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「森田療法」について


森田療法は、対人緊張、強迫症状、パニック発作などの神経症や慢性うつ状態に有効な精神療法です。

不安や悩みを自然な感情として、「あるがまま」に、自己をよりよく生かしていく治療法です。


〈目次〉
1.森田療法とは
2.対象となる疾患
①社会不安障害(社会恐怖、対人恐怖症) 
②パニック障害、広場恐怖
③全般性不安障害  
④強迫性障害
⑤身体表現性障害   
⑥軽症だが慢性のうつ  
3. どのように悩み・不安・恐怖に「とらわれ」るのでしょうか?
4. 森田療法における「とらわれ」から離れる方法とは?


1.森田療法とは
森田療法とは、慈恵医大精神神経科・初代教授の森田正馬(もりたまさたけ)が自らの体験を通して創始した、入院を基本とする神経症の精神療法です。


日本で生まれ、独自に発展したこの治療法の特徴は、神経症の不安や恐怖を排除するのではなく「受け入れること」で「とらわれ」から離れるという点、また、自分の中にある健康な力や自然治癒力を最大限に生かしていくという点にあります。

恐怖や不安は生きようとする欲望(生の欲望)と表裏一体のものであり、人間誰もが持っている自然な感情です。 

しかし神経症の状態では、不安や恐怖を「あってはいけないもの」として「排除しよう」とするあまり、かえってそれに「とらわれ」、症状が発展するという悪循環におちいってしまう場合が多いのです。

森田療法では、不安を「あるがまま」に受け入れながら、よりよく生きようとする欲望を建設的な行動という形で発揮し、自分らしい生き方を実現することを目指しています。

入院治療の中でのさまざまな体験によって、不安や悩みを受け入れながら、症状への「とらわれ」から離れることができ、生きる意欲が生かされてくるのです。


2.対象となる疾患

①社会不安障害(社会恐怖、対人恐怖症)
人前でひどく緊張する、人とコミュニケーションがうまくとれず悩んでいるなど。

②パニック障害、広場恐怖
突然動悸が激しくなり、息苦しく感じる、電車や人ごみを避けるようになるなど。

③全般性不安障害
様々なことが次々心配になり、いつも緊張してリラックスできないなど。

④強迫性障害
様々なものが不潔に思え、繰り返し手洗いせずにはいられないなど。ばかばかしいとは思いつつも、ある考えにとらわれてしまう(カギの確認など)。

⑤身体表現性障害
身体の病気ではないのに、身体症状が続きとらわれてしまうなど。多くの場合、症状は心理的ストレスと関係している。

⑥軽症だが慢性のうつ
憂うつな気分、気力の減退が続くなど。

※森田療法は、以下のような方々に適した療法です。
・自分の生活を立て直そうとする意欲を持った方。
・神経質な性格(内向的、小心、ものごとを気にしやすい、心配性、完全主義、負けず嫌いなどが特徴)の方。


3.どのように悩み・不安・恐怖に「とらわれ」るのでしょうか?


悩み・不安・恐怖などの不快な反応に注意を向けると、不快な反応はますます強まります。

するとさらに不快な反応に目が奪われる、という悪循環が起こってしまいます(これを精神交互作用と呼びます)。

さらに、これらの反応を「こうあってはならない」「もっと強くならなければならない」という考えによって排除しようと努めれば努めるほど、一層それを強く意識してしまいます(これを思想の矛盾と呼びます)。

このようにして神経症の症状を固着させることになってしまうのです。

4.森田療法における「とらわれ」から離れる方法とは?
悩み・不安・恐怖などの不快な反応は、「生きたい」という意欲と裏表一体のものです。


つまり、私たちは「よりよく生きたい」という欲望があるからこそ、悩み、不安になり、怖がるのです。

森田療法では、不快な反応を取り去ろうとするのではなく、「あるがまま」に受け入れることが、「とらわれ」の悪循環から離れる方法だと考えています。

そのような姿勢に転じれば、かえって不快な反応は早く流れ去っていくのです。 

そして悩みを持ったまま、治療を通じてさまざまな体験をしていく中で、自分の持つ健康な力や豊かな感情に目が向くようになっていきます。

参照元: 「東京慈恵会医科大学付属 第三病院」Webサイト

以上

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