出雲大社2拝4拍の謎
下鴨神社へ行く2週間前に出雲大社に行っていた。だからこそ,下鴨神社の言社で「え?ここは出雲か?」と思ったのだろう。
出雲大社,古代史に興味を持ってから,一度は行きたいと思っていたところである。私にとっては,いまさら縁結びはどうでもよいので(実際にはその後娘の縁結びのお願いに行くことになるのだが),神話の舞台を見るための旅であった。
鳥取経由で島根に行き,松江に泊まり,翌日,松江しんじ湖温泉駅から一畑電車で出雲大社へ向かった。
一畑電車は「RAILWAYS」の舞台となった路線だ。
一畑口駅には山でもないのにスイッチバックがある。
川跡で乗り換え,出雲大社前駅まで。
途中で,ガイドが出雲大社の参拝について案内をしていた。出雲大社では拍手を2回ではなく4回するという話だ。2拝4拍1拝。ガイドはその理由を「4合わせで幸せ」と言っていたが,そんなバカな話はない。縁結びにかけたこじつけだろう。
しかし,なぜ4拍なのか,その理由も知りたくて出雲を訪れたのだが,この様子では答えは得られそうもない。
その後,Webで調べたら他にも宇佐神宮などが4拍だという。
たとえば,次のページ。
https://jpnculture.net/shihakushu/
出雲大社。その日は平日にも関わらずかなりの人出だった。ひととおり参拝して,写真を撮るのは翌日にした。
観光センターでレンタサイクルを借り,北島国造家の前を通って境外摂社・末社を回る。命主社は神皇産霊神(カミムスビ)が祭神。由緒書きには「天地万物の根本となられ,大國主大神が危難に遭われた際には常にお護りされ国造りの大業を助成せられた」とある。神皇産霊神は天地開闢のいわば最高神の一柱。
奇妙なことに,ここにいた10分ほどの間時計がとまった。10分だけ時計が遅れたのだ。「ここで」とは言い切れないのだが,前後を考えるとここで止まったとしか思えない。
古代出雲歴史博物館に寄り,旧国鉄大社駅へ。駅舎はしっかり保存されている。
ホームにはD51
大社方面へ戻る。
宇迦橋の大鳥居。出雲大社の一の鳥居だ。一畑電車の出雲大社前駅はここより大社寄りのところになる。
観光センターでレンタサイクルを返し,バスで20分、日御碕神社まで行ってみた。
正面が日沈宮(ひしずみのみや)祭神は天照大神。
反対側にあるのが神の宮で祭神は素盞嗚尊である。
ところで,日沈宮が下宮,神の宮が上宮となっている。姉のアマテラスが下で弟のスサノオが上? しかも,アマテラスが「日沈み」?
出雲の観光ガイドの,日御碕神社のWebページには,
「【伊勢大神宮は日の本の昼の守り、出雲の日御碕清江の浜に日沈宮を建て日の本の夜を守らん】(訳:伊勢神宮が「日の本の昼を守る」のに対し、日御碕神社は「日の本の夜を守る」)との神勅により祀ったのが始まりと言われています。」
と書かれている。
また,スサノオについては,
「出雲の国造りをしたスサノオが、根の国(黄泉国)より「吾が神魂はこの柏葉の止まる所に住まん」と柏の葉を投げて占ったところ、柏葉は風に舞いこの神社背後の「隠ヶ丘」に止まったということです。」
とある。
浜まで出て,経島(ふみしま)も眺めた。天照大神が日御碕神社に祀られる以前に鎮座されていたという小さな島で,一般人は立ち入りができない。
バスで稲佐浜に戻り,近くの民宿に宿を取った。稲佐浜は国譲りの舞台である。弁天島へ行ってみた。
観光用の写真だと,きれいな渚に立っているのだが,天候の関係かごみがいっぱい打ち寄せていた。常にきれいに管理する,というものでもないようだ。
翌朝,早朝に出雲大社まで行った。この時間なら人も少ないだろうと思ったが,やはり人影はまばら。写真を撮るのにもよいが,何といっても神社の厳かさを感じさせる。
八足門の前にある3つの円は,2000年に発掘された宇豆柱のあとだ。この発掘により,出雲大社の本殿は高が16丈(約48m)あったという社伝の通り,巨大な社だったことがわかり,その想像図や模型が古代出雲歴史博物館に展示されている。
宿に戻って朝食をとり,4度目の参拝(昼,夕,早朝,今回)に向かう。
稲佐浜からの途中にいくつかの末社がある。日御碕と同様,下の宮の祭神が天照大神,上の宮の祭神が素盞嗚尊と八百萬神になっている。下の宮は小さな社だが,上の宮は立派なたたずまいだ。
もうひとつは大歳社で祭神は大歳神(素盞嗚尊の子で田畑の守護神)。これも小さい社。
少し進んで,八大荒神社がある。祭神は玉依姫命(海の神)。ここから上がっていくと奉納山公園があり,展望台から稲佐浜方面が見渡せる。これが志羅紀(新羅)から土地を引いてきたという国引きの舞台だ。
4度目の参拝時には観光客も来ていたが,宝物殿の前ではすでに発掘作業が始まっていた。祭祀関連の遺物を探していたのだろう。
出雲大社にちょっと来たぐらいで,4拍手などのいろいろな謎が解けるわけではない。しかし,とにかく現地へ行ってみないと。単なる古代史マニアなだけだが,その土地に行って,その空気に触れてみたいと思うのである。