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繋がれていく不透明さ

人は虚構をずっと紡いできた。
神話とか、かみさまとかの信仰を。
昔話とか、民話とかの物語を。
短歌とか、ソネットとかの詩(うた)を。
童謡とか、民謡とかの歌を。
能や歌舞伎との演劇を。
落語や講談なんかの話芸を。
絵画や彫刻などのアートを。
現代の私たちも
言葉や数字をつかって虚構をつくれ、
簡単に発信できます。
虚構のアートたち。
可謬(かびゅう)性を抱える学説や仮説。
本音が見えない私たちは、
時として本音と称して蜂蜜のようなレトリックで
きれいに粉飾された本質から離れたことを
口にする。
真実なんて、誰かがそう思いたいだけの一つの説だったり。
自分たちの足元が不確かなに思える今の中。

昔、好きだったのに誰かに好きと言えなかった切ない感情とか。
大切な誰かを失った時に慟哭したくなる切り裂かれるような気持ちも
見えなくて、形がなくて、いつでも明瞭にあるわけでもなく、それはあります。
そして、誰かに名付けられたあなたの名前も、きっと。あなたへの記憶や記録と共に残ります。
それは人類規模から見れば小さいけれども。
小さくても、幸せな人生を送れますように。そう誰かに願われただろうあなたに。
だから、不透明な世界に、
自分の不透明さを抱えながら、
なんとか生きていけているのかもしれません。

お題『受け継がれるもの』言葉の添え木様

#言葉の添え木 #詩 #散文詩

【後書き】
生命の受け継ぎについては『葉っぱのフレディ』に敵わないし。
ホモサピエンスは認知革命、虚構の共有をしたから発展したのだという話を思い出して。

あと後味悪くなりそうだったので、他のお題に使おうとしていたネタをくっつけました。

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