糸賀 太

ヒロイックファンタジーが好きです!より広い意味でのファンタジーに手を出すも、しばしばフ…

糸賀 太

ヒロイックファンタジーが好きです!より広い意味でのファンタジーに手を出すも、しばしばフリッツ・ライバーに引き寄せられてます。ライバーが太陽で、幻想と冒険にみちた系内を飛んでいく彗星が小生とでもいいましょうか。あれこれ読んでるつもりでいて、実は太陽系のなかをぐーるぐる。

マガジン

  • フリッツ・ライバー宛、片思い感想文

    フリッツ・ライバーという作家が好きで、1〜3ヶ月に一回、彼の作品について書いてます。既訳および未訳作品へのネタバレを含む言及もあります。

  • 読書感想文ほか

    ファンタジーやSF(いずれも広義の意味での)の感想文です。 Photo at header by NordWood Themes on Unsplash https://unsplash.com/photos/ivP3TYdLvw0

  • Planescape:Torment(ほかAD&D系ゲーム

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白馬と盗賊のニューヨーク【読書感想文】

盗賊と馬が出ればヒロイックファンタジー、たとえNYが舞台でも。と、いうのは言いすぎかもですがヘルプリンの『ウィンターズ・テイル』はヒロイックファンタジー(剣と魔法、Sword & Sorcery)好きとして大満足でした。 この作品を読みましたマーク・ヘルプリン 岩原明子訳『ウィンターズ・テイル』上下、早川書房、2014の電子版(ハヤカワ文庫epi)、原書は1983年、同訳者によるハヤカワ文庫FT版は1987年。 本作はニューヨーク(市)を舞台に、19世紀末から約100年に

    • 電書レイアウト比較

      この記事は、いくつもの出版社から電子書籍が出てるSF小説のレイアウトなどをざっくり見比べた結果を書いたものです。 フリッツ・ライバーの『The Big Time』には、いくつかのKindle版があるが、ひととおりサンプルをダウンロードした(ごく一部は買った)限り、著者の序文があるのは、以下のTor版だけだった。さっすがTor。 残念ながら、Tor版には段落間の空白が無いから段落ごとに区切って「今日はここまで読もう」と気合をいれづらく、英語が苦手な自分にはちとつらい。 出

      • 故殊能将之先生によるフリッツ・ライバーへの言及は、何度よんでも味わい深い。ライバーの小説を読んだあと(読みながら)先生の文章を読むと、たしかにそうですよね、と言いたくなる記述に出会える。https://web.archive.org/web/20040623212909fw_/http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/Reading/leiber.html

        • フリッツ・ライバー、吾妻ひでお、中島らも(芋づる式読書の記録)

          酒の害について自分が好きな作家はどこまで書いていたかな?と、思い立って書いた記事です。お食事中の方は気分を害されるかもしれませんので、スクロールする前にご一考くださいませ。 作品同士が結びつく、ということで電線の写真をお借りしました。この場を借りて御礼申し上げます。 *** 「地獄落ちの朝」の解説にあるように、フリッツ・ライバーはアルコール依存症で、その体験をフィクションに仕立ててもいる(中村融編『時を生きる種族』2013、東京創元社215頁)。死なずにすむ幸運に恵まれ

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        白馬と盗賊のニューヨーク【読書感想文】

        • 電書レイアウト比較

        • 故殊能将之先生によるフリッツ・ライバーへの言及は、何度よんでも味わい深い。ライバーの小説を読んだあと(読みながら)先生の文章を読むと、たしかにそうですよね、と言いたくなる記述に出会える。https://web.archive.org/web/20040623212909fw_/http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/Reading/leiber.html

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          20本
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          3本

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          土地から紡ぐ読書体験『シカゴ育ち』

          好きな作家さんと同郷である別の作家さんの作品を読む。そんな風に土地を手がかりにした芋づる式読書の感想です。 シカゴつながりで写真をお借りしました。この場をかりて御礼申し上げます。 この作品を読みましたスチュアート・ダイベック 著, 柴田元幸 訳, 『シカゴ育ち』, 白水社, 2003, (もとは1992に単行本として出た本の白水uブックス版)原著は90年刊行で、ダイベックにとっては二番目の短編集にあたる。 ダイベック(1942-)はシカゴ生まれのシカゴ育ち。私がお気に入

          土地から紡ぐ読書体験『シカゴ育ち』

          「ランクマーの夏枯れ時」を再読した。ファファードが酔いつぶれてから眠るまでの間に一拍、迎え酒を確保するための動作が入るところ、時間が引き伸ばされるところが気持ちよかった。

          「ランクマーの夏枯れ時」を再読した。ファファードが酔いつぶれてから眠るまでの間に一拍、迎え酒を確保するための動作が入るところ、時間が引き伸ばされるところが気持ちよかった。

          好きな作家の手書きメモを眺めた

          作家フリッツ・ライバーの遺品のうち紙ものを、ヒューストン大学が電子化して公開してくださっている。 なにがうれしいって、ライバー本人の手書きメモ(あるいは差出人によるメモ)から、メモが書かれた瞬間における作家の身体動作や思考が垣間見えることだ。 【御礼】手書きという主題にあったイラストをお借りしました。この場を借りて御礼申し上げます。 以下のURLを使うと、いわゆるギャラリー表示可能 https://digitalcollections.lib.uh.edu/catalo

          好きな作家の手書きメモを眺めた

          Sterallis(宇宙開拓、交易、征服などをやってくいわゆる4Xゲーム)で読書リズムが崩れて嬉し悲し。

          Sterallis(宇宙開拓、交易、征服などをやってくいわゆる4Xゲーム)で読書リズムが崩れて嬉し悲し。

          もしも(「吾輩は猫である」の登場人物)苦沙弥先生がStrayを遊ぶさまを、あの猫が見ていたら……。

          もしも(「吾輩は猫である」の登場人物)苦沙弥先生がStrayを遊ぶさまを、あの猫が見ていたら……。

          フリッツ・ライバー未訳短編の面白み

          西欧風ファンタジーにおいてはやられ役?な竜と蜘蛛に主人公二人をたとえてみせる、作家フリッツ・ライバーの融通無碍なアイデアに脱帽。 読んだものFritz Leiber, The Curse of the smalls and the Stars, (The Knight and Knaves of Swords, Open Road Media, 2014所収), 初出は1983年3月のジェシカ・アマンダ・サーモンスンによるアンソロジーHeroic Visions (ISDS

          フリッツ・ライバー未訳短編の面白み

          ポーランドのボクサー榴弾砲

          ある本から別の本へ、つながりをたぐりよせて読んでいくのは楽しい。 『フルメタル・パニック! FAMILY』という長寿シリーズ(略称フルメタ)の最新作をきっかけに『ポーランドのボクサー』を手に取り、それぞれの登場人物について身勝手な憶測をめぐらせる、そんな読みをした。 ヘッダー画像は、移動や引っ越しといった、上記二冊の本に共通する点にちなんでお借りいたしました。この場を借りて御礼申し上げます。 読んだものこれは、以下二冊の話をする記事です。 エドゥアルド・ハルフォン著・

          ポーランドのボクサー榴弾砲

          推しから推しの推しへ 読書感想文

          フリッツ・ライバーの小説に出るヒロインは涼宮ハルヒが気に入りそうな者たちが多い。(たぶん既に誰かが言ってる) 本から本へわたりあるくイメージにあうとおもい、ヘッダー画像をお借りしました。この場を借りて御礼申し上げます。 まえがきシェイクスピア俳優の息子が書いた小説に「ジョン王」らしさが混ざってました。たぶん偶然なんですが、その小説の名は「クォーモールの王族」(フリッツ・ライバー著、浅倉久志訳『妖魔と二剣士』所収)といいます。 一種のPR広告ということでフリマアプリのアフ

          推しから推しの推しへ 読書感想文

          【ネタバレ有】音楽好きじゃない?『鑑識レコード倶楽部』のこと

          レコード倶楽部に所属しているのに音楽好きじゃない、と非難されてしまった主人公はどんな奴なのか?と考えつつ『鑑識レコード倶楽部』について語ってます。 レコードつながりでヘッダー画像をお借りしました。この場をかりてお礼申し上げます。 この作品を読みましたマグナス・ミルズ 著 柴田元幸 訳, 鑑識レコード倶楽部, 2022, アルテスパブリッシング, (諸事情でkindle版を購入) 原題はThe Forensic Records Society, ハードカバー版が2017年

          【ネタバレ有】音楽好きじゃない?『鑑識レコード倶楽部』のこと

          語りの名人クラウディウス

          クラウディウス帝を描いた歴史小説から、フリッツ・ライバーの「クォーモールの王族」らしさを感じ取れた。 ヘッダー画像:UnsplashのJohannes Beilharzが撮影した写真 この記事は古代ローマの小説について書いているので、ローマから南にいったところの海岸の写真をヘッダーとしました。Thank you. この作品を読みましたロバート・グレーヴズ著, 多田智満子・赤井敏夫訳, 『この私、クラウディウス』, みすず書房, 2001, 原著は1934年にニューヨークと

          語りの名人クラウディウス

          登場人物の性別が想像と違っていたこと

          シールバに性別を含意する単語が使われていて驚いた。フリッツ・ライバーの未訳短編小説「The Curse of the Smalls and Stars」(ファファードアンドグレイマウザーのうち一作)を読んでいたら、シールバの性別が書いてあったのだ。 (この場を借りてヘッダー写真の撮影者さんに御礼申し上げます。上述の小説の登場人物の描写、および描写から私が想像したイメージは、影絵のようなものなので、こちらのモノクロ写真をお借りしました) ちょっと深呼吸。本記事の趣旨は、翻訳

          登場人物の性別が想像と違っていたこと

          ありがたや、冬の王三部作が完結 読書感想文

          14世紀のルーシが舞台で、けなげな魔女やきえかけの精霊たちの歴史ファンタジーを読みました。 冬の炉端で活字に触れるというイメージに胸を打たれ、ヘッダー画像をお借りしました。この場を借りて御礼申し上げます。 この作品を読みました冬の王三部作は『熊と小夜啼鳥』『塔の少女』『魔女の冬』からなる小説です。 原著はそれぞれ2017,2018, 2019年に出版されていて、翻訳は一作目が2022年、二、三作目は2023年に出版されました。著者はキャサリン・アーデンという方で、訳者は

          ありがたや、冬の王三部作が完結 読書感想文