30日間の革命 #革命編 28日目

 坂本は笑顔で答えた。担任の高橋を巻き込むということを。加賀の嫌な予感は的中していた。

 「ちょっと待って。高橋先生はだめだよ。絶対革命なんて賛成するわけないよ」

 加賀は坂本の案に真っ向から反対した。それもそのはず。加賀自身、進路を決めるための面談で高橋と衝突していたからだった。加賀は、進学も就職もせず、世界を旅したいという進路を選択しようとしていた。それを面談で高橋へと打ち明けたのだったが、大反対。加賀の意見は全く聞き入れず、進学もしくは就職を強く進められた。そして、未だに高橋を説得できずにいたので、革命なんて話をした日には、それこそ退学にでもなるのではないかと思うほどだった。

 「今日はやけに反対するわね。何でそんなに反対なの?」

 坂本はいつになく強めに反対意見を述べる加賀を不思議そうに見つめた。

 「そりゃ反対するよ。高橋先生ってさ、特殊なこととか新しいこととかを結構嫌うんだよ。『こうあるべきだ』っていう考えを強く持っていて、絶対折れないよ。そのことは俺が一番知ってる。何たって再面談したくらいだからね」

 加賀は自信満々に答えた。

 「セトの考えた進路を猛反対されたってやつね」

 「そうそれ。だから絶対革命なんて起こさないよ。俺たちが進学していい企業に就職することが一番だって考えてるからね。先生を革命派に誘うことはまあ理解できるけど、高橋先生は無理。もっと落としやすそうな先生にしようよ」

 加賀の提案に坂本は少し表情を変えた。

 「……無理って決めつけるのはどうかしら。もちろんセト自身が高橋先生の性格とかを目の当たりにしているから、難しいって思うことはしょうがないけど、それでも決めるけるのはまだ早いと思うよ。だって、江藤さんだって変えることが出来たんだよ。それに、もし高橋先生をここで味方につけられれば、セトの進路のことだって納得してくれるかもしれないじゃない。まだ諦めるのは早いと思わない?」

 坂本の言葉に加賀は少し悩んでいる様子。

 「……そりゃそうだけどさ、何かイメージ出来ないんだよ。高橋先生が味方についてくれる姿がさ。3年の担任をやってるからかもしれないけど、他の先生よりも特に厳しかったよ。普段はあんな感じだけど、いざ進路とかの話になったら頑固っていうか、こだわりっていうか……。とにかく絶対折れないっていう信念みたいなものを感じたんだよな」

 加賀の話を聞き、坂本は何かが引っかかっていた。

 「へー。高橋先生ってさそこら辺は柔軟な感じがしたんだけどね。私の面談のときは結構スムーズだったよ」

 「そりゃ小春だもん。高橋先生は特に小春には期待してるような感じはするんだよな。それもあって俺は反対なんだよな。小春がまだ革命を起こそうとしてるって知ったら凄い落胆して、マジで退学と停学とか言いそうだもん」

 「うーん。私はそんなことは感じないけどね」

 「小春ってさ、結構鈍感なとこあるよね」

 「?」

 坂本はきょとんとした表情を浮かべた。

 「まあ何はともあれ、まずは接触してみないことには始まらないわ。江藤さんの件もあって、今度こそ生徒会は私たちの動きを察知したはずよ。ここで止まっている時間はないわ。今度は私から高橋先生に接触してみるよ」

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