Hiroo Kobayashi

遠くでも、近くでも、心に響く鉄道風景を求めて。日常の中に真実があると信じて、丁寧に向き…

Hiroo Kobayashi

遠くでも、近くでも、心に響く鉄道風景を求めて。日常の中に真実があると信じて、丁寧に向き合いたい。

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はじめに

大学生だった1980年代、国鉄が解体される前後の時期を北海道への旅に費やしました。小さい頃からの憧れだった「原野風景」を天北線に見出して、ずっと沿線に引きこもって過…

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台湾の客車急行を追って #9

台南で501次を見送ると、午後の554次まで時間がある。今日は土曜日ということで旧新営糖廠(砂糖工場)の「五分車」を見に行く。台南から30分ちょっとの新営駅を出て、台南…

Hiroo Kobayashi
2週間前

台湾の客車急行を追って #8

23時をまわって彰化駅近くのホテルに投宿。すぐ横の深夜までやっているローカル食堂で遅い夕食を摂る。台湾の食堂は1品の量が少なめで助かる。足りなければ追加すればいい…

Hiroo Kobayashi
2週間前

台湾の客車急行を追って #7

台東では2時間弱で折り返し。街外れに新駅ができていて、市街地まで行く時間がない。仕方なく、駅構内の点心とコンビニのビールで一服してから、653次彰化行きに乗る。こ…

Hiroo Kobayashi
1か月前
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台湾の客車急行を追って #6

深夜1時をまわり、花蓮駅を出て近くのホテルにチェックイン。駅前のコンビニでおにぎりを買って部屋で食べる。翌朝も早いので、早々に就寝。ようやく長い一日が終わる。 …

Hiroo Kobayashi
1か月前
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台湾の客車急行を追って #5

宜蘭を11分後に出る特急「普悠瑪(プユマ)」256次に乗ると、終点の花蓮に日付が変わって017着。蘇澳新で554次を追い抜いていて、048着の列車をホームで待つ。到着は1番線で…

Hiroo Kobayashi
4か月前
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台湾の客車急行を追って #4

彰化で554次を見送って、後発の1736発の区間快車に乗る。この先、海線と台中を通る山線に分岐して「莒光」は海線を進み、区間快車は山線へ。区間快車は通勤電車だが、この…

Hiroo Kobayashi
4か月前
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台湾の客車急行を追って #3

「莒光」は、本線系の全ての区間で運転されてはいるが、すでに上下12列車が残るだけとなっている。それとは別に、週末には潮州~台東に1往復の夜行列車が運行されている。…

Hiroo Kobayashi
4か月前
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台湾の客車急行を追って #2

桃園の空港からメトロに乗って高鐵桃園駅へ。この区間も以前はバスだったので、かなり便利になった。メトロは、さらに台鉄桃園駅に向けて工事中のようだ。ここから、いわゆ…

Hiroo Kobayashi
4か月前
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台湾の客車急行を追って #1

2019年12月にインドを旅して以来、はや4年が経過した。インドから帰ってきて、次は春までに台湾に行くつもりだった。「莒光」という名前の(たぶん)急行が客車で残ってい…

Hiroo Kobayashi
4か月前
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写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります #4

夏に東京ピクトリコで開催した写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」を大阪でも開催することになりました。南森町アートギャラリーMAGにて10月19日(木)から24日(火)まで開…

Hiroo Kobayashi
7か月前
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写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります #3

夏に東京ピクトリコで開催した写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」を大阪でも開催することになりました。南森町アートギャラリーMAGにて10月19日(木)から24日(火)まで開…

Hiroo Kobayashi
7か月前
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写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります#2

夏に東京ピクトリコで開催した写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」を大阪でも開催することになりました。南森町アートギャラリーMAGにて10月19日(木)から24日(火)まで開…

Hiroo Kobayashi
7か月前

写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」やります(大阪編)#1

夏に東京ピクトリコで開催した写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」を大阪でも開催することになりました。南森町アートギャラリーMAGにて10月19日(木)から24日(火)まで開…

Hiroo Kobayashi
7か月前
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ヒマラヤのナローゲージ(KANGRA VALLEY RAILWAY #2)

KANGRA VALLEY RAILWAY(カングラ渓谷鉄道)はインド北部ヒマーチャルプラデシュ州を走る軌間762mmのナローゲージ鉄道。起点のPathankotはパンジャブ州にあり、ジャンム…

Hiroo Kobayashi
7か月前
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ヒマラヤのナローゲージ(KANGRA VALLEY RAILWAY #1)

ヒマラヤの麓を走るナローがあることに気づいたのはいつのことだったか?蒸気機関車でないテーマを求めて、旅の目的地を時折ぼんやり考えていた。 だいたいいつも行先はひ…

Hiroo Kobayashi
7か月前
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はじめに

はじめに

大学生だった1980年代、国鉄が解体される前後の時期を北海道への旅に費やしました。小さい頃からの憧れだった「原野風景」を天北線に見出して、ずっと沿線に引きこもって過ごしていました。

就職した1990年代、北の大地から海外へ目を向けて蒸気機関車を訪ね歩きました。中国をベースにアジア、南米、ヨーロッパなどの現役蒸機の最後に間に合い、幸せな10年を過ごしました。

家族ができた2000年代、目線を足元

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台湾の客車急行を追って #9

台湾の客車急行を追って #9

台南で501次を見送ると、午後の554次まで時間がある。今日は土曜日ということで旧新営糖廠(砂糖工場)の「五分車」を見に行く。台南から30分ちょっとの新営駅を出て、台南方向に少し歩くとナローの線路が敷かれている。

もともとこの先のヤード・機関区のあるところから郊外へDL牽引の観光列車が走っていたが、その区間は運休中。逆に台鉄駅側に延伸(復旧)して1kmくらいの短い区間を週末に運行中とのこと。

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台湾の客車急行を追って #8

台湾の客車急行を追って #8

23時をまわって彰化駅近くのホテルに投宿。すぐ横の深夜までやっているローカル食堂で遅い夕食を摂る。台湾の食堂は1品の量が少なめで助かる。足りなければ追加すればいいし、二人で何種類かの料理を気軽に試すこともできる。

3日目の朝。今日で乗り鉄は完了の予定。気合を入れて501発の区間車で出発する。まずは夜明け前のブルーな時間を目指して二水駅へ。普通の駅撮りではあるが、501次を一番好きな時間帯を押さえ

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台湾の客車急行を追って #7

台湾の客車急行を追って #7

台東では2時間弱で折り返し。街外れに新駅ができていて、市街地まで行く時間がない。仕方なく、駅構内の点心とコンビニのビールで一服してから、653次彰化行きに乗る。この列車は彰化まで10時間以上のロングランとなる。

花蓮まで乗車して後続の自強で羅東へ、さらに区間車に乗り換え頭城へ。台東から花蓮までは晴れていたが、海沿いの険しい区間を抜けて宜蘭平野に出ると雨だった。台湾は小さいイメージだが、エリアごと

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台湾の客車急行を追って #6

台湾の客車急行を追って #6

深夜1時をまわり、花蓮駅を出て近くのホテルにチェックイン。駅前のコンビニでおにぎりを買って部屋で食べる。翌朝も早いので、早々に就寝。ようやく長い一日が終わる。

翌朝は花蓮635発で台東まで乗車。昨日の花蓮行きの編成がそのまま充当される。花蓮から先は広い谷に広がる田園地帯を進んでいく。白い石でできた川幅の広い河原を何度も渡る。

小さな駅でも荷物の積み下ろしがあり、係員がホームで待機している。量的

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台湾の客車急行を追って #5

台湾の客車急行を追って #5

宜蘭を11分後に出る特急「普悠瑪(プユマ)」256次に乗ると、終点の花蓮に日付が変わって017着。蘇澳新で554次を追い抜いていて、048着の列車をホームで待つ。到着は1番線で、荷物扱いの事務所が隣接している。

誰もいない深夜のホームで待っていると、荷物扱いの係員が話かけてきた。本日の最終列車でこの後接続列車は無いからだと思うが、荷物車の写真を撮りたいと(なんとなく)伝えると理解してくれたようだ

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台湾の客車急行を追って #4

台湾の客車急行を追って #4

彰化で554次を見送って、後発の1736発の区間快車に乗る。この先、海線と台中を通る山線に分岐して「莒光」は海線を進み、区間快車は山線へ。区間快車は通勤電車だが、この区間で「莒光」を追い抜いて、新竹に1904着。16分の先着となる。

新竹駅は日本統治時代の駅舎が健在で、その塔のような部分がライトアップされていた。明るい時間に駅舎もじっくり撮ってみたいものだ。ここで編成写真を押さえておく。電気機関

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台湾の客車急行を追って #3

台湾の客車急行を追って #3

「莒光」は、本線系の全ての区間で運転されてはいるが、すでに上下12列車が残るだけとなっている。それとは別に、週末には潮州~台東に1往復の夜行列車が運行されている。

「莒光」の一部列車には荷物車が連結されていて、台湾でも最後の荷物の取り扱いが行われている。潮州554次花蓮ヨ602次台東653次彰化ヨ501次潮州で青い荷物車2両が554次~602次の機次にて運用されている。

今回の旅ではまずこの荷

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台湾の客車急行を追って #2

台湾の客車急行を追って #2

桃園の空港からメトロに乗って高鐵桃園駅へ。この区間も以前はバスだったので、かなり便利になった。メトロは、さらに台鉄桃園駅に向けて工事中のようだ。ここから、いわゆる「新幹線」で台中までワープする。

新幹線=高鐵は在来線=台鉄と必ずしも接続しておらず、乗り継ぎがしにくい駅もあるが、高鐵台中駅は台鉄新烏日駅と接している。ここでTR Passという台鉄全線乗り放題のチケットを購入する。

TRパスは、特

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台湾の客車急行を追って #1

台湾の客車急行を追って #1

2019年12月にインドを旅して以来、はや4年が経過した。インドから帰ってきて、次は春までに台湾に行くつもりだった。「莒光」という名前の(たぶん)急行が客車で残っていて、ずっと気になっていた。

日本ではもう絶滅してしまったが、世界では客車の優等列車は今でも珍しくない。中国大陸は高速電車化が進みつつも客車列車も健在であるし、ベトナムやタイ、ミャンマーなどの東南アジアでも客車が主流である。

台湾で

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写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります #4

写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります #4

夏に東京ピクトリコで開催した写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」を大阪でも開催することになりました。南森町アートギャラリーMAGにて10月19日(木)から24日(火)まで開催します。プリントをぜひ見にきていただければ幸いです。
無事本日よりスタートしました。

素敵な駅舎やホーム上の構造物が無数に存在する富山地鉄。分岐駅である寺田にも立派なホーム上屋がある。3番線側には木造でデル

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写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります #3

写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります #3

夏に東京ピクトリコで開催した写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」を大阪でも開催することになりました。南森町アートギャラリーMAGにて10月19日(木)から24日(火)まで開催します。プリントをぜひ見にきていただければ幸いです。

もう1枚南海の写真を出展。住吉東駅はなんばから最初の待避線のある駅。構内すぐに踏切があり、停車中の電車と通行人を絡められる場所である。何度か行くうちに雨

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写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります#2

写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」(大阪編)やります#2

夏に東京ピクトリコで開催した写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」を大阪でも開催することになりました。南森町アートギャラリーMAGにて10月19日(木)から24日(火)まで開催します。プリントをぜひ見にきていただければ幸いです。

いま、復刻カラーで話題の南海6000系。ステンレスの無骨なボディだが、顔や裾には曲線が用いられ、こだわったデザインであることがわかる。本当にロングライフ

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写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」やります(大阪編)#1

写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」やります(大阪編)#1

夏に東京ピクトリコで開催した写真展「M monochrom × SL2-Sの視点」を大阪でも開催することになりました。南森町アートギャラリーMAGにて10月19日(木)から24日(火)まで開催します。プリントをぜひ見にきていただければ幸いです。

かつては自分の全てだった北海道。すっかり足が遠のいていたが、キハ40が3月のダイヤ改定で引退との話しを聞き、久しぶりに渡道(という言葉も懐かしい響きだ)

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ヒマラヤのナローゲージ(KANGRA VALLEY RAILWAY #2)

ヒマラヤのナローゲージ(KANGRA VALLEY RAILWAY #2)

KANGRA VALLEY RAILWAY(カングラ渓谷鉄道)はインド北部ヒマーチャルプラデシュ州を走る軌間762mmのナローゲージ鉄道。起点のPathankotはパンジャブ州にあり、ジャンムーからスリナガル(未開通)方面へ向かう路線上にある。

機関庫訪問の後、ローカルな食堂でカレーの朝食。カレーの日々が始まる。今回は運転手付きの車を手配しているので、オーダーに悩むことはないのだが、選択肢はカレ

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ヒマラヤのナローゲージ(KANGRA VALLEY RAILWAY #1)

ヒマラヤのナローゲージ(KANGRA VALLEY RAILWAY #1)

ヒマラヤの麓を走るナローがあることに気づいたのはいつのことだったか?蒸気機関車でないテーマを求めて、旅の目的地を時折ぼんやり考えていた。
だいたいいつも行先はひらめくもので、この時もそうだった。

2019年11月、コロナのことはまだ露知らず、インドへ旅立った。インドはダージリンに行って以来、20年以上ぶり。JALの直行便でデリーに着いて、迎えの車で市内へ入る。街の雰囲気は、カオスではないがやはり

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