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浅草/ 神谷バー『デンキブラン』

時代は変わっても、デンキブランの存在は変わらない。


浅草の「神谷バー」に『デンキブラン』と名付けられたカクテルが登場して、およそ百年の歳月が流れた。

電気がめずらしい明治の頃、目新しいものは、「電気○○○」と呼ばれた。

デンキブランはアルコール45度。
一口飲むとからだがシビれるように熱くなる。
まるで電氣のようだ。

そのカクテルのベースはブランデー。
だから『デンキブラン』と名づけられた。

ブランデーをベースに、ジン、ワイン、キュラソー、薬草などがはいっている。

それぞれの分量は秘伝であり秘密。

あたたかみのある琥珀色。
ほんのりとした甘味。うわさで人気が出た。

デンキブラン

大正時代。
浅草六区(ロック)で活動写真(映画)を見る。
見たあとの興奮を胸に一杯十銭のデンキブランを一杯、二杯と味わう。
それが庶民にとっては最高の楽しみだった。

明治・大正・昭和・平成・令和。
時代は変わっても、デンキブランの存在は変わらない。

デンキブラン。それは下町のカクテルであり続けている。

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※現在のデンキブランはアルコール30度、電氣ブラン<オールド>は40度です。

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