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青森・秋田で漬けられる大きな大きな杏梅〜なにわ梅・おうみ梅と呼ばれる杏(八助梅・おうみ梅その1)

※本記事は旧ブログ(Ameba Ownd)からの引っ越し記事です。(もともとの更新日付:2023年7月10日)

東北、特に青森や秋田県の北部では、直径4~5cmにもなる大きな梅の実が梅漬けにされる。
この大きな梅の実を、青森では半割にして種を抜き、紫蘇で巻いて漬けることも多いようだ。…というか、梅と書いたがこれはれっきとした「杏」。ゆえに実は大きくて甘く、種も簡単に外れる。

こうした事情を知ったのは梅仕事を始めたごく最近のことで、昔から地元の秋田や青森あたりではよく「しそ巻き杏」を見る。私もよく買って食べていたので、あの大きな実はそもそも杏だと思っていた。
が、梅仕事について調べて行くと、青森では豊後梅を始めとした杏系の品種を育て漬けられることが多いそうで、その代表的品種が豊後梅および「八助梅(別名なにわ梅)」。青森ではこうした杏を梅と呼ぶ。

ちなみにこの八助は秋田でも漬けられるそうだが、おそらく県北から内陸部にかけての豪雪地帯、湯沢や横手あたりが中心だろうと思われる。
夫と私の実家のある沿岸部の秋田市近郊は秋田の中ではそれほど雪も多くなく(と言っても私が子供の頃は毎年1メートル程度は積もったが)、ごく一般的な梅の木が育つ環境だった。
青森で豊後梅が植えられるのは寒さや風に強い品種(涼しい生育環境を好む杏と、温暖な生育環境を好む梅の自然交雑種)だからで、北海道においても同様のことが言える。道内で育てられる実梅は大抵豊後梅。それ以外の品種は深い雪には耐えられないそうだ。

5月末に豊橋で初めて生梅を購入して以来、神奈川の十郎梅、信州の小梅、京都の城州白、新潟の越の梅とだんだんに北上して来た私の梅の実前線。
最後は山形の谷沢梅を買って終わりにしようと思っていたが、さらに北で育つ杏系も可能であれば試したい、折角なら地元秋田で漬けられるという八助が入手できれば…と思っていた。

しかしである。
八助梅や豊後梅を扱う秋田県北の方のメルカリ商品ページに、「おうみ梅」という全く初めて目にする品種名が現れた。写真の見た目は八助とほぼ一緒。粒が大きく、一見梅には見えない、というか色といい形といいどう見ても杏だ。
おうみ梅についてネットで調べても一向に情報はなく、どんな品種か問い合わせてみたところ、「八助とほぼ一緒です」との回答。そうは言っても何らかの違いはあるだろうということで、試しに1キロずつ購入してみた。

こちらのやや色が濃く粒が大きい方が「おうみ」梅。

巨大なアプリコット

一方こちらのやや青みが残る方が「なにわ(八助)」梅だそう。

ううむ。違いがわかりにくい。
熟の進みが異なるようだが、それぞれの特徴が知りたくて触ったり眺め回してみたりした結果、より桃に近い丸さで表面に細かな毛が生えているのがおうみ表面がツルツルして先が少々尖っているのが八助、という違いがなんとかかろうじて認められないこともない。でも熟し方の問題な気もするし、いまひとつ自信が持てない。
意外なのは、これほど果実らしい見た目なのに両者とも現時点で甘い香りはほぼないこと。もしかしたらそうした点も寒さに強い特徴のひとつかも知れない。
熟が進めば八助ももっと赤くなるかも知れず、今のところ明確な違いが見当たらないが、ともかく両者とも2パターンの同じ漬け方で仕込んでみる。

1)ざらめ、塩、酢を使った秋田県湯沢地方の漬け方

これに似た大きな梅漬けを義母からもらったことがある。ほの甘く、酸味も優しく美味しかったので真似したかったが詳細は謎(能代市に住む伯母からもらったらしい)。今回はネットで見つけた湯沢地方の漬け方を真似してみる。

ネットで見たレシピは、梅4kgに対して酢500cc、ざらめ1kg、塩3合の豪快な単位。
これを今回の重量に換算して

◆おうみ・なにわ:各600g、酢75cc、ざらめ150g、塩81cc≒86g

この分量で瓶に入れて漬ける。
向かって右がおうみ、左がなにわ(八助)。早期に梅酢が上がらないといかにもカビそうで怖い。

2)梅干し(塩分15%)

粒が大きいため、少しでも早く梅酢を上げるべくどちらも塩分15%で漬ける。カビは避けたいのでジップロックできっちり空気を抜き、実をつぶさない程度の重石もかけて様子をみる。

上がおうみ、下がなにわ(八助)。どちらも8粒で500g以上ある。でかい…

なんかこう梅というより(いや杏ですけど)柿とか別の種類の果物みたい

果たしてちゃんと梅酢が上がるか心配だが、この品種で梅干しを漬けている方もおられるようなので、とりあえずこれで行ってみよう。

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