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30日間の革命 #革命編 129日

 高橋が出ていった教室には更なる重たい空気がのしかかった。高橋のあの言葉には何の意味があるのか。

 「変わらないということならそれも良い。いや、むしろ最初からそれが正解だったんだ」

 坂本の停学と、高橋の言う「変わる」こと。この意味を理解している生徒はいなかった。ただ一人、加賀を除いて。

加賀は一人考えていた。高橋が自分たちに何を訴えかけ、何を考えさせようとしていたのか。高橋の言う”変わること”。それは”革命”のことではないのか。そんなことを考え始めていた。クラス会も終わり重たい空気の中、ぱらぱらと席を立ち始めるクラスメイトたち。加賀は一点を見つめ、そのことだけを考えていた。

 すると、

 「……セト、大丈夫?」

 と江藤が話しかけてきた。加賀は変わらず一点を見つめながら、

 「うん、大丈夫」

 と言葉短く答えた。

 「先生も何だったんだろうね。急にあんなに怒りだして。どっちかって言うと、怒りたいのはこっちの方じゃない? 急に小春が停学になって混乱しているのに、代役を立てろーとか、何か意見はないのかーとか。そんなすぐに頭が整理できるかっての」

 江藤は自分の髪を指で巻きながら、愚痴のようにそう話した。

 「……いや、先生があんなに感情を出していたのは何かを訴えたかったんだと思うよ」

 「え?」

 先ほどまでぼーっとしている様子だった加賀が、急にしっかりとした話し方に変わったので、江藤は思わず驚いた。

 「実はさ、俺見ちゃったんだよ。先週の放課後、小春と先生が二人で何かを話していたのを。多分停学についての話だったと思うんだけど、それ以外にも何か小春と話していたんだと思う。もしかしたら、小春から何かメッセージを預かっていたのかも」

 「え、何それ? どういうこと?」

 「……これはあくまで俺の想像だけど、もしかしたら高橋先生は革命について賛成していたんじゃないかな。でも、学校から小春に対して停学処分が下ってしまった。だから、最後に小春と一対一で話をしたんだ。それで、小春から俺たちに向けてメッセージを預かった。でも、俺たちは意気消沈しているだけで、何も行動を起こそうとしないし意見も言わない。小春がいなくなったってだけで、革命のことも忘れてしまっている。そんな状態に呆れちゃったんじゃないかなって思ったんだ」

 加賀の話を聞いて江藤は更に驚いていた。さっきの高橋の話から、そこまでは決して想像できなかった。なので、加賀の言うことは全く理解できなかった。

 「え、何それ? ごめん、全然わからないんだけど」

 しかし、加賀はもう止まらなかった。

 「……俺ちょっと先生のところ行ってくる!」

 「え? ちょっと! セト!」

 加賀はそのまま教室を出ていった。

▼30日間の革命 第一部
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