、ひとりは映画に行っていた。

 すえた部屋の淀みに、また、喉のふくらみが大きくなる。

 わたしは、外側にか、内側にか、視線を定められずにいる。みえない不安が散乱している。ああ、思わせぶりだ。なにもかも、ここに書いてしまえたら、きっと、傷つくだけで、なにもかわんないけど、一瞬救われるような気がして、買ってきた、タコと、キムチと、ご飯をあたため、エノキを甘辛く味付けして二人で食べる。

 土曜日曜と、海の向こうから、ファンミーティングのため、アイドルが来日していた。(固有名詞をださないのは、なんかのこだわりで。だいぶ、こじらせていてご愁傷)

 新しい動画があがっている。みる。反応して、お互い笑う。

 昨日バイトから帰ったら、家族は眠っていたから、久々にあって、横顔が笑っているのをみて、また、喉がふくらむ、胸になんか、つっかえてる。タコは、付属の酢味噌をつけてたべる。ご飯はうまい。でも、なんか、最近、なにもかんにも、味がしない。唯一、感じることのできんのが、甘いものだったから、太ってさ、たまんない。

 家事をやりつつ、動画をみささって、また時間が、マシュマロとか、ふがしとか、やさしくねっとりと溶けるタイプに消えてく。

 また、四肢とか、下肢とか、咽頭とか、喉頭とか、鼠経とかで、焦燥し、わたしは、動画をみるために生きてんのか、錯覚する。

 夕方、十分ほど昼寝。やることやらないでねてしまい、あわてて起きて、資金を移動したり、支払いしたり、そういった用事のために外出。自転車にのる。歌を口ずさむ。家族は、わたしを、なんにも見ていない。ただ、声だけで、送られる。

 外は、午前にでたときと同じく、春だった。五時に郵便局のATMがしまるので、急いでむかう。

 帰りに、TSUTAYAによって、マンガをかりる。ハン・ガン読んでたのに、マンガを読む私も、わたしであった。

 血の轍、腐女子のつづ井さん、あとは、なんか気になるのをお試しで借りる。DVDも借りる。ハウルの動く城と、パラサイトの監督の作品。連休中に、ちゃんとみれたらいいな。

 一階の雑誌をたちよむ。ファッション系と、音楽コーナーで、アイドルの情報を仕入れる。恣意的にうろつく。家に帰るのが怖い。 

 

 装苑を読む。わたしも、アンニュイになりたいな。わたしも、スルメみたいなファッションをして、アンニュイに写真に収まりたい、自分を好きになりたい、なんて思って、中身を磨こうと思ったりした、祝日。

高校のとき、この歩道橋の上で大勢ジャンプしたら、崩壊するかもってチャレンジしたな。
空が不気味に青いね

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?