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娘の就職・退職に関して思うこと

私には亡き息子と、彼の妹である今年23歳になる娘がいる。彼女は生後10ヶ月で遺族となり、表向きには「一人っ子」として育った。

メイクの美容専門学校に2年通ったが、時はコロナ真っ只中。人ととの接触がメインになるメイクの仕事での就職はほぼ皆無。限られた少ない求人に何社が応募したが残念ながら就職につながらなかった。

その後、フリーターとしてカフェで接客のバイトをしていたが、彼女なりに一人暮らしがしたい!という夢が芽生えたようで、正社員になると決意。これまで全く私の「とりあえずハローワークに行け」という助言を聞きもしなかった娘が、週に一度の面談に通うようになった。

そんな中、メイクの仕事ではないが美容院でのアシスタントという職種に応募、見事就職が決まった。面接の翌日には内定のお電話をいただき、3日後には初出勤というスピード感マッハの初就職となった。

本人は初の社会人として働くことになり、緊張と覚えることが多すぎてヘロヘロになっていたが、帰宅後にノートにメモを書いている様子を見て「社会人になったんだな」と微笑ましく思っていた。

しかし初出勤から3日後、ハローワークの面談のため仕事を早退させてもらった娘が「申し訳ないけど・・・やめるわ」とポツリ。

何があったのかと話を聞こうとすると何やら退職代行を探しているようで保険証の写真を撮っていたので、とりあえず落ち着くようにうながす。

理由はひとつではなく、いろいろな要素があるがざっくりいうと「怖い」とのことだった。

話を聴いていると「いやいや、それは当然やろ」と思うことも多々あった。「覚えることが多すぎる」などは初めての仕事なんだから徐々に慣れていくのでは?と口に出したい気持ちをぐっと堪える。

私は何も言わず泣きながら話す娘の話をひとつひとつ確認しながら聴いた。翌朝に辞めると一本電話することも怖くてできないという。休むという連絡すらできない、しかもグループラインには入っているが誰が誰で、責任者は誰かもまだ知らない状況。

どうするのがいいのか、ベストな方法ではないけれど退職の意思を伝え、貸与物を宅急便で送り、グループラインを退出した。

この一連の流れの中で娘が「なんでお母さんは何もいわないの?絶対怒ると思ってた」と話した。そりゃぁ本音を言えば「なんで辞めるねん」「まだ3日しか働いてないのに合うも合わんもわからんやろ」など滝のように出てくるぞ。

しかし溢れ出る怒号を飲み込み一言だけこう伝えた。

「冷たい言い方をすれば良くも悪くももう大人。自分で決めたことは自分の責任」

そう、彼女はもう20歳を超えた一人の大人なのだ。実家でぬくぬく暮らしていようが一歩社会に出れば親のせいでもなく、自分で決めていかなくてはならない。

こう思えるのは、やはり就労移行での経験が大きいと思っている。彼女のように意を決して就職したものの、他人からみれば「そんなことで」と思うことで会社に行けなくなった人をたくさん見てきたからだ。

人との距離感に悩み、人より多く傷つき、続けたくても行けなくなるほどの精神的負担。人からは「あまい」「努力が足らない」という言葉に傷ついてきた人たち。でももう一度、働くことにチャレンジしようとして頑張っている人たち。

そういった人たちのお手伝いがしたい、という思いはより強くなったように思う。

去年不合格だったキャリコン試験に、もう一度だけ挑戦しようと思っている。試験は今年の7月。そろそろ勉強始めないとまた同じ結果になるのは歴然だが、お察しの通り着手できていない。

電子書籍もまだできていない。ないないづくしではないか。

娘にあれこれいう資格なんぞないな、と反省しつつ時間だけは過ぎていく。娘にはまだ新しい未来と可能性に満ち溢れているが、50歳のおばちゃんにそんな余裕はないのだ。

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