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ポエム

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ポエムをまとめたものです。
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#散文詩

罰と穢れ

罰と穢れ

人は闇を恐れて火を作った。
神様は人を恐れて焼き払う。
雲のように空に広がる黒煙。
夕焼けのように広がる炎。
罪を浄化するように。
アダムとイヴの原罪の処置を後悔するように。
完全な正義はいらない。
穢れある自分でもいい。
人は闇や影も受け入れることを
選択する。
信じるのは自分の両手。
#詩 #散文詩

【後書き】
んー……ここ最近夕日について詩を書くことが多くて……写真は素敵だと思ったのです

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街クジラ3

街クジラ3

街クジラ。
なんでそう呼ばれているかは分からない。
呼び始めた人は
もういないし。
その人のことは
地域史にも書かれていない。
ただ言葉だけが伝わっている。
形もクジラっぽくない
それは街クジラと呼ばれている。

ごくたまに潮吹けば
街を覆い尽くすように
肺とか土砂とか
撒き散らしたり
飛散はせたり
限りなく街は
ゼロになっていく。
思い出なんて無機質に放棄され
見なかった景色を作る。
落日する茜

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とある子どもの詩

※ 悲しい気持ちになるし、ハッピーエンドでもありません。苦手な方は読まないでください。
個人の想像なので、実際にはどうなのかは分かりません。

父は母の悪口を言い
母は父の悪口を言い
それを聞いた私は
どちらも自分にとってはかけがえのない親だと知っているのに
なぜこんなことを聞かせるのだろう?
と思っていた。
口に出せば
「よくあること」
と一笑にふされることを知っているからだ。

テレビでは「こ

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自分のスタイル探索中

訴えたいものがない。
自分が得意なスタイルが分からない。
それが自分の悩みだったりします。

twitter上にヌーヌさんという繊細なタッチの絵描きさんがいらっしゃって、
その方の絵を引用ツイートして詩を書かせていただくことも多いのですが。
平易な言葉でも表現の幅は生まれるなと…感じることも多く、
空想をたゆたせることで、思いがけない作品が生まれることを感じています。
そこで、今日はヌーヌさんの作

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詩を始めてみて

詩を始めてみて

いろんな言葉がある
それは知っていたはずだった
どのことばをえらぼう?
どのコトバを組み合わせよう?
どう使えば効果的?
どう言えば伝わる?
どう言えば隠せる?
どう言えばあなたの気持ちに寄せる?
どう言えばあなたを傷つけられる?
ぞんざいに
そっとされたり
ふわっとされたり
重かったり
軽かったり
愛されたり
投げられたり
委ねたり
委ねられたり
本当の価値なんて
本当は知らない
誰かを見る

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QOLクオリティオブライフ

QOLクオリティオブライフ

父も母も90近くなった。
盆と正月だけは帰省している。
蝉時雨とぎらつく陽光に
汗をしたたせながら玄関をくぐる。
庭の朝顔。きっと母がまだ育てているのだろう。
居間にはテレビを陣取った位置にいる
父が気難しい顔で
高校野球を見て、若干興奮している。
タンクトップにステテコ。
この人は家ではいつもこの格好のような気がする。
テーブルにはゆでたての枝豆。西瓜。塩。メロンときゅうりの漬物。ビールが置いて

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生命の讃美歌

生命の讃美歌

月下美人の白さに呼応するように白い光を放つ三日月。
2つは淡く光りながら。
自分たちが満ち足りていくこと。やがて、欠けていく
渦の中にいることを知っていた。
喪われていくもの。生まれていくもの。
渦の中に溺れる人の微かなつぶやきに
風にそよいだ月下美人が頷くように。

地球の人は
月を見て、「あそこに行くんだ」
そう願いをもった。
人々は繋ぎあい、その夢の果てにたどり着く。
夢のかけら……月の石と

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本日答えたお題2023/06/05

本日答えたお題2023/06/05

光が明るくて、影が暗いなんて誰が決めた?
ポジティブな影があっても良いし、ネガティブな光があってもいい。眩しいほどの影。目を閉じると優しく染み込む光。
一縷の希望の影なんて表現をしたら、差し伸べてくる誰かの手の映像が浮かぶように。

お題『光と影』るぅにぃ様

死にたくない。生きたい。にアンチテーゼはいらない。

お題『アンチテーゼ』言葉の添え木様
#詩 #散文詩 #1行詩 #言葉の添え木 #る

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希望が生まれること

希望が生まれること

目覚ましが鳴る前に目覚める。
眠れなかった夜もある。
今日は眠れた夜。
カーテンを開け、換気をする。
新しい朝。新しい空気。新しい光。
新しい1日。
口ずさむ歌は明るくいたい。
憂鬱な予定はぶっ飛ばして、
憂鬱な気分は吹き飛ばして、
憂鬱な自分も波に乗って、
それでいいんだよ。きっと。
また新しい明日を。
明日を、何度も繋げて、
その果てに、見上げる朝日に。
新しい詩。新しい歌。新しい言葉。
変わ

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夏への爆弾

夏への爆弾

初夏のグレープフルーツを昨日食べた。
解放されていく酸味に、青い空の味。
柑橘の匂いに、終わった春の匂い。
新しい季節への手触り。
どこかの作家がレモンを爆弾に見立てるなら、グレープフルーツは夏への爆弾だ。
雨季を迎える憂鬱を歯応えの存在感と、弾ける酸味で、爽快に飛散させる。
夏はもうすぐ。半袖も出しておこう。

お題『グレープフルーツ』言葉の添え木様
【後書き】
連想法。五感を使って対象を観察。

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2023/05/30 ULTRACELLさんへの返詩(返詩編)

2023/05/30 ULTRACELLさんへの返詩(返詩編)

それでは、前記事解釈編を踏まえて、返詩を試みたいと思います。

下記リンクをがULTRACELLさんの詩です。ご参照ください。

で、こちらが松本の解釈編です。
https://note.com/f35821matsumoto/n/n8aeb3019e2bf

敗北感が降り積もる。最初は傷にも思わなかった。
「次がある」と。「負けなければ、いつか勝ちもある」と。
そんな自慰を営む。
負けを重ねる度

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繋がれていく不透明さ

繋がれていく不透明さ

人は虚構をずっと紡いできた。
神話とか、かみさまとかの信仰を。
昔話とか、民話とかの物語を。
短歌とか、ソネットとかの詩(うた)を。
童謡とか、民謡とかの歌を。
能や歌舞伎との演劇を。
落語や講談なんかの話芸を。
絵画や彫刻などのアートを。
現代の私たちも
言葉や数字をつかって虚構をつくれ、
簡単に発信できます。
虚構のアートたち。
可謬(かびゅう)性を抱える学説や仮説。
本音が見えない私たちは、

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酷薄

酷薄

張り裂ける音を鳴らせ、
呼吸する肺に直接入っていそうな突風に、
叩きつけるような豪雨。
心音をかえりみる余裕すらない氷が
芯から体に染み込んでいくように。
涙の一雫が落とす音は聞こえない。
稲妻がさえずる。
目がにじんで、ぼやき、視界は乱れ荒れていく。
台風のその様子は、
白日に暴かれるのを拒む
ある種の感情に似ている。
死海のほとりで
鎮魂歌を紡ぐ竪琴の弦を
焼き裂くような。
その感情との葛藤の

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本日答えたお題 2023/06/01

本日答えたお題 2023/06/01

お題 『唇』 るぅにぃ様

伝達だけの器官じゃない。
理性だけじゃなく、嘘を、秘密を、本能を、感性を唇は語る。
摂食だけではない、快楽と性愛の交換も時には行われる欲望の器官。
ルージュを塗るのは保湿と虚飾のためだけじゃない。性と、生のためでもある。
#るぅにぃからのお題

お題『孤独など怖くはない』ウサギと馬様

孤独には孤独の過ごし方がある。
孤独にしか出来ない過ごし方がある。
孤独な時にしか

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