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夏目漱石の『こころ』をレースで紡いで。ふたりの物語を語るハンカチタオル
夏目漱石が綴った名著『こころ』に登場する、「私と先生」「先生とK」「私と父」。彼らの間に存在した象徴的なモチーフを、まるで物語を紡ぐようにオリジナルレースに仕立て、別れを想起させる白いタオルハンカチを縁どりました。
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みなさま、こんにちは! 歴史と読書が好きなフェリシモ「ミュージアム部」プランナー・ささのはです。
みなさまは学生時代、国語・現代文の教科書や問題集に載っていたおはなしで、好きだった作品はありますか?
私は新美南吉の「ごん狐」、あまんきみこの「白いぼうし」、有島武郎の「一房の葡萄」、室生犀星の「幼年時代」、川端康成の「雨傘」など……教科書と問題集のおかげで様々な名作に出会い恋に落ちたのですが、その中でも夏目漱石の『こころ』は、大人になっても時々読み返してしまう、非常に印象に残った作品です。
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『こころ』のあらすじ:夏、友人に誘われて赴いた鎌倉の海辺で「私(主人公)」は「先生」と出会う。先生が落とした眼鏡を拾ったことから世間話をする仲になった主人公は、東京に戻った後に先生の自宅を訪ね、そこで先生が毎月誰かの墓を参っていることを知った。
先生に会うたび、彼が持つ不思議な魅力に惹かれ傾倒していく主人公は、やがて先生の「奥さん」とも親しくなり、彼女が語る思い出話から書生時代の先生の様子を垣間見、興味を抱くようになる。
夏目漱石が綴った『こころ』は、明治時代を舞台に描かれた長編小説です。「上 先生と私」「中 両親と私」「下 先生と遺書」の上中下三部の構成で書かれた作品で、発表されてから100年以上が経過する現代になっても、新たな解釈が生まれる謎多き名作でもあります。
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『こころ』にはさまざまな魅力があれど、登場人物たちの間に流れる一言では言い表せないような感情や関係性も、本作が持つ絶大な魅力のひとつではないでしょうか?
そして何より、魅力的な登場人物たちの葛藤や精神のあり方は「物語の中で彼らに訪れる別れ」をより印象的なものに見せているように思えます。
読む人の心にいつまでも刻まれる『こころ』の登場人物たちの魅力を、新しい形状に出力してみたい……。
そんなことを考えたプランナーが、試行錯誤の末に「私と先生」「私と父」「先生とK」の間に存在した象徴的なモチーフを、まるで物語を紡ぐようにオリジナルレースに仕立てあげました。
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そして、物語とレースの魅力を最大限に味わうために作り上げたタオルハンカチを、どうぞご覧ください!
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フェリシモミュージアム部
夏目漱石著『こころ』の物語を紡いで
ふたりの関係を繋ぐレースでふちどったタオルハンカチの会
月1枚 ¥2,000(+10% ¥2,200)
※1枚だけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。
切ない読後感もやさしく拭いとれるタオルハンカチ。
ハンカチを縁どるオリジナルレースデザインの詳細を、ご紹介いたします。
【先生とKを隔てた襖】
いつも東枕で寝る私が、その晩に限って、偶然西枕に床を敷いたのも、何かの因縁かも知れません。私は枕元から吹き込む寒い風でふと眼を覚ましたのです。見ると、いつも立て切ってあるKと私の室との仕切の襖が、この間の晩と同じくらい開いています。けれどもこの間のように、Kの黒い姿はそこには立っていません。私は暗示を受けた人のように、床の上に肱を突いて起き上がりながら、屹とKの室を覗きました。洋燈が暗く点っているのです。
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学生時代の先生と、その友人・Kの下宿先の部屋を隔てていた「襖」をメインモチーフにオリジナルレースを作り、タオルハンカチを縁どりました。
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私はまず「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」といい放ちました。これは二人で房州を旅行している際、Kが私に向って使った言葉です。私は彼の使った通りを、彼と同じような口調で、再び彼に投げ返したのです。しかし決して復讐ではありません。私は復讐以上に残酷な意味をもっていたという事を自白します。私はその一言でKの前に横たわる恋の行手を塞ごうとしたのです。
〈先生とKを隔てた襖〉のレースは、襖に用いられる和紙の種類から着想を得た「鳥の子色」と、物語の舞台である明治時代に流行した「栗梅色」の糸で仕立てています。
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せっかく選ぶからには、糸の色には出来るだけしっかりと意味を持たせたい……そう考えて、2色のうち片方の糸色は「色名にまつわる花言葉」も踏まえて吟味しました。
「栗梅色」……つまり栗と梅について調べたのですが、栗の花言葉には「私に対して公平であれ」、梅の花言葉には「高潔」「忍耐」「忠実」というものがあるそうです。
Kの生き様と精神のあり方を感じさせるような言葉に思えて、レースの糸色への採用を決めました。
【私と先生が交わした手紙】
その上私は書きたいのです。義務は別として私の過去を書きたいのです。私の過去は私だけの経験だから、私だけの所有といっても差支えないでしょう。それを人に与えないで死ぬのは、惜しいともいわれるでしょう。私にも多少そんな心持があります。ただし受け入れる事のできない人に与えるくらいなら、私はむしろ私の経験を私の生命と共に葬った方が好いと思います。実際ここにあなたという一人の男が存在していないならば、私の過去はついに私の過去で、間接にも他人の知識にはならないで済んだでしょう。私は何千万といる日本人のうちで、ただあなただけに、私の過去を物語りたいのです。
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主人公・私と、先生が交わした「手紙」をメインモチーフにオリジナルレースを作り、タオルハンカチを縁どりました。
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記憶してください。私はこんな風にして生きてきたのです。
〈私と先生が交わした手紙〉のレースは、漱石が執筆の際に好んで使っていたというインクの色から着想を得た「セピア色」と、物語の舞台である明治時代にはじめて日本に伝来した「わすれな草」の花の色の糸で仕立てています。
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わすれな草の花言葉は「私を忘れないで」というのだそうです。なんだか「先生」が「私」に書き残した言葉そのままではありませんか。
【私と父がさした将棋】
私は退屈な父の相手としてよく将碁盤に向かった。二人とも無精な性質なので、炬燵にあたったまま、盤を櫓の上へ載せて、駒を動かすたびに、わざわざ手を掛蒲団の下から出すような事をした。時々持駒を失なくして、次の勝負の来るまで双方とも知らずにいたりした。それを母が灰の中から見付け出して、火箸で挟み上げるという滑稽もあった。
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主人公・私と、病床にある主人公の父親がコタツで指した「将棋」をメインモチーフにオリジナルレースを作り、タオルハンカチを縁どりました。
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私は一言もなかった。詫る以上に恐縮して俯向いていた。父は平気なうちに自分の死を覚悟していたものとみえる。しかも私の卒業する前に死ぬだろうと思い定めていたとみえる。その卒業が父の心にどのくらい響くかも考えずにいた私は全く愚かものであった。私は鞄の中から卒業証書を取り出して、それを大事そうに父と母に見せた。証書は何かに圧し潰つぶされて、元の形を失っていた。父はそれを鄭寧に伸した。
〈私と父がさした将棋〉のレースは、将棋の駒の材料として有名な「ツゲの木」に着想を得た色と、物語の舞台である明治時代に生まれた色名「紫紺色」の糸でレースに仕立てました。
「紫紺色」とは、天皇即位の礼の幡(旗やのぼり)にも使われた、紫草の根で染めた色のことを指します。
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紫草の花言葉は「弱さを受け入れる勇気」だそうで……自らに静かに近づく最期を受け入れた、主人公の偉大なる父親に敬意を表してこの色を選んでみました。
綿100%のタオルハンカチ部分が、名作を読む際こぼれる涙をやさしく受け止めます。
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もちろん外出先でも大活躍。
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『こころ』のタオルハンカチは、本を愛する人たちにそっと寄り添ってくれるアイテムになること間違いありません。
みなさまの生活を、より素敵に彩ることができるのを楽しみにしております。
フェリシモミュージアム部
夏目漱石著『こころ』の物語を紡いで
ふたりの関係を繋ぐレースでふちどったタオルハンカチの会
月1枚 ¥2,000(+10% ¥2,200)
※1枚だけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。
~もっと作家・作品に触れたい方へ~
実際にプランナーが訪れた、
作家ゆかりのミュージアムその他の紹介コーナー
・新宿区立漱石山房記念館(東京・新宿)
夏目漱石が晩年の9年間を過ごした跡地につくられた記念館。偉大なる文豪の人生、人柄や交友関係、彼が生み出した作品の魅力について学ぶことができます。
館内に再現された漱石が執筆活動をしていた書斎は、全国から集めた数枚の写真を元に完全再現したのだそう。
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新宿区立漱石山房記念館
〒162-0043 東京都新宿区早稲田南町7
開館時間:10:00〜18:00(入館は17時30分まで)
休館日 :
月曜日 ※ただし、月曜日が休日の場合は、直後の休日でない日
年末年始(12月29日~1月3日)
その他設備維持のため等の臨時休館日
※設備メンテナンス等で臨時休館する場合がございます。
※ミュージアムの展示内容は訪問期間によって異なる可能性があります。
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
・博物館明治村 森鴎外・夏目漱石住宅(愛知・犬山)
明治時代の建築物を保存展示している野外博物館。大切に保存されている建物のひとつに、漱石の旧宅があります。
なんとこのお宅、漱石が借りる以前には『舞姫』『高瀬舟』などを執筆したことで知られる森鴎外が住んでいた時期もあったのだとか!
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博物館明治村
〒484-0000 愛知県犬山市字内山1
開館時間、休館日:開園スケジュールによる
※入村は閉村時間の30分前までとなります。
※イベント等の開催により、開村・閉村時間を変更する場合があります。
※ミュージアムの展示内容は訪問期間によって異なる可能性があります。
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
・道後温泉(愛媛・松山)
漱石の代表作のひとつ『坊ちゃん』の舞台となった、愛媛・松山にある温泉地。作中では主人公が道後温泉本館の湯壺の中をのびのびと泳ぎ回り、ある日「泳ぐべからず」の看板を貼りだされてしまうというシーンがあります。
ちなみに道後温泉本館・男湯の方には今も看板が貼り付けてあるとの噂も……。
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\フェリシモミュージアム部 文学シリーズ/
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記事内の作中文章引用元:
夏目漱石(1914)「こころ」青空文庫より
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