伝統意識に潜むダンディズム 〜大江健三郎 『奇妙な仕事』を読んで〜
先日、大江健三郎の『奇妙な仕事』を読んだ。大江健三郎は、昭和中期から活躍している現代文学作家だ。長い間、読もう読もうと思うも、なかなか手がつけれなかった作家である。けれど、社会的な問題に切り込むセンセーショナルな作風は、噂で聞いていたので、今回ページをめくる時、期待に胸がおどった。
さて、『奇妙な仕事』は、大江文学の最初期に書かれた短編作品だ。大江健三郎は、この短編を大学在学中に書いている。
大学のアルバイト募集の広告に、犬殺しという奇妙なものがあり、お金を欲していた主人