映画『ルックバック』と『ブルーピリオド』
遅ればせながら映画『ルックバック』を観てきました。少し前に実写版の映画『ブルーピリオド』も見ていたのですが、この2作品を見て感じたことなどを…。
まず『ルックバック』。
とても素晴らしい作品。これほど余韻の残る映画も久しぶり。遅ればせながらスクリーンで観てよかった。
原作が発表された当時ツイッターで流れてきて一気に読んで、ちょうど「チェンソーマン」のアニメ化が話題だったタイミングだったのですが、その作品性の違いの意外さと、作者の藤本氏が当時まだ20代の若さに驚いたのを覚えてます。
その読み切りの漫画をアニメ化というのも驚きですが、尺も58分と短編での映画化。企画者であり監督でもある押山氏とエイベックスに賛辞を送りたいです。
ストーリーはざっと以下の通り。
自分の漫画に自信を持っていた藤野が、自分より画力が上の引きこもりの同級生・京本の存在を知る。
その悔しさから画力を上達させる為に脇目も振らず努力する藤野。勉強や友達付き合いもないがしろにして描きまくる。
しかし京本の画力には叶わず、描くことを諦めたあと、藤野はひょんなことから京本と出会い「藤野先生は天才」と告げられる。そのシーンも↓の予告で見れます。
自分が叶わないと思っていた相手から、逆に自分の方が凄いと認められる。この喜びを本作では藤野がスキップしたり駆ける姿で長めの尺で描かれている。
そこから二人で協力して漫画を描き、賞をとるなど成功していくのだが、進学のタイミングで京本は「絵が上手くなりたい」と美大への道を選ぶ。
その時、京本が藤野に投げかける言葉。
「藤野ちゃんは、何で描いてるの?」
たぶん藤野は自分を最も認めてくれた京本の為に描いていた。京本と一緒に漫画を描くのが楽しくて描いていた、のだと思う。
『ブルーピリオド』でも主人公の八虎が絵に目覚めたのは、自分が感じた通りに描いた青い絵を、友人達が的確に「早朝の渋谷」の絵だと気づいてくれたことに感激した事から始まっていた。
何かの作品を作る人たちだけでなく、誰もが誰かに「認められる事」で頑張れるし、続けられる。
承認欲求なんて言葉がネガティブに語られがちだけれど、認められる事があるって、とても幸せなんじゃない?てか、その為に生きてるんじゃない?
そんな事を自分の事も振り返りながら感じた『ルックバック』でございました。
まだ、もう少し公開中だと思うので是非劇場で。
あと実写版の劇場版『ブルーピリオド』も傑作でしたよ!八虎役の眞栄田郷敦だけでなく、女装したユカちゃん役の高橋文哉もハマってました。