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愛おしい。

近くの洒落たカフェでご飯を食べた。頼りになる友人に相談事があったのだ。彼女のことを密かに尊敬していると思う。でも朝早すぎて開店まで時間があったので、二人で玉川上水を歩いた。春が近い気がした。

そのあとは二人でぶらぶらと散歩した。学校の中、12号館の研究室の中、コンビニまで。

斬首に値するのだ

友人が妊娠していた。ことをついさっき知った。11月頃らしい。

内臓がひっくり返った。

いや、私は何を期待してこんなことを言うのだろう。もはや私には関係のないことのはずだが。私はこの心境とどう接せればいいのか見当もつかない。ただ巨大な困惑がそこにある。

しかしおそらく同様の何かを、私は与えもしなかったろうか──この文言には多大なる傲慢さが入り込んでいるのだが。ある一時までは、大切な人ではあった

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どうにも

お酒を飲んでいるとどうしようもなく惨めな気持ちになる。高揚する気分とは裏腹に、巨大な厭世観、厭人感に襲われる。語ることは私にとっては罪だからだ。ものをつくる手は、語る口よりずっと遅いから。語ってしまうと簡単に満足を得られるが、それでは何も残らない。究極の満足を得たいなら、沈黙を守り、手を動かすしかない。

来年のこと

自分の進退のことで悩んでいる。どうやって人生の選択を行えばよいのだろう。一方には利益と不利益があり、他方にはまた違った利益と不利益がある。どちらの方が価値があるのか。またはそれは後で振り返って回収できるものなのか。一見してそれらは見えない。後になってみなければわからないのだ。

ただ決断の重要性のみはひしひしと伝わってくる。いずれにせよ、私は何かを得る。そのかわりに何かを失う。それを決めなければな

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こんなに愉快な夜はない。

三日連続でお酒を飲んだ。今日が三日目。今日が一番楽しかった。本当に愛すべき親友たち二人と、お世話になった後輩と。

本当にいろんなことを話した。まあ大概はデザインに関わる話だ。今年の卒業制作展であの作品はよかった、あれは優秀賞だったとか、北海道の後輩のルーツ、北海道の自然、木工家具の豊かさ。デザインの可能性、直島のすばらしさ。もっと、他にもいろんな話を。

たくさんしゃべってた訳ではないけど、それ

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言語で記述不可能な世界

どうも音声言語が苦手だ。書き言葉はそんなに嫌いではないが、音声言語になると、とたんに弱い。人が多い場でのコミュニケーションは特にそうだ。悲鳴をあげたくなる。

言語についてはひと月前からずっと考えているような気がする。きっかけは4年生のHさんとたまたまエレベーターホールではち合わせた時だ。そのときにずいぶんいろんな話をしたように思う。別のIさんという方の作品を私はとても気に入って、そのことを説明す

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まどろみ

膝の上の猫は不思議な質量を持つ。ずっしりとした具体的な重さを持ち、それでいて表面にふわふわな柔らかさを持つ。

今日、岡山を発った。最後の日はいつも猫が甘えてくるような気がする。しばらくの別れを悟るのだろうか。今日も出かける直前、膝の上を猫に占領された。仕方ないと思いつつ、手でゆっくりとなで回しているうちに眠くなる。ごろごろ。はっいかん、そろそろ行かねば。予備校に寄り受験生に最後のアドバイスをし、

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健康が奪うものについて

体調が戻って来た。4日ぶりに「なにかを食べたい」と思えた。なか卯で食べた鴨うどんはおいしかった。よかった。もう一生固形物を食べられないと思っていたから。ものを食べるということは生きることそのものだな。喜びでもある。

そして、あまりものを食べずにいると集中力が保たれることに気づいた。多くの人に当てはまるかはわからないが、自分にとってはそうなのだ。空腹でいるときの方が野性が目覚めて精神が澄むのかもし

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自分にとって、なにかを体系づけて取り組んだり、考えたりすることは難しい。そのことのひとつはある程度まとまった長さの文章を綴るという行為だ。文章を綴っている間に話が脱線したりしてしまう。あるいは、集中力が続かずやめてしまう。いまこの文章を書いてる最中だってキーボードを打つことに意識を集中させようと必死だ。いろんな考えが浮かんで、そのことにすぐ心を奪われるのだ。そして、それまで綴っていた文章が色褪せて

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