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ベタなれハリスホークの真相

これからする話は、あまり楽しいものではありませんが、
ハリスホークの飼育を検討している方なら知って損はないものです。
ハリスを買って後悔してほしくないので書きました。
3分かからずに読めるので、最後まで読んでいただけるとうれしいです。

残念なことに、ハリスホークによる人身事故が近年増えていると聞きます。

誤解のないように述べると、猛禽類は本来おくびょうな生き物で、自分より大きな動物を恐れ、攻撃より逃げ出すことを選びます。なかでもハリスホークは小心者です。
にもかかわらず、どうして人間を襲ってしまうハリスがいるのでしょうか?

答えは、ハリスがどのように育てられたかにあります。

人を襲ったハリスのほとんどは、ひなの頃に親鳥と過ごした経験がないものでした。

その代わり、人間にさし餌をして育てられ、販売されたのです。
こうした個体はよくなつく、ベタなれといったふれこみで今でも売られていますが、
「人間を襲う可能性がある」という大きなリスクが隠されているのです。

人に慣れていない動物より、慣れている動物のほうが安全、と考える方もいるでしょう。
しかし、猛禽類には当てはまらない場合もあります。
親鳥に育てられたことのないハリスは、人に「慣れ過ぎて」しまうのです。

人間を恐れることを親鳥から学んでいなかったハリスは、怖いもの知らずです。
気に入らない人(特に子供)や嫌いな犬を見ると、追いかけていって足でつかむようになってしまう個体もいます。
攻撃行動をしつけや訓練でやめさせることはできません。
ハリスの握力はかなりのものがあり、顔をつかまれたら失明のおそれもあります。
飼っているハリスが人やペットに怪我をさせてしまったら、その責任は当然飼い主が負わなければなりません。

親鳥に育てられたことのないハリスでも、生涯おとなしい個体もいますが、
ある日突然攻撃的になる個体もいます。
人を襲い、不幸な最期を迎えるおそれのある個体をこれ以上作ったり、買ったりすることは必要でしょうか?

幸いなことに、利益を減らしてでも、ハリスを親鳥に育てさせるブリーダーや販売店が増えています。人がさし餌をすれば、生後1ヶ月程度で販売できますが、親鳥に育てさせる場合は生後4ヶ月程度まで出荷を遅らせる必要があります。この間に幼いハリスは人間を恐れることなどを親鳥から学べるのです。こうした個体が人間を襲うことは非常にまれです。これからハリスを迎える方は、利益より安全と鳥の幸せな生涯を優先させるブリーダーやショップをぜひ選んでください。私が飼育しているハリスは、もちろん親鳥に育てられたものです。

関連記事 ハリスホークは飼いやすい?
https://note.com/falconer/n/n97b63de1c17c

補足
親鳥に育てられたハリスであっても、早期に親から離すと人間にすりこまれることがあるので注意してください。孵化後16週目(4ヶ月)までは親兄弟と過ごさせ、遅くても20週目(5ヶ月)までに調教をはじめるのが最適だと言われています。孵化後12週目(3ヶ月)から調教をはじめた個体が人間にすりこまれてしまったケースがあるそうです。
また、親ハリスが人間にすりこまれている場合も注意が必要です。その場合は、子育て中に人の姿が見えない小屋である必要があります。親ハリスと人間が交流を持つ(餌やりも含む)シーンをヒナに見せてはならないからです。さもなければ、ヒナは親鳥の行動から人間は怖くないと学習してしまいます。


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