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人事労務室の会話から#2 「残業手当の割増率ちゃんと変更した?」

上司さん「残業手当の割増率が変わったけど、給与計算ちゃんとしてるよね?」

部下くん「最近は、60時間以上残業してる人はいません」

給与計算担当者にとってはもはや古い情報ですが、
2023年4月より、中小企業でも月60時間を超えた時間外労働は
50%の割増賃金率
に変更となりました。(今までは25%でした)

働く方にとっては、企業が長時間労働を減らす取り組みに力を入れるきっかけとなり、良い情報かと思います。

例えば・・・
時給2000円の方が月曜日から金曜日まで(日数を22と仮定)毎日11時間働いたとします。
11時間ということは、毎日3時間、時間外労働(わかりやすく残業と書きます)をしているということ。
3時間×22日=66時間 ひと月で残業していると

今までの割増率では、
66×(2000×1.25)=165,000円 だった残業代。
4月以降は、
60×(2000×1.25)+6×(2000×1.5)168,000円
こんなふうに、計算式がかわり手当も増えます。

部下くん「来月は営業部の繁忙期なので、休日出勤が増えて計算大変そうです、、」

上司さん「休日手当は変わらないでしょ?」

部下くん「法定休日か法定外休日かで、計算変わってくるんです」

今回の割増率の改正、60時間を超えた分だけ変更すればよいだけだから単純に見えますよね。実は、休日出勤が多いとちょっと要注意なんです。

土日休みの会社では、土曜に出勤するにも、日曜に出勤するにも、労働者としては同じ休日出勤という認識の方も多いでしょう。

この「休日」には、『法定休日』と『法定外休日』が存在します。
『法定休日』は、労働基準法が定めている「1週に1日以上の休日」または「4週4日以上の休日」 のこと
『法定外休日』は、法定休日以外のお休みの日のこと、つまり会社が自由に設定しているお休み です。

ここからややこしいのですが、改正後は『法定外休日』に働いた時間は、ボーダーとなる「残業時間60時間」に含めなければいけないのです。

時間外労働の割増率

つまりこんな感じです。ややこしさ、伝わりますでしょうか。

部下くん「うちって法定休日、曜日で決まってましたっけ?」

上司さん「就業規則確認してみよう」

就業規則がすぐに確認できる方は、休日についてのページをちょっと確認してみてください。

就業規則(休日)の例

こんな記載になっていませんか?
よくある休日の記載なのですが、実はこれだと法定休日が定まっていません。
労働基準法が認める法定休日は週に一日だけなので、土日の両方を法定休日にすることはできず、「①土曜日及び日曜日」のいずれかは、法定外休日になります。

土曜日と日曜日に働く社員が混在した場合、
『この休日出勤は、上のグラフの、左に乗せるの?右に乗せるの?』
と判断が難しくなります。

法定休日とか法定外休日とか、要は会社が休みの日でしょ?
と思われていた方々も、分けておく必要性があるんだなーと思ってもらえたらうれしいです。

給与担当者の方々は、うっかり残業代未払い問題!なんてことにならないよう、計算頑張りましょう。。。
そして、法定休日の曜日は早めに決めてもらいましょう。

おそるおそる就業規則をめくる、部下くん。はたして、運命やいかに!!

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