【読書レビュー】朝井リョウ『何者』
学生時代、だいたい大学3年生になると、多くの友人が就活をし始めた。一口に就活と言ってもその有様は人それぞれで、有名企業のインターンに参加する者もいれば、学生団体が主催する相談窓口で自分の適性を見極めている者もいた。一方で、つい最近まで一緒に朝まで浴びるように酒を飲む仲だった友人たちが、急に黒いスーツに身を包んで外向きの顔をし始めたように思え、正直そんな友人たちが私には気味が悪く思えて仕方なかった。そのとき就活とは、社会に出るためには社会が求める人物像に合わせて(程度の差はあれ