ファシリテーション概念図

会議、チーム、組織、社会におけるファシリテーション

初めまして、まこつです。

東京の大学院に進学し、「グローバル・パートナーシップ構築へのファシリテーションの活用可能性」というようなテーマで研究をしてます(まだ始まったばっかりですが、)。元々は、沖縄で講座の形でファシリテーションを普及させる団体に所属してました。そうした経緯から、ファシリテーションって可能性にあふれてるよね?これが普及したら世界変わるなーって思いながら、でも、誰でもすぐできるわけじゃないしーと感じています。

ここからが本題です。

じゃあ、そもそもファシリテーションってなんなのか?そこから見つめ直します。これは、誰かのためになるかもしれないし、確実に自分のためにはなると思っています。

日本ファシリテーション協会の定義では

ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。その役割を担う人がファシリテーター(facilitatior)であり、会議で言えば進行役にあたります。ここはファシリテーションの基礎知識についてご紹介しています。

ファシリテーションという言葉が持っている意味が大きく、私自身もとっさに聞かれたりすると具体的な説明に困るのですが、

ファシリテーションとは、基本的には一人の人の活動をどうにかするというよりは、集団が何か方向性を持って活動を行いたい時に、その方向に向かって順調に進めるようリーダシップではなくフォロワーシップを発揮ながら集団の活動の中身や成果を促進する考え方です。

大きな意味ではそのような考えなのですが、具体的に四つのステップで分けて考えるとわかりやすいです。

これは、ある本に書かれていたファシリテーションの三つの段階にプラス1の段階をして作ったステップなのですが、①会議のファシリテーション②チームのファシリテーション③組織のファシリテーション④社会のファシリテーションがあります。(すみません本のタイトル忘れたので思い出し次第正確に引用します。)

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①会議のファシリテーション

まずは、会議においてのファシリテーションです。一つのミーティングや話し合いにおいてのファシリテーションだと考えてもらうと分かりやすいです。

会議においては、会議を開いた目的を達成するために、参加者の意見を引き出し、その意見をホワイトボードに書いたりしながら構造的に整理することで、全員の納得度を高めて合意形成を図ります。このようなプロセスを踏まないでただ漠然と会議を行っていると、声の大きい人の意見に流されたり、逆に同調圧力で誰も発言できなかったり、極端な意見か当たり障りのない意見に流れたりします。それを避けるために、参加者のそれぞれの意見とその共通点を見つけながら、会議をより円滑に進めていくのが会議におけるファシリテーションです。

これは、一般的に考えられるファシリテーションの定義に近いのかなと思います。

②チームのファシリテーション

次に、チームにおいてのファシリテーションです。会議のファシリテーションでは一回一回の会議においてファシリテーションをどう使うかをメインにした考え方です。

チームの活動では、基本的にプロジェクトや何らかの長期的な目標を目的に活動をするので、一回の会議を促進するだけでなく、プロジェクト全体を円滑にするために複数回の話し合いや話し合い以外でのチームビルディングなど、より全体的なアプローチが求められます。

例えば、チームが出来立ての時は、そのチームで最良のアイデアを出そうとするよりも、アイスブレイク(お互いを知り合ったり緊張をほぐすためのゲームなどや自己紹介など)をメインにやった方がいいかもしれません。そして、ただ議論をして解決策を出すのではなく、なぜこのようなプロジェクトを行っているのかというそれぞれの価値観を出していけるような対話の場を設定するのも必要です。プロジェクト自体は目に見えて進んでいるようには感じられないかもしれませんが、チームの結束やプロジェクトへのコミットメントが高まるようなアプローチも取り入れていかなければなりません。

そのようなアプローチを段階ごとに行うことで、チームとしての活動を促進するのがチームにおけるファシリテーションです。ここまでは一般的にイメージしやすいかもしれません。

③組織のファシリテーション

三つ目に組織におけるファシリテーションです。これは、複数のチームがある組織的な集団へのアプローチです。

具体的には、ある組織の中で営業部門と、開発部門、経営部門があった時に、それぞれの部門を横断した活動をファシリテーションするというものです。例えば、ある企業の中での話し合いを想定すると、ある商品が売れなくてその商品についてどうするか意思決定をしなければならない状況があるとします。その場合、営業部門は商品の質が悪くて、いくら販促しても売れないから商品自体を変えていく必要があると主張するかもしれない。それを聞いて開発部門は、良い商品を作ってもその商品の良さついてのうまく説明できない営業が悪いし、そもそも予算が決められているからその中での開発は限界があるというかもしれない。経営部門に関しては、この商品がそもそも市場に求められているのか、将来性はあるのかを考え、現状としては判断ができず、営業も開発ももっと売れる努力をしろと主張するかもしれない。

このような状況で、ファシリテーションをするにはどうしたらでしょうか。ファシリテーションとは、集団の活動をより促進し、全体にとって納得度がより高い合意形成を図るための考えだとお伝えしました。

この場合は、ファシリテーターは、営業部門の主張と開発部門の主張、経営部門の主張をどちらとも重要であると考えた上で、中立にこの話し合いに関わらなければなりません。具体的には、それぞれの主張をホワイトボートに書き、どこに問題があるのか、その問題は一つの原因に帰するのかを目に見える形で構造的にわかりやすくしていきます。そして、質問や傾聴を行いながら、自分の立場だけでなく相手の立場にも理解や共感を促していきます。最後に、一組織として何をより良い決断とするのかを全員の納得度が高まるように議論や対話を通して導いていきます。

つまり、組織においての相互理解と、より良い選択とより納得度の高い行動をチームを横断して促すのが組織のファシリテーションです。これは、組織の内部でポジショントークが溢れ、変化が起こしづらい状況で効果を発揮します。

④社会のファシリテーション

最後に社会のファシリテーションです。これは、組織と組織を超えて、社会としての変化を起こすファシリテーションです。会議レベル、チームレベル、組織レベルのファシリテーションを全てのレベルを含みながら社会全体でファシリテーションをしていくので、最も複雑で難しいファシリテーションになります。一般的なファシリテーションの考えだけでなく、多くの考え方やスキルが必要になります。これにより、ファシリテーションの持つ意味も大きくなっていくのですが、社会全体を円滑にしていくという意味で、社会のファシリテーションとしています。

具体的な事例としては、アダムカヘンという南アフリカのアパルトヘイトを解決に導いたファシリテーターの方がいるのですが、その方は、テロリストや政府側、一般市民など様々な関係者を一つの場に集め、最初は恐れや憎しみなどが渦巻いていた場をお互いの立場理解することを通して一つのチームとしてまとめました。そして、それぞれの利害関係者の対話を通して南アフリカの未来を話し合い、それを幾つかのストーリとして紡いでいくことで(シナリオ・プランニング)、どのような未来を私たちは目指していきたいかというビジョンを作りました。そして、政府、テロリスト、市民などの立場から私たちはAの未来を目指す、そしてBの未来には絶対に歩まない。などというように自分の選択や主張の土台としてこれらのシナリオを使っていくことで、南アフリカ全体としてどのような未来を歩んでいきたいかを明確にしました。このようなプロセスを踏まえ、南アフリカ全体で、対話が促進され、理解を希望が溢れ、具体的なアクションも行われていきました。その結果としてアパルトヘイトが終結しました。

こうした組織を横断し、そこでの対立を超えていくのがが社会としてのファシリテーションです。色々なファシリテーターの方がいますが、ファシリテーションを使って社会を変えていきたいと願う人は、このようなビジョンを持っているのではないかと思います。

以上がファシリテーションとは何か。そして、ステップごとの違いでした。


最後に構想として、

僕個人としては、最初にお伝えした通り、システムとしてのファシリテーションを作りたいと考えています。その理由として、会議、チーム、組織、社会においても土台となるファシリテーションをファシリテーターがいなくても活用できるようにすることが、社会のファシリテーションをしていく上で重要なことだとと考えたからです。もちろん、哲学的な視点を忘れずにシステム化した際の悪影響についても考えていかなければなりませんが、まずは研究の形でトライアンドエラーを繰り返しながら、ファシリテーションの普及に貢献できればなと思います。

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