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葛飾北斎~画狂人の一生展~

オンライン美術館FamiliArtは、オンラインならではの「いつでも」「どこでも」「何度でも」有名絵画を高画質&解説付きで提供しています。一人でも多くの方に芸術鑑賞の楽しさをお手軽に感じていただければと思います。

note上では、画像をクリックすると、より大きなサイズでご覧いただけますので、美術館で実物をご覧いただくようにお楽しみいただけます。
オンライン展覧会の入館料は550円です。無料公開の下にある「記事を購入する」をクリックしてご購入ください。一度記事をご購入されると無期限でご覧いただけます。

いつでも、どこでも、何度でも、日本の伝統とも言えるジャポニズムの巨匠葛飾北斎の作品たちをぜひ、ご鑑賞ください。

概要


世界で最も有名な日本人絵師として知られる葛飾北斎。アメリカの『LIFE』誌では「ここ千年間で最も偉大な業績を残した100人」で

唯一選ばれた日本であり、さらに同時期に活躍した印象派のどの画家をもさしおき、選ばれたアーティストでもあります。

世界を熱狂した北斎作品は、画業70年で3万点以上にもわたり、「赤富士」との名で慕われる『凱風快晴』やGrate waveの名で海外に知られる『神奈川沖浪裏』などが挙げられます。

また『北斎漫画』もその絵手本の仕様や大胆なプロポーションは、西洋の画家の目を惹きつけて放さなかったことでしょう。
ここまで後世に残る偉業を成し遂げたにもかかわらず、北斎自身は「あと5年あったら真の絵師になれたのに…..」と悔やむような言葉を残し亡くなっています。

90歳でこの世を去る最後の言葉が、名作を作り続けた男の最後が、なぜこの悔やむ言葉で終わったのでしょうか?

江戸時代も後半に差し掛かった1760年。現在の東京都墨田区に生まれ、江戸の小さな町で人気絵師となり、その生涯を江戸の中で終えた人物。それがどうして数百年経った今でも、これほど世界を唸らせる人物となったのでしょうか。

彼の狂気とも取れる奇抜な人生と、その一端を垣間見れる作品たちを見ていきましょう。

展覧会内紹介絵画

まずは、展覧会内に登場する絵画たちを高画質でじっくりご覧ください。

凱風快晴
二大美人図
諸国多岐巡り 下野黒髪山きりふきの滝
富嶽三十六景・神奈川沖浪裏
富嶽三十六景・江戸日本橋
富嶽三十六景 東海道保土ヶ谷
陽を浴びるポプラ並木 クロード・モネ
竹林に虎図
富士越龍図

それでは、絵画1枚1枚を詳細に見ていきましょう!(絵画解説)

1. 凱風快晴

凱風快晴

こちらの作品、何が描かれていますか?

「赤い富士山」
「緑と赤がある」
「山の傾斜が強い」
「雲が多い?」
「何だか怒ってるみたい?」

あなたには、何が見えますか?

通称「赤富士」で知られる『凱風快晴』は、「凱風」つまり初夏のそよ風と「快晴」よく晴れた景色のことを指します。北斎の代表作『富嶽三十六景』の中の1枚です。

聳り立つこの富士山の様子に、どこか北斎の熱気や狂気的な探究心を感じます。
この早朝に見られる富士山が赤く染まる現象。北斎はどう心に留めたのでしょうか。

この作品は「早朝の赤い日差しに照らされた富士山」を描いています。そう捉えると、この絵の外側を感じられるでしょう。例えば、太陽。裾野が緑なのは、まだ太陽が顔を出し始めで、下の森や小さな山に光を遮られているのでしょうか?

遠巻きの重たい雲を見ると、これからやってくる暑い夏の日を感じさせます。場所が代わり、これを見る北斎の周辺はどうでしょう。朝の江戸の街です。同じく富士山に目を向ける者、忙しなく走り出す者、まだぐっすりと眠る者。
江戸の人の賑わいが、画面の外から見え始めてきます。

北斎の作品には、このように外側を感じさせる不思議な力があります
一体どうしてでしょうか?

ここからは、時代を遡り、初期の作品から鑑賞していきましょう。

2. 夜鷹図

夜鷹図

北斎と言えば風景画。そんなイメージが強いですよね。
しかしこちらの『夜鷹図(よたかず)』は肉筆の美人画です。どんな作品でしょうか。1つずつ画面を追いかけてみましょう。

画面上部には、輪郭だけうっすらと見える月。その上にコウモリ。

コウモリと月


しだれ柳を伝って画面下に目線を動かすと、そこには傘を持った女性の後ろ姿。

着物には、力がスッと抜けた筆遣いが残り、落ち着いた夜の景色を感じさせます。足元の下駄の歯が高いことから、花魁とか遊女と呼ばれる方でしょうか。
傘はさっきまで雨でも降っていたのでしょうか。
女性の目線には何が、あるいは誰がいるのでしょうか。
ちょっとイメージしてみるのも面白そうですね。

1760年に生まれた葛飾北斎。19歳で浮世絵の世界へと足を踏み入れ、初めは勝川春章という役者絵や美人画が得意な絵師に弟子入りしました。当時の人気ジャンルは「美人画」そして「役者絵」。
今でも美人とイケメンの写真集は売れそうですね。「人気ジャンルの刷物で知名度を付け、さらに高く売れる肉筆画で儲ける」これが当時の出世ルートでした。春章率いる勝川派は、洗練された作風を見せ、大きく成長していた派閥でした。北斎も出世ルートの例にもれず、美人画を多く残しています。

今回の作品は、制作年がはっきりしていませんが、おそらく勝川派から離脱する頃、独自のやり方を模索していた時期と思われます。「夜鷹(よたか)」と呼ばれた下級遊女を後ろ姿だけで表現した作品。

画業初期の作品ですが、この頃の肉筆画も、現在高い評価を得ています。

次回の展覧会の告知

ここで、次回の展覧会の告知をさせていただきます。
次回の展覧会は2023年1月下旬を予定しております。次回開催予定の展覧会は
「ルノワール展」です。
今後もオンライン美術館FamiliArtでは、展覧会形式で様々な展覧会と絵画を紹介していきます。お楽しみにしていただければ幸いです。

3.二大美人図

二大美人図

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