「青鯖が空に浮かんだような顔」?太宰治と中原中也のエピソードを詰め込んだ鯖の缶詰風ポーチ
詩人による斬新な暴言を添えて……!
作品だけでなく人間としても魅力的な彼らに感銘を受けて、文豪たちの交友エピソードを詰め込んだレトロかわいい缶詰風ポーチを作ってみました!
みなさま、こんにちは!
歴史と読書が好きなミュージアム部プランナー・ささのはです。
みなさまは「文豪」と聞くとどんなイメージを持たれますか?
「寝食を忘れて文筆活動にいそしむ、常人には理解が難しい複雑な感性を持った人物」でしょうか。
しかし実のところ、文豪たちだってごく普通の人間。
友人宅に居候中、カレーを100人前頼んでみたり、深夜、家に忍び込んだ泥棒を眼力で追い返したり、食中毒対策に熱心になるあまり大根おろしを煮て食べたり……。人々の心を揺り動かす作品を書き残した彼らにも、人間味を感じたり、思わずくすっと笑ってしまうようなエピソードがたくさん残っているのです。
数ある逸話の中でも、私が大好きなのは日本が誇る詩人・中原中也と、無頼派を代表する作家・太宰治の出会いと伝わる、「酔っぱらった中原中也が初対面の太宰治に向かって青鯖が空に浮かんだような顔をしている!と絡んだ」という、強烈な出会いのエピソード……!
~太宰治と中原中也とは~
〈太宰治〉
青森県出身。『走れメロス』『斜陽』『人間失格』などを執筆した、新戯作派(無頼派)を代表する作家。
〈中原中也〉
山口県出身。主に昭和期に活躍し、今は日本を代表する詩人となった。
多くの作品を残したが、生前刊行された詩集は『山羊の歌』のみ。
一見なんの繋がりもないように見える二人の出会いのきっかけは、太宰治らが立ち上げた文芸同人雑誌『青い花』に、中原中也が同人として参加したことだといわれています。あまりにも天才的な「空に浮かんだ青鯖のような顔」発言は、ふたりが東京のとあるおでん屋で顔合わせをした際に飛び出したとか。
しかし、この詩人ならではの斬新な言葉選び、まさしくセンスの塊……!
作品だけでなく人間としても魅力的な彼らに感銘を受けて、文豪たちの交友エピソードを詰め込んだレトロかわいいポーチを作ってみました!
作家といえばホテルなどにこもり執筆に専念する「カンヅメ」、そして鯖といっても「缶詰」……ということで、二人の交友関係をレトロかわいい缶詰風デザインに落としこんでいます。
ポーチのデザインには、知れば知るほど面白い文豪たちにまつわるモチーフを詰めこみました!
【正面デザイン】
サバと言えば、太宰の出身地・青森県でも獲れる「ゴマサバ」「マサバ」の二種類。今回は太宰の繊細な一面に思いを馳せて、柔らかい肉質が特徴の「ゴマサバ」をイメージキャラクターとして採用してみました。
青鯖を美しく彩るのは「桃の花」。これは太宰が、酔っぱらった中也に「お前は一体なんの花が好きなんだ!!??」と詰め寄られた際に答えたお花でもあります。
【背面デザイン】
正面を飾るゴマサバくん。太宰の著作「葉」の冒頭には夏という季節がキーワードとして出て来るのですが、ゴマサバの旬も夏だそうで、親和性を感じますね^^
中也といえば!!!
トレードマーク?の御釜帽子もデザインに取り入れました。
ちなみに太宰、中也について陰ではこっそり「ナメクジみたいにてらてらしたやつ……」と悪口を言っていたそうです。いつでもやられっぱなしだった訳ではないのですね。
二人の始まり、同人雑誌『青い花』は、ドイツ・ロマン主義の作家・ノヴァーリスによる小説のタイトル『青い花』より名付けられたのだそう。太宰と同人メンバーとの仲たがいにより、残念ながら『青い花』の歴史は創刊1号で幕を閉じました。
バーコード風デザインもばっちりで、まるで本物の鯖の缶詰のようです。
太宰ファンのみなさま、こちら何を表す数字かわかりますか?
細かいロゴ風デザインまで、文学風味を感じさせるデザインに。
背面一部には二人の出会いのエピソードがいい感じに書いてあるので、文豪好きの方には布教用アイテムとしてお迎えいただくのもオススメです^^
ポーチひとつで溢れるほどの情報をお楽しみいただけます!
エピソード満載のポーチ、もちろん見た目だけじゃありません。
ポーチの内側にはポケットが2個あってこまごましたものを整理でき、収納力もバツグンなんです。
おしゃれに気を使っていた太宰治を想いながら、コスメを持ち運べますね。
太宰治と中原中也。
最初の出会いは驚きに満ちたもので、その後も酔っぱらった中也が真夜中に太宰の家に押しかけて大騒ぎをしたりと、決して穏やかな交友関係を築けていた訳ではないようです。
しかし中也が亡くなった時、太宰は「中原は詩人として段違いだった」と天才の早すぎる死を悼みました。
ネットが発達している現代と違い、本を一冊世に出すためにも、人と人との直接的な繋がりが重要だった時代。多くの文豪たちが作品を執筆する傍ら、作家同士の興味深い交友関係を繰り広げていたのです。
このポーチをきっかけに、そんな魅力的な作家たち・そして彼らの作品に興味をもってくださる方が、もっともっと増えますように!
~もっと作家・作品に触れたい方へおすすめ~
実際にプランナーが訪れた、
作家ゆかりのミュージアムその他の紹介コーナー
【太宰治関係】
・太宰治文学サロン(東京・三鷹)
太宰終焉の地・三鷹にある記念館で、直筆原稿の複製や初版本、初出雑誌など様々な貴重な資料を公開されています。定期的に開催される企画展示も、マニアックなネタがあっておすすめです!
・Lupin(東京・銀座)
無頼派の作家たち(メンバーは太宰治、坂口安吾、織田作之助)による座談会が開催された会場になったバー。椅子の上に両足で乗り上げているポーズが有名な太宰の写真は、ここルパンで撮影されました。
ちなみに太宰が腰かけていたのは、プランナーのお席から左2席となり。
・神谷バー(東京・浅草)
太宰の代表作『人間失格』にも登場。電気ブラン(ブランデーやジンなどに薬草を混ぜたお酒)が看板メニュー。
【中原中也関係】
・中原中也記念館(山口・湯田温泉)
中也の出身地である山口県にある記念館。広々とした綺麗な空間で、作品のみからは読み解けない中也の魅力をじっくりと学ぶことができます。
・中也ビール(山口・湯田温泉)
中原中也の名前を冠した山口の地ビール。温泉上がりにぴったりでした!
※二人の邂逅の場となったおでん屋さん・おかめは昭和30年代頃までは営業されていたのが分かっているのですが、その後閉店してしまったそうで……大変残念です><
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