マガジンのカバー画像

ポエム

58
ポエムをまとめたものです。
運営しているクリエイター

記事一覧

新型スペイン風邪

新型スペイン風邪

新型スペイン風邪をひいてしまった。
激しい頭痛と筋肉痛、倦怠感。
病身から見れば世界はキリトリ線の向こう。

綺麗な花火も雑音です。
美味しい梨も水っぽくジャクジャクです。
ちょっとポルノは見られません。

県境にある職場に休みの連絡。
正しく恐怖するのが大切です。
タダシイ知識とテキセツな対応していきましょう。
差別は絶対いけません。
旧型スペイン風邪の時の教訓です。
「県外に行ってない?」

もっとみる
万能感

万能感

褒められたい
好かれたい
愛されたい
自信を持ちたい

神さまが完全なら
どうして
人間を
みんな正しく
みんな賢く
みんな優しく
してくれなかったのだろう
そんなことを
何もない惑星に
もっていっく

神話や
教科書は
フィクションか
つまらない話ばかり

なんでもできる人に憧れて
そうなりたいし
なれないけど

不完全な自分は
いつも誰かに
叱られてばかりで
否定されている気持ちで

自分の気

もっとみる
割り切れない

割り切れない

パピコは半分こしたくなるのに
雪見だいふくはしたくない。
パピコは半分に割り切れるデザインだけど
雪見だいふくはフォークが一本しかないから。
フォークのシェアも
雪見だいふくを
手で食べるなんてできなくて。

出会いを求めて
出会い系サイトに登録
どんな出会いをお探しですか?
割り切りで会いませんか?
1人の男と女が
性とお金を絡めて会う。
割り切れますか?

ネットでの心ない発信に
言葉を投げた

もっとみる

書く時間2

書く時間。
書かれるものは
潮の満ち引きとか。
月の満ち欠けとか。
星座のお話メモだとか。
渋滞の先頭のヘッドライトから
最後尾のテールランプの距離だとか。
今日見た雲の形とか。
海の石のスケッチとか。
私の点をつぶやく。
今の点をつぶやく。
過去は優しい線で紡ぐ。
未来は私の選択で編む。
黒い気持ちは書き殴るように塗り潰して。
書き忘れた気持ちを
書き足す余白は
見つけた希望の在処のようで。

もっとみる
罰と穢れ

罰と穢れ

人は闇を恐れて火を作った。
神様は人を恐れて焼き払う。
雲のように空に広がる黒煙。
夕焼けのように広がる炎。
罪を浄化するように。
アダムとイヴの原罪の処置を後悔するように。
完全な正義はいらない。
穢れある自分でもいい。
人は闇や影も受け入れることを
選択する。
信じるのは自分の両手。
#詩 #散文詩

【後書き】
んー……ここ最近夕日について詩を書くことが多くて……写真は素敵だと思ったのです

もっとみる
街クジラ3

街クジラ3

街クジラ。
なんでそう呼ばれているかは分からない。
呼び始めた人は
もういないし。
その人のことは
地域史にも書かれていない。
ただ言葉だけが伝わっている。
形もクジラっぽくない
それは街クジラと呼ばれている。

ごくたまに潮吹けば
街を覆い尽くすように
肺とか土砂とか
撒き散らしたり
飛散はせたり
限りなく街は
ゼロになっていく。
思い出なんて無機質に放棄され
見なかった景色を作る。
落日する茜

もっとみる
私の日2

私の日2

※ 意味が分かれば18禁の官能詩ですので苦手な方はここで読むのをやめてください。

私の日です。今日は私が貴方を支配します。
信頼と秩序が約束された蠱惑的な儀式を始めましょう。
限りなく黒に近い私色に貴方を染める儀式です。
私は限りなく黒に近いと表現しましたが
使われるツールには極彩色のものが多いです。
それは極彩色ですら
染め上げてしまうような色濃い儀式だからです。
極彩色程度を使わなければ、生

もっとみる
返詩 樹海みたいな場所

返詩 樹海みたいな場所

さてさて、Twitterにてフォロワーさんの朗読を通じて拝聴して、改めて拝読させていただいた作品です。
朗読された方には朗読の感想をしたら、作者の方に良いねをいただいて「そういえば、作品の感想は書いてないな」と。

感想としては「樹海みたいですね」と言いたいですが、そのまんま言っても伝わるわけがないし、いちおう詩垢なので返詩で。
以下は、その方の作品を引用しての返詩とさせていただきます。

深々と

もっとみる

とある子どもの詩

※ 悲しい気持ちになるし、ハッピーエンドでもありません。苦手な方は読まないでください。
個人の想像なので、実際にはどうなのかは分かりません。

父は母の悪口を言い
母は父の悪口を言い
それを聞いた私は
どちらも自分にとってはかけがえのない親だと知っているのに
なぜこんなことを聞かせるのだろう?
と思っていた。
口に出せば
「よくあること」
と一笑にふされることを知っているからだ。

テレビでは「こ

もっとみる

自分のスタイル探索中

訴えたいものがない。
自分が得意なスタイルが分からない。
それが自分の悩みだったりします。

twitter上にヌーヌさんという繊細なタッチの絵描きさんがいらっしゃって、
その方の絵を引用ツイートして詩を書かせていただくことも多いのですが。
平易な言葉でも表現の幅は生まれるなと…感じることも多く、
空想をたゆたせることで、思いがけない作品が生まれることを感じています。
そこで、今日はヌーヌさんの作

もっとみる
食べる夜

食べる夜

食べる夜。
食べられる夜。
食べられない夜。
そのままで食べられる夜。
そのままでは食べられない夜。
夜には色んな味がある。
甘い夜とか。
甘酸っぱい夜。
ほろ苦い夜とか。
それはみんな食べた人の感想で。
食べたことがない人には
まだ味がわからない。
だから、食べたことがない人は
食わず嫌いなのか。
食べ方を知らないのだと思う。
ピスタチオを殻ごと噛んでも食べられないんだよ
リンゴはそのままでも、

もっとみる
詩を始めてみて

詩を始めてみて

いろんな言葉がある
それは知っていたはずだった
どのことばをえらぼう?
どのコトバを組み合わせよう?
どう使えば効果的?
どう言えば伝わる?
どう言えば隠せる?
どう言えばあなたの気持ちに寄せる?
どう言えばあなたを傷つけられる?
ぞんざいに
そっとされたり
ふわっとされたり
重かったり
軽かったり
愛されたり
投げられたり
委ねたり
委ねられたり
本当の価値なんて
本当は知らない
誰かを見る

もっとみる
QOLクオリティオブライフ

QOLクオリティオブライフ

父も母も90近くなった。
盆と正月だけは帰省している。
蝉時雨とぎらつく陽光に
汗をしたたせながら玄関をくぐる。
庭の朝顔。きっと母がまだ育てているのだろう。
居間にはテレビを陣取った位置にいる
父が気難しい顔で
高校野球を見て、若干興奮している。
タンクトップにステテコ。
この人は家ではいつもこの格好のような気がする。
テーブルにはゆでたての枝豆。西瓜。塩。メロンときゅうりの漬物。ビールが置いて

もっとみる
生命の讃美歌

生命の讃美歌

月下美人の白さに呼応するように白い光を放つ三日月。
2つは淡く光りながら。
自分たちが満ち足りていくこと。やがて、欠けていく
渦の中にいることを知っていた。
喪われていくもの。生まれていくもの。
渦の中に溺れる人の微かなつぶやきに
風にそよいだ月下美人が頷くように。

地球の人は
月を見て、「あそこに行くんだ」
そう願いをもった。
人々は繋ぎあい、その夢の果てにたどり着く。
夢のかけら……月の石と

もっとみる