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夜が明けたらアフリカへ

夜が明けたら、私は日本を離れ遠いアフリカの国へ向かう。
平静を装っていても、やっぱり平静ではない。
それならいっそ、今しか感じることのできない心の機微をとらえて、ここに記しておこうと思う。

会いたい人にたくさん会えてよかった

まず思うことは、会いたいけど会えていなかった人たちに会えてよかったことだ。長らく会っていなかった友達にも会えた。久しぶりに会うとなんだか緊張してしまうけど、気づけば昔と変わらないバカな話をしていた。それが嬉しかった。
多くの人も経験することだと思うけど、社会人になってから人付き合いが仕事を中心に構築されていく。決して、それが悪いことだとは思わないけど、時々息苦しくなることもある。仕事というものでつながっている以上は、どうしても相手に素直に自分を出せないことが多い。
本当は私は、花の話とか、空の話とか、ここに書けないような話がしたい。そんな中で自分のまま話すことができる学生時代の友達が、本当に大切で尊い存在だとあらためて感じた。私とくだらない話をいっぱいしてくれてありがとう。
それと、当時の私が未熟なばかりに学生時代に関係をこじらせてしまって、5年ほど連絡できなかった友達がいた。もう会わないし会えないと思いっていたけど、その時の記憶がずっと心につっかえていた。忘れたいと、忘れちゃいけないと思いながら、いつか謝りたいとずっと思っていた。その友達と再会を果たし、仲直りすることができた。それも嬉しかったし、心が軽くなった。
別に海外へ行くことがなくても、その気になればみんなに会えたのかもしれない。ただ、私には久々の友達に会う勇気を持てなかったし、日々の生活を無機質に送っていたなかで、それまで友達に会うという行動を起こせないでいた。
海外へ行くということがきっかけになって、みんなにまた会うことができたのは確かだ。だから、そんなきっかけができたことは、とてもありがたい。
そして出国を控えている今は、みんなと会えなくなることがとても寂しい。人とのつながりをいつも以上に大切にしていきたいと思っている。

つながりが拡がって嬉しい

次に思うことは、つながりが拡がって嬉しいということだ。
タイトルでは旅と書いてしまっているけど、私はアフリカのルワンダ共和国という国で2年間、ボランティア活動をする予定だ。その活動に関連して、多くの方々とつながっていくことができた。普段の生活の中では絶対に関わることのないような大学の先生や官僚の方、私の活動に関わる企業の皆さまと関わる機会を持てたことで、自分自身の考え方や視野を拡げていくことができた。
先ほども言ったように社会に出ると仕事を中心に人間関係が形作られてしまう。私は専門職に就いているので、なおさらだ。その中で新たな出会いの機会ができたのは、やっぱりありがたい。
私は海外協力隊としてルワンダへ赴任する。派遣に先立って、2ヶ月ほどの研修を東北で受けてきたのだけど、やはりその時もいろいろな人たちに会うことができた。いろいろな地域からいろいろなバックグラウンドを持つ人たちと関わったことは大切な思い出だ。みんなと関わりあう中で、自分の位置もわかったような気がする。これからも付き合いを続けていくことができれば嬉しい。

研修中、
地元の農家さんのもとへ農作業のお手伝いへ

日本を離れることがブルー

それでもやはり今はブルーだ。
決して、ルワンダへ行くことに対してブルーになっているわけじゃない。日本を離れることに対してブルーになっている。今まで見てきた風景や食べ物や香り、そしてそばにいる家族や友達と2年間も会えなくなるなんて、耐えられない。みんな大好きだ。本当に耐えられる気がしない。私は心がもろいほうだと思う。いつも周りに支えてもらって何とかここまで来ることができている。この環境を離れることがとても悲しい。
正直、今はルワンダに行った後のことを事細かに想像できる余裕がない。だけど不安があるわけではない。自分の知識や技術で開発途上国に貢献できるチャンスをいただけたことは、本当にとても幸せなことだ。

愛してやまない道頓堀

今より成長しないと

私はおそらく過大評価を受けている。実際は周りに支えていただいたことと、運がよかったことで、ここに立っているだけだ。本当は、本当に何もできない人間なのに。でもこのままじゃ、ここから先にいよいよ進んでいけないと直観している。内心ではとても焦っている。
ここから先に進んでいくためには、自分自身が今よりも成長していかないといけない。技術者としてもそうだけど、まずは人として、自分の理想にはなれなくても、そこを目指していく姿勢を持ち続けないといけない。ルワンダでの活動の中で、自分自身も成長していきたいし、そうなれないと、現地の人たちの力になることはできないと感じている。とにかく、今のままじゃだめだという焦燥感は、出国を前に大きくなっている。

農業用水路の点検

新たな環境が楽しみでもある

接する人や身を置く環境によって、現れる自分の側面は変わってくると思う。悪く言えば、「人によって態度を変える」ということにもなるのかもしれないけど、それとは違う。
親しい間柄であっても、家族や友達によって自分のどんな側面が出てくるのかって変わりませんか?私は変わる。
対話は共同作業だから、相手に合わせる、合わせてもらう過程は必要だと思う。だから相手によって紡ぎ合う対話の形だって異なるはずで、それは相手によって照らされる自分の側面は変わるということだ。
ともあれそんな価値観を持っている私としては、私のことを誰も知らない、日本とは全く異なる環境を身を置いた時に、どんな自分が現れるのか、楽しみでもある。
そして何より、現地の人と一緒に生活を送り、一緒に問題について取り組んでいく。そんなチャンスをいただけたことは本当に幸せなことだ。
もちろん不安もある、というか不安の方が比率は遥かに高いけど、真心で楽しみだと思っている自分もいる。

スリランカの茶畑にて
この旅は海外に関心を持ったきっかけの1つだ

まとめ

海外を志したことで人とのつながりの大切さをあらためて心に刻むことができたし、そのつながりを拡げていくこともできた。だからこそ、今は日本を離れることに対してブルーになっている。みんなと離れたくない。
ルワンダについた後のことはほとんど考えることができない。だけど、まったく新しい環境の中で、自分自身がどう変わっていくのか。楽しみだ。
ひとまず、成果をあげられるかなんてことはさておき、現地の人と同じ目線にたって生活を送ることができれば、それでいいと思う。ルワンダの文化や生活、そして現地の人たちのことを大好きになれたら、そんなに幸せなことはない。大切な素敵な2年間にしていけたら嬉しい。

地元の水田地帯、なんて美しい風景なんだろう


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