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短篇小説集

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ぽつりぽつりと書いてゆく小さな物語をここにまとめます
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#ゆるし

星をひろう

星をひろう

鏡に黒いビニールをはりました。

荒れはてた部屋をうつす鏡に、これはお前の心の中さと、冷たく言われた気がしたからです。

しめった万年床。ぬぎすてたくつ下。さめきったカップ麺。おまけにへしゃげたあきカンだらけ。

かたむきそうなアパートの一階で、昼も夜も、酔いどれたわたしの頭を過去が堂々めぐりします。

いがみあい、ののしりあい、ゆるせなかった男との生活は、怒りにかられた離婚への道のりでした。

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