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隣のアイツは何してる?~ラボインタビュー vol.4「EXPitch」

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東京学芸大学Mistletoeが取り組む新たな教育の試み、Explayground(エクスプレイグラウンド)。
Explaygroundには、子どもたちや学芸大を始めとした各大学の学生、教職員、地域住民などが参加し、今後、企業や行政などとの共同研究の核となっていく「ラボ」が多く存在します。
しかしラボにおける活動も、コロナ禍による影響を大きく受け、大幅に制限されたり活動自体を休止したりしています。
でも、何事にも学びはある。
この1年、各ラボがどのような活動を行っていたかをオンライン取材。第4回は東京学芸大学蹴球部のPRラボ「EXPitch」の山口さんに話を伺いました。

●ラボの活動内容
EXPitchの山口です。私が所属しているのは東京学芸大学蹴球部で、もちろんサッカーをしているのですが、グランドでサッカーをしているだけではなく、ピッチ外の活動にも力を入れていこうということでラボを立ち上げました。ExPitchという名前のラボになり、広報活動、審判活動、指導活動の三つを軸に活動しています。
広報活動は、SNSを使ったり、オフィシャルマガジンという蹴球部が発行している広報誌を地域の皆さんに配布したり、ネットショップを通じてお届けしています。審判活動では、地域の小中高校生やシニアの方々の試合を、私たちの部員が審判として赴きその活動を支えるといったことをしています。
指導活動も同じように、地域のサッカークラブに部員がいき、サッカーの知識や技術を教えているという形になります。
また地域の飲食店や病院、自動車教習所などに私達が発行している広報誌の広告スポンサーになっていただき、活動のサポートをしてもらっています。

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●Explaygroundのラボに参加した理由
お金が絡む課外活動はできないという大学のルールがあります。
しかし、より充実した課外活動をしていく際には、やはりお金にまつわる課題が大きかったことと、課外活動という枠組みの中で、地域や企業の皆さんと何かやってくとなると、その活動の節々で障壁となるものがたくさん出てきてしまいます。
そういったものに不自由することなく、僕たちの活動を発展させていき、地域を盛り上げていくためにはと考えた時、ラボという形でExplaygroundに参加させていただくことによって、充実した活動ができるのではないかなというふうに考えた次第です。
実際にラボとして参加してみて、かなり不自由なく活動はできていると私自身は感じています。
ラボ活動の障壁になっているものは、現時点ではそこまでないんですけれども、しいて言うのであれば、活動していく上で許可を得るべき境目が自分自身では判断つきにくいと感じています。
私の場合は、新しい取り組みをする際に顧問の先生と金子先生には必ず連絡を入れているのですが、先生方の負担を考えると、ある程度マニュアルみたいのがあればお互いスムーズなのではと考えております。

●コロナ禍での活動
例えば、従来であれば地域の清掃活動に参加するなど、対面で自分たちにできることをやっていたのですが、対面の活動が殆どできなくなってしまったので活動幅が小さく縮まってしまったと感じています。
その一方、ネットショップを通じた販売などは、コロナ禍ならではの取り組みだと思います。
従来ならば、試合会場で直接販売する形をとったと思うんですけれども、会場に足を運べない方々にもネットを通じて届けることができたので、そういった意味ではコロナ禍における学びとなったかなと感じています。

●蹴球部員でラボ活動に参加している人
蹴球部員は1学年に20人から25人程度おり、4学年合計で100名近い部員で活動しています。この部員の半数以上が指導部、審判部、広報部、技術部のいずれかに入っており、4つある部署のうち3つが指導・審判・広報になりますので、技術部を除く3つの部署に属する部員がラボ活動に参加しています。

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●個人的な興味
私自身は元々、入部した時から指導部に入っていました。入部後、歴代の先輩方が取り組まれてきた広報活動に魅力を感じてきていたなか、兼務で広報部にも関わるようになり、そこから非常に楽しく活動させていただいています。
私は昔から何か新しいことに取り組むことが好きで、既存の枠にとらわれないというか、まだ誰もやってないところに対して飛び込んでいきたいという思いがあります。これはExplaygroundの趣旨にも合致しているのかなというふうに感じています。広報活動は、発信した情報に対して相手から反応が返ってくることに、一番やりがいを感じています。
例えばコロナ禍の影響で、試合の観戦を控えて頂いていた際、YouTubeで実況配信を実施しました。そして試合後にGoogleフォームのアンケートを使ってファンの方々から意見をもらったのですが、楽しかったなど感謝の言葉を頂いた際、やっぱりやっていて良かったなあと思いました。そしてその後、もっとこうしたらうまくいくんじゃないかみたいな話も皆から出てきたので、広報活動を続けてきて楽しいなと思っています。

●これからやりたいこと
現在発行している広報誌は販売という形で配布しています。この広報誌を、もう少しスポンサーの方々から協力を得られたらフリーペーパー化して発行部数も増やし、地域の方々に無料配布したいと考えております。
そのためには新しい関係性を作るという部分、新規の営業先を増やしていかなければならないのと、関係性を更に深くしていく部分、これまでに支援して下さった企業の方々とのつながりを、持続的な取り組みとしてさらに大切にしていきたいと思っています。

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●組織運営
現在、1年生はまだ入部していないので、2、3、4の三学年で活動していますが、やっていく中での学びが多くあるので活動しながら色々進めている形になっています。
広報部は、広報誌を担当する班や、スポンサーを集める班、SNSで実況する班など複数の班に分かれています。それぞれの班にはリーダーがいるのですが、必ずしも新4年というわけではなく、新3年が主体的に動いている班もあります。上級生が色々と教えるではなく、活動していくなかで自然と成長してもらうような形になっている雰囲気があるので、下級生も伸びていくのだなと感じています。自分の役割についても期待値が高い後輩がいるので、来年は任せたいと思っています。
昨年は半年ほど活動しにくい時期が続いたのですが、オンラインでできることは進めていました。チームのトレーニングも週一では必ず全員で集まってやるようにしていました。また僕が所属するスポンサー獲得を目指した班も、オンラインでコミュニケーションを取りながら週一、週二ぐらいで活動していました。対面の活動はできないけど止めることはなかったので、この点に関してはあまり問題としては捉えてはないですね。

広報部など部活動に対する姿勢の差は正直、個人差がかなりあると思っています。しかし部に所属しているのは、そもそもサッカーを第一に行うためでありますので、やりたい人だけでよいという訳ではなく、基本的に全員がピッチ外の活動にも取り組むようにしています。そのなかでどの程度のレベルで取り組むかっていうのは、個人の判断に委ねている部分はあります。
難しいのが、広報活動とかピッチ外の活動に力を入れ過ぎてサッカーがおろそかになるっていうのが一番チームとしてもよくないことだと思っていますので、「第一はサッカー」っていう部分は、全員の共通認識として取り組んでいる形になります。

●広報活動でメッセージを届けたい相手
難しいですね。一つだけじゃないと思うのですが、まずは自分たち選手の保護者やOBという、より近い存在が一つ。日頃応援して下さっている地域の飲食店の方々が一つ。今年からは、更に広報活動をがんばりたいなと思うのが、私達の部活のことを知らない地域に住んでいる方々にフォーカスを当ててファンになっていただくことを目標に追加して活動しています。
私自身、トップチームとして試合に出てないので、公式戦などをピッチ外から見ていて勇気をもらえたり、感動する場面もあったり、逆に悔しい場面もあったりと、普段の生活に喜びというのが感じられるので、こういった喜びをまだ知らない方々に届けていきたいっていうところが広報活動の原点だと思います。

●他の部活広報との情報交換
全くないですね。部活同士のつながりっていうのは、私たちの大学自体あまり強くないと思うので、ここは課題なのかなと感じます。

●先端技術の応用
私たちの部活には体育科の学生が多く在籍していますので、それぞれの研究室でそういった活動をして論文化したりしているのではないかなと思います。チームとして企業や研究所とのコラボは、現時点ではまだ考えてないですね。チームとして企業や研究所とのコラボは、現時点ではまだ考えてないですね。ただスカウティングや戦術の面を担当している技術部が、監督などと話してチームが勝っていくために本当に必要なのであれば、ちょっと考えていきたいなと思います。

●教育との関連
教育実習とか個人的なアルバイトでしか接することの出来ない年代、地域の小学生や幼稚園児とサッカースクールを通じて普段から接する環境があることは非常に大きいと感じております。
指導に関しましても、学生が一人でやるのではなくて、例えば地域のサッカークラブなら、プロの指導員の方々といっしょに教えるということで、学生自身も指導しながらいろんなノウハウを学べる環境があります。その点に関してはかなりいい環境なのではないかなと思っております。

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●Explaygroundに期待すること
私自身というか蹴球部自身、ラボに加入してそんなに時間が経っていないので、正直、右も左も分からない状況です。
しかしインタビューを通じてコミュニケーションをとっていくなかで、新しい気付きがありましたので、私だけじゃなくて他の部員とも定期的に何かできればいいなと感じています。
あと蹴球部員自身、これまでも広報活動をしておりExPitchを立ち上げたからといって何かが変わるわけではないので、ExPitchとはどういうものかとか、Explaygroundがどういったものなのかを、もっと部員自身に知ってもらいたいという思いは強いです。

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インタビュアー:フジムー、ジンズー、ミーコ
編集:フジムー、ミーコ
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●過去記事
vol.1 変人類学研究所
vol.2 codoschool(こどスクール)
vol.3 Edu Coaching Lab


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