30日間の革命 #革命編 170日

 高橋は鳥越からマイクを奪うと、鳥越以上に学生へと厳しい言葉を投げかけた。むしろ、学生たちを煽るように、

 「君たちは子どもなんだ。大人の言うことに従えばそれで良い」

 ということを何度も繰り返し話した。高橋の話しに対して、学生たちの雰囲気は少しずつ変わっていく。それは、高橋の言動に対する怒りである。「自分たちは無能で何も出来ない」と言われているようで、高橋に対する敵意が学生たちの心に芽生え始めていた。その雰囲気は学生のみならず、教師たちも感じている。しかし高橋はそれに構わず更に学生たちへと言葉を投げる。

 「そもそも君ら学生に革命なんて起こせる訳ないだろ。よく見てみろ。これが現実だ。結局みんな他人任せなんだよ。革命に賛成するわけでもなく、ハッキリと反対するわけでもない。たただだ傍観者になるだけだ。だから何かあっても『私は見ていただけです』と責任を逃れる。結局みんなそうなんだよ。自分は責任を取りたくないけど、他の人が動くならそれについていくくらいの気持ちしか持ってないんだ。だから革命なんて絶対に起こせない。それが子どもだっていうことだよ。自分の責任で何もすることが出来ない。そんなんだったら、大人の言うことだけに従っておけよ。そっちの方が楽だから。何も言わず、何も考えず、言われたことだけをやってれば良いんだ。そうだろ? このまま何も変えず、明日からもいつも通りに過ごせ。それが子どもの君らにとって一番良いんだ。……ならもうこの茶番も終わりだ。みんな席につけ。もう解散するぞ」

 高橋はそう言うと、この文化祭を終わらせようとした。しかし、学生たちは動かない。それどころか、一人の学生が立ち上がった。それを見た高橋は、

 「何だ? どうしたんだよ」

 と、その学生へと話しかける。その学生は、

 「私も学校を変えたいです。先生が言うほど子どもじゃない。自分の意志を示すことくらいできます」

 と高橋に向かって言い放った。すると、その学生に続き、また一人と立ち上がる。そしてその波は広がっていき、先ほど鳥越に言われて座ってしまった学生たちも再び立ち上がっていった。

 「なんだお前らは。どういうことだ」

 高橋は次々に立ち上がっていく学生たちに向かい、再び問いかける。

 「先生の話しを聞いて、この学校を変えたいと思いました」

 「子ども子どもって、私たちのことなめないでください」

 「俺たちだって責任くらい持てるぞ。勝手に子ども扱いしてんじゃねぇぞ」

 学生たちからはそんな言葉が返ってくる。怒りと共に学生たちの気持ちは「学校を変える」という方向へと再び動き始めた。

 次々と学生たちは立ち上がっていく。その波は、先ほどまでの波とは比べ物にならないくらい大きかった。その様子を見た高橋は、

 「これはお前らの意志か? 俺に言われたから、ムカついたから立ち上がったなら今すぐに座れ。責任がとれないような行動はするな。どうなんだ?」

 と少し声を荒げながら問いかけた。しかしそれでも座ろうとする学生はおらず、次々と学生たちは立ち上がっていく。高橋は1つ大きなため息をつくと、ふと笑顔を見せた。そして、

 「加賀、これがみんなの意志だそうだ。後は任せてもいいか?」

 とステージ上にいる加賀に向かって話した。加賀は大きくうなずき、そして高橋に向かって頭を下げた。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
マガジン作成しました! 第二部はコチラからご覧ください!

takuma.o

色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!