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隣のアイツは何してる?~ラボインタビュー vol.7 VIVISTOP GAKUGEI準備室

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東京学芸大学Mistletoeが取り組む新たな教育の試み、Explayground(エクスプレイグラウンド)。
Explaygroundには、子どもたちや学芸大を始めとした各大学の学生、教職員、地域住民などが参加し、今後、企業や行政などとの共同研究の核となっていく「ラボ」が多く存在します。
しかしラボにおける活動も、コロナ禍による影響を大きく受け、大幅に制限されたり活動自体を休止したりしています。
でも、何事にも学びはある。
第7回は、VIVISTOP GAKUGEI 準備室の佐藤桃子さんに話を伺いました。

●最初にVIVITAについて教えてください。
VIVITAはもともと、子どもたちにクリエーティブな学習環境を提供することをミッションに、場としてのVIVISTOPや、クリエーティブツールとしてVIVIWAREというプロトタイピングツールの開発などをやっている会社です。

ラボ活動としては、Explaygroundの取り組みが始まった際に住友林業さんから寄贈いただいた建物、CLT comboを拠点として、色々な人が自分で物を作ったりできるよう環境整備をやりつつ、私たち自身も学生さんや子どもたちと一緒に何かを作る創作活動を展開していく「VIVISTOP GAKUGEI 準備室」として関わっています。

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(ハンドツールのほか、レーザーカッター、3Dプリンター、カッティングマシーンがあります)

●学芸大は教えることを教えている大学でもあるので、VIVITAの特徴の1つとして「教えない」というポイントが皆さんの興味が湧く部分かと思いますVIVITAでいうところ「教えない」とはや、柏の葉やほかの場所で運営しているVIVISTOPの手ごたえ、難しさなどを教えていただけますか。
そうですね。まずは柏の葉のことを少しお話ししますね。私たちはもともと、千葉県柏市にある商業施設内で、VIVISTOP柏の葉という会員の子どもたちが自由にモノづくりをできるスペースを運営していました。基本的に柏の葉では、スタッフが段取ったりとか、こうしましょうとか言ったりしなかったので、子供たちはみんな自由に動いていました。
ちなみにVIVISTOP柏の葉は今年3月で閉めてしまったので、現在は新しい展開を色々と準備をしている最中です。

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(以前のVIVISTOP柏の葉)

話を戻しますが、そうすると子供たちは自分自身が好きなことやっているので一生懸命なのですが、例えば新しい道具の使い方にチャレンジするというようなことは結構難しいなと感じていました。
子どもたちは早く完成させたい気持ちが強く、みんなどうしても今日完成させたい!みたいなことを言うわけですね。
来週も来ればいいじゃん、と私は思っていたんですけど(笑)
なので、そのためにあまり遠回りしたくないし、早く完成させたいから失敗している暇もなく、新しい道具を使いたい気持ちにならないわけですよね。この部分は結構難しいところだと感じていました。
また最初から「自分でやらなきゃいけない」というマインドセットで入ってきてもらわないと、チャレンジにならないというのも最近思うところです。
柏の葉では結構スタッフが多くいたこともあり、「どうしても今日完成させたいからやって」と言われたら、やってあげちゃうこともありました。そうすると子供たちは、一回やってもらえると思うと自分でやらないんですよ。あと、子供たちの活動をみていると「子供も失敗したくないんだな」とたまに思いますので、一緒に失敗するという経験はけっこう大切なことだと考えています。
VIVISTOP柏の葉のすぐ隣に親水空間としても整備されている調整池があります。雨が降っていない時は水際まで人が立ち入れるんですけど、雨が降るとその貯水池として機能させるために人が入れなくなるような場所です。
その池に毎年、藻が大量発生するので、昨年は藻が増えるんだったら池の中に溶けている栄養分を生かして水耕栽培ができるんじゃないかという仮説のもと、千葉大の先生などに相談し、竹で作ったイカダを池に浮かべて、そこに子供たちや我々が育てた野菜の苗を植える実験をやったんですね。

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(調整池 兼 親水空間のアクアテラス)

これがですね、苗が育たないんですよ。子どもたちの苗だけでなく、もちろん大人が育てた苗も育ちませんでした。生育状況をいつでも共有できるようなサイトを作り環境整備までしたのですが、全然ダメでした。モノづくりとは文脈がずれる話なのですが、このような一緒に失敗するという経験は結構大事なことだなと最近思い始めています。
皆さんにお披露目するほど大層なエピソードじゃなくて申し訳ないんですけど、何か一緒に失敗するほうがみんな盛り上がるので楽しいですよね。

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(イカダ型水耕栽培装置。苗が育たない!)

●Explaygroundのラボの一つであるGREEN TECH Engineer LABの中学生たちは、よく出入りしていますね。
VIVISTOP GAKUGEI 準備室を一番活用していますね。この中学生たちには、自分たちで道具を使いこなせるようになって欲しいと思い、レーザーカッターだとか3Dプリンターなどの使い方からメンテナンスまで結構みっちり教えました。
最近ではかなり使いこなしてきて、自分たちの活動に必要なものを色々と作ることができているので、そういうのはいいなあと思ってやっています。
毎回20人近くの中学生が来て、ドリルドライバー使って何かやったりとか、樹名板をアクリルで作ったりとか、色々とチャレンジしています。

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●この子供たちが先日、中学校に何かを納品していましたよね。
スノコを納品していました。あとベンチも大学図書館に納品していましたね。子供たち自身が自分でやってみるという担当の先生の基本スタンスを見守りながら、私も関わりたいなと思っています。
この中学生たちから、たまにアドバイスを求められ答えるんですけど、何故か大概は聞いてもらえないんですよね(笑)。安全だけ大人が配慮しつつ、やってみてたくさん失敗すればいいんじゃないかなと思い見守っている感じですね。

●ちなみにこの中学生たちはいっぱい失敗していますか?
私から見ると失敗したのかなと思うことはありますけど、それをどう受け止めているかは彼ら自身の問題なので私にはわかりません。他人から「これどうなの?失敗したの?」って言われると気持ちが落ち込みますが、自身が気付いて失敗認定する場合だとすごく前向きの失敗なので、なんかすごく受け止め方が違うんだなと思いました。私だって「あれダメなんじゃない」とか言われると、凹みますし。

●さきほど、新しい道具を使うきっかけづくりが難しいとお話がありましたが、待つこと以外に何か手がかりはありますか? 
周りでやっている人がいるっていうのは、すごく時間はかかるけど、きっかけづくりの王道なのかなと思うところがあります。

VIVITAの例でいうと、エンジニアやデザイナーなど元々モノづくりをしていた人がたくさんいるなかで、私を始めとした運営や企画などの必ずしもモノづくりのバックグラウンドを持っていない者が、一緒に仕事をしていくなかで徐々に覚えたり、やってみようかなって思うようになっていくことがよくあります。私はVIVITAに勤めて4年経つのですが、入社した時は何一つ道具類を使えなかったんですけど、今は少なくともCLT combo(VIVISTOP GAKUGEI 準備室)に設置してある道具類は、大体何でも使えるようになりました。入社後、最初の1年は使えなかったので難しいことには変わりないですが、周囲に影響を受けるのは大人も子どもたちも一緒だと思っています。

少なくとも周りでやっている人がいないと、あっそういうのもあるんだとか、そういうことできるんだと思うきっかけも見つからないと思いますので、ある程度やっている人が集まっていることも大事なのかもしれないなと最近感じ始めました。

●学芸大生を始めとした大学生との関わりはいかがですか?
コロナ渦ということもあり、やはりなかなか難しくこの1年以上、歯がゆい思いをしています。
最近はメンバーの長岡が大学生と接点を持って、一緒に先生たちにインタビューをして、それを人形劇の形で編集してお届けする企画をやったりしており、少しずつ接点が増えつつあります。また今後は、VIVITAのつながりがある別の学校でやっているプログラミング系の授業みたいなのをやれるように企画もしていこうかと思っております。
ただやっぱり、学芸大生はすごい忙しいのかなと思います。授業も部活も皆さん熱心にされているので、それ以外の余白が少ないんだなーというのは、学生と雑談しているなかから感じました。
東小金井駅と武蔵小金井駅間の中央線の高架下にある学生シェアハウスと連携した活動も6月から始めたところなので、私たちがやりたい活動に興味を示す学生がいればいつでも歓迎しつつ、学芸大生に限らずシェアハウスの学生がやりたいことの支援もしていけるといいのかなと考えています。


●これまで教えて頂いた企画以外に、学芸大生とやりたいことや、こんな学生に来てほしいとか、こういうことができたら面白そうなど、アイデアのタネがあれば教えてください。
まだどうやって具現化していくかを検討していないのですが、技術系や美術系の学生さん以外に是非参加してもらいたいと思っています。
例えば、算数とか数学を専攻している学生と、その多角形はレーザーカッターでカットして組み立てたら一瞬で体感して分かるみたいな企画を勝手に想像しています。
なので、色々な教科の学生と探究のプロセスのなかで、それちょちょっと作ってみたら解決するじゃないかみたいな企画ができるとすごくいいなと妄想しています。
このインタビューを読んで興味をもたれた学生さんがいれば、是非、VIVISTOP GAKUGEI 準備室を使ってもらいたいですね。

●学校現場で課題解決型の取り組み、何か課題を子供たちに与え、目標にむかって自分で解いていくみたいなことをやった際、途中にモノ作りが挟まっていることがあります。
その際、作りたいものが作れないから目標のハードルを下げてしまうこともあるのですが、当初に見立てた目標にたどり着くよう頑張るという努力も教育プロセスとしては大切にしたいという側面もあります。
VIVITAでは、例えば子供たちがジェットコースター作りたいと言った場合、進捗を見守りながら無理だったらハードルを下げたり、逆にサポートしながら当初目標を達成させたり、難しいと思うのですが、どうしてますでしょうか。
ご指摘の通り、これはすごく難しいことで常に悩んでいます。ただジェットコースターづくりは子ども自身が作りたいと言って始めたことですし、ほかにはVIVITAロボコン大会などの時は、大会に参加する上でどんな目標を持つかはひとりひとり違っていて、それは子ども自身が決めています。ですから大人から課題が与えられるという状況とは、ちょっと違うかもしれません。

子供たちが自分で作りたいものがある時、言い方が難しいのですが、その子ども自身が何か課題を達成したくて作りに来るというよりは、作る行為自体が楽しいから来ている面もありますので、そういった文脈で、目標が与えられて、それに対してストレッチするのはなかなか難しいかなとも思います。
作るのが楽しいということを感じる時間も必要だと思いつつも、ストレッチしていくことをどうやっていったらいいのかなどを、私たちもやりながらいつも答えもなく悩んでいるところです。

●ありがとうございます。難しいですよね。子どもの能力を伸ばすという視点に立たない方がいいのかもしれないですが、やってもらうことも大事だし、子どもたちにやりたいことやらせるっていうのは非常に共感できることですね。
学芸大のなかでやらせていただいているので、子どもたちにどんな学びがあるのかを考え続けたいなと思う一方で、まあでも作ることが楽しいも大事だよねと思うところもあり、非常に日々悩ましいなと常々思っています。こちらこそありがとうございました。

(了)

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インタビュアー:Explayground
編集:フジムー、ミーコ
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●過去記事
vol.1 変人類学研究所
vol.2 codoschool(こどスクール)
vol.3 Edu Coaching Lab
vol.4  EXPitch
vol.5 武蔵野らぼ & グローカルジオラボ
vol.6 授業研究ラボ「IMPULS」

 


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