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「それではみなさま、あちらの扉をご覧ください。幸せいっぱいのお二人、新郎新婦の御入場です!!」

幼なじみの結婚式。
こんなめでたい事はない。

「皆様、大きい声で!新郎新婦ご結婚」
『おめでと〜』

僕は精一杯声を出した。

「そして本日は何と、新郎様のお誕生日でもあります。せーのっ」
『おめでとー』

忘れていた。
誕生日に結婚式を挙げられるなんて、まったく羨ましい人生だ。

「さらにさらに、本日は新婦様のお誕生日でもあります。こんなに喜ばしいことがあるでしょうか。せーの」
『おめでとー』

同じ日に生まれたとは、なんとも運命的。
これからの二人の幸せが確約されてそうだ。

「さらには二人と共に暮らしている、ワンちゃんもお誕生日です。せーの」
『おめでとー』

ミルフィーユだ。
奇跡のミルフィーユ。

「さらに新郎様のご両親、ならびに」

え?

「新婦様のご両親のお誕生日でもあります。せーの」
『おめでとー』

もはや怖くなってきた。

「そして2人のお子様も今日が誕生日です」

え? 
子供いたっけ?

「前にご注目を!まさに今生まれようとしています。せーの」
『ひーひーふー』

僕は会場を飛び出し、力の限り走った。





プレゼントが足りなかったから。





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