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出雲を走る

 2014年7月,自転車を担いで出雲へ。使ったのはJRの「山陰めぐりパス50」2泊3日で,鳥取から出雲,倉敷を巡る。

 1日目の鳥取,白兎神社への旅は,因幡の白うさぎの地は恋人の聖地になっていた に書いた。

 出雲を訪れるのはこれで3回目。
 1回目は松江から一畑電車で出雲へ。その時の様子は,出雲大社2拝4拍の謎 に書いた。
 2回目は岡山から高速バスを使い,松江でレンタカーを借りて,八重垣神社,熊野大社,須我神社を経由して奥出雲へ。ゆかり庵(稲田神社)で蕎麦を食べ,鬼の舌震を見て松江に帰った。その時の様子は,出雲,素盞嗚尊と奇稲田姫ゆかりの神社を巡る に書いた。
 そして,これが3回目。主な目的は,奥出雲の鉄穴流しあとの棚田を眺めることだった。これについても,奥出雲鉄穴流しあとの棚田を眺める に書いたし,その前日のことも この世とあの世の境 黄泉の比良坂 に書いたが,いずれも断片的だったので,ここでもう少し詳しく書くことにした。

 出発は、松江から2駅鳥取側の揖屋駅。

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まず、揖屋(いや)神社へ。意外に近かった。
祭神は,伊弉冉命,大巳貴命,少彦名命,事代主命。いずれも出雲の主要神。興味を引くのは,本殿が出雲大社と同じ大社造だが,向きが出雲大社と反対側ということ。古事記にもある古社。

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ここにも「式年遷宮」があり,出雲国造がつとめている。

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神社の脇に 夜見路庵 がある。昭和59年に青経会が桜の名所を作ろうと植樹し,吾妻屋を建てたという。この付近には以前意東へ越える古路があり,その道を夜見路庵越と呼んだり,近くの谷を夜見路谷と呼んだという。夜見路は黄泉路だ。

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 この先,道が続いている。黄泉比良坂まで続いているのだろうとは思うが,自転車なのでこの道はパス。
 このあと,八雲立つ風土記の丘まで,7kmほどを自転車で行く。田園地帯を走る。

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この先,六所神社,真名井神社,八雲立つ風土記の丘,神魂神社については,この世とあの世の境 黄泉の比良坂 に書いた。
 バスで松江に戻り,出雲市駅から出雲大社へタクシーで往復し(お参りだけ)、当初予定していた斐伊川を木次まで自転車でさかのぼるのもやめて(時間・体力ともなさそう)そのまま電車で出雲横田の宿へ。駅前の浪花旅館に投宿。

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実は,この少し前に,NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」で紹介されていた宿だ。当日の宿泊は私だけ。料金は安く,Wifiが使える。食事もおいしかった。
 夕食。お作りの人参は蝶々の形をしている。

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このあと,なすと吸い物も出た。

 翌朝。朝食を7:30にしてもらって、稲田神社へ。6:30から社務所を早朝開放している。近所のこどもが朝の勉強にきたりしている。

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 ここでゆかり庵の岡田さんとしばしおしゃべり。今は代替わりしている,初代の社長だ。
 宿に戻って朝食。

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 横田駅8:10のバスで追谷へ。マイクロバスで一律200円。途中の停留所の案内アナウンスがまったくない。運転手は無言。乗客は2人。途中で乗る人もなく、どんどん進む。結局終点の阿毘縁車庫前まで行った。ここから、生山駅までいくバスがある。つまりは、出雲横田から日南町の生山まで山越えのバスルートなのだ。

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あとでまた来るので、下見もかねて乗ってきたが、ここの手前が結構長い坂なので、自転車で戻るのはやめて、乗ってきたバスで戻った。まあ200円だし。
 竹崎車庫前バス停で降りて自転車を組み立てる。棚田の展望台の場所は、今朝ゆかり庵で岡田さんが教えてくれた地図がある。ちょっと迷ったけれど,展望台に到着。枕木を並べた台だ。

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棚田の風景。

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横田に戻る。
鬼神神社。この字は出雲大社宮司千家尊祀氏の書

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鬼神神社の横に、岩船大明神がある。スサノオとイソタケルが新羅から埴船(はにふね:土で作った船)に乗って船通山を越え,ここに降り立ち,その埴船が岩になったという。地下数メートルまであるとか。

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途中にあった横田八幡宮

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ゆかり庵に到着。3度目にしてやっとありつけたそば御膳。向こう側の皿にあるのはいずれも冷製の野菜料理。小鉢は、左から水ようかん、タマネギとトマトのスープ、そば湯。

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食後に神社エール(ほんと。メニューにそう書いてある)生姜がよく効いていて、シロップとの相性がいい。食後に飲むと割引。

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 出雲横田駅からふたたびバスで阿毘縁車庫前へ。
 ここから12kmの山越えで、日南町の伯備線生山駅までゆく。
阿毘縁車庫前から50mほどのところに、阿毘縁会館という公民館があった。地図には載っていない。ここでトイレに行き、準備万端。

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ここからまず2kmほど行き、右折して県道9号線をまっすぐいけば日南町のふもとへいくはず。標高は調べてあって、ほとんど下り坂。途中に1kmで標高差50mくらいの峠があるが、1kmなら歩いてもたいしたことはなかろう、という予想。いざ出発。
 昨日、10km約2時間でバテたので、今日はペース配分に注意。午前中の行程約9kmは問題なく行けて、昼ご飯も挟んで、エネルギーは十分。こまめに日陰で休んで水分を摂り熱中症に注意。上り坂は無理せず歩く。
 ギアチェンジのない小径車。坂はゆるくても漕ぎ続けるよりは歩いた方が楽。自転車が軽い(そのために選んだ8.5kg)から片手でも引けるし、よほど急な坂でなければ普通に歩くのとほとんど変わらない。標高差50mも1km歩いたかどうか、楽勝で大入峠到着。あとは下りだけだ。

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つづら折りの下り坂が続く。こまめにブレーキをかけて速度が出すぎないように注意。交通量がほとんどなく、安心して走れる。後ろから車がきたら停止してやりすごす。風を切って走るのが心地よい。そして、ふもとに到着。突き当たりを左へ行けば生山駅だ。途中、デジタルの気温表示板があった。32度。

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日南町総合文化センターで休憩。喫茶室があった。バナナケーキとアイス珈琲。ちょうど3時のおやつ。

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生山駅からは特急やくもで倉敷へ。
自転車での山越え。なかなか面白かった。