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「読書感想文課題図書(高校の部)」 FIKAのブックトーク#10
こんにちは、FIKAです
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「読書感想文課題図書(高校の部)」です。
高校の部ともなると、ほとんど大人向けの本ですね。充実のラインナップ3冊を紹介します。
「宙わたる教室」 伊与原新
学会の高校生部門で発表する生徒たち。そう聞くと、進学校に通う優秀な学生の集まりを想像しますよね。
でもこの小説の「科学部」の生徒たちは、定時制高校に通っているんです。
年齢も立場もそれぞれ違う彼らは、一人の教師のもと、科学部で理科の面白さに目覚め「火星の環境を再現する」というテーマで実験模型を作成し、ついには学会で発表するに至るのです。
ここだけ聞くと「ウソくさ!」と言いたくなりますが、彼らが科学に興味を持つようになる過程はとても丁寧に描かれています。
勉強が苦手で高校を中退した21歳の青年が科学部に入ったのは、子どもの砂遊び的な「火星のクレーターの再現実験」がきっかけでした。これなら理科の知識がなくても遊び感覚でやってみたくなると思いませんか?
SF好きな少女は、火星の模型に想像を膨らませて様々なアイデアを出します。
家庭科の知識が豊富なおばさんと、町工場の技術者である老人は、模型を形作っていく際に知恵と熟練の技を見せます。
いろんな方向にアンテナがのびたユニークなチームは、対立しながらも次第にお互いの事をわかり合うようになります。そして科学の面白さに目覚めていくのと同時に、自分の人生にもきちんと向き合っていくのです。
いや、でもやっぱり現実はこんなにうまくいかないよな…と思って「あとがき」を読んだらびっくり!モデルになった実話があるんだ!本当に学会で発表した定時制高校生がいたんだ!
いろんな意味で驚かされた、面白い青春科学小説でした。
「優等生サバイバル」 ファン・ヨンミ
「どれもダメだった時はひと眠りすること」「目の前にあることを「ただやる」こと」「メニューが今ひとつの時はパスすること」「思いを口に出すこと」
「大海原を想像すること」
優等生のジュノが考えた、青春を生き抜くための13の法則からの抜粋です。
韓国の高校生ジュノは、入学早々進学校の洗礼を受けます。高校に入って初めてのテストは全然できませんでした。中学では神童と言われたジュノもここでは平凡な新入生にすぎないことにショックを受けます。
そんな時、美少女の同級生・ハリムに声をかけられ有頂天になります。でも何度デートしてもしっくりこない。
むしろ親友のゴヌと入った討論サークルに居場所を見出します。優秀なボナ先輩に感銘を受けたり、活発なクラスメイトのユビンと話すのが楽しかったり、いろんな本を読んで勉強して討論したりします。
テストも課題もサークルも家庭の事情も大変だけど、友情に恋に学びに、ジュノの新しい世界はどんどん拡がって成長していきます。
普通の高校生のなんてことのない悩みや喜びに溢れた日々を等身大に描く素敵な青春小説です。日本も韓国も変わらないのだなあとつくづく思いました。
「私の職場はサバンナです!」 太田ゆか
南アフリカ政府公認の唯一の日本人女性サファリガイドがサバンナの動物たちの生態をいきいきと伝えるエッセイです。
ライオン、ヒョウ、ハイエナなどの肉食動物、キリンやゾウなどの草食動物、大空を舞う鳥類、さらにはシロアリ、フンコロガシ、アフリカマイマイ、昆虫類などサバンナの掃除人に至るまで、サファリガイドとして働く日々の中で目にする様々な生き物の生態が綴られます。
本当に動物が好きなんだなあと思わせる記述の一方で、動物保護や環境保護に対して色々悩む気持ちも吐露されています。
動物が大好きだから、彼らに自然の状態で暮らしてほしいけど、人間との共存を考えるとそうもいかない。自然と人間が共生するためにはどうしたらいいのか、色々考えながら今日も著者はサファリガイドを務めます。
以上、3冊の課題図書を紹介しました。
今年は中学、高校ともに面白い本が揃った豊作の年だったと思います。
読んで下さってありがとうございました。
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