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酒と肴を路地裏で #毎日ネタ出し13日目
【タイトル】
酒と肴を路地裏で
【あらすじ】
「俺の酒が飲めないのか」
今の時代、こんなことを言えば一発でアウトである。しかし、坂上幸次郎は飲みの席では必ず誰かに酒を注ぎそう言った。それも何杯も何杯も。
坂上幸次郎という男を語るうえで欠かせないのが、酒と人情だ。
酒にまつわる失敗は数知れず。酔っぱらって喧嘩をし相手に怪我をさせることは過去何度もあるし、居酒屋で口論となったチンピラたちにタコ殴りにあったなんてこともたくさんあった。
それでも酒は止めない。とにかく面倒な男だ。
しかし、彼の後ろには必ず人がついていく。不思議なことに、喧嘩はすれど彼を訴える人はこれまで誰一人といなかった。
「坂上は情に熱い男だ」
坂上を知る者はみんな口を揃えてそう言う。食えない若い人がいたら、誰かれ構わず飯に誘い、腹いっぱいになるまで食わせる。金に困っている奴がいれば、自分が借金してでも金を貸した。誰かがいじめられていると坂上の耳に入れば、相手が誰であれいじめる奴を殴りに行く。小学生でもヤクザでも容赦はしない。
そして、誰にいつどんな形で裏切られても、
「まあ、しゃーない。生きてりゃそんなこともある」
と笑っていた。
しかし、そんな坂上にも「令和」という時代が覆いかぶさる。
今まではその明るい性格と人情で、近所の小学生やら中学生からは人気者だった。しかし、最近では
「昼間から酒を飲み、ふらつく不審者」
として、親からは近づいてはいけない人扱いをされ、次第に子どもたちも寄り付かなくなる。
居酒屋で若い奴を見かけ、いつも通り酒を奢ろうとするも
「結構です」
とあっけなく断られる始末。
さすがの坂上も、
「嫌な時代になったなぁ」
と愚痴をこぼすほどだった。
そんな坂上の前に、一人の少女が姿を現す。坂上がいつも通り酒を飲みに居酒屋へと向かったとき、店の目の前でその少女は泣いていた。
事情を聞くと、
「親にいつも怒られ認められないから、家出してきた」
と言うのだ。坂上はその話を聞き、
「お嬢ちゃん、うちに来るか。行くとこがねぇなら、数日なら置いてやれるぞ」
と声をかけた。少女も笑顔になり、
「うん」
と元気よく答える。坂上の性格もあり、少女はすぐになついた。そうして坂上は少女を家に迎え入れたのだった。
しかし、今の時代はそれを許さない。少女を迎え入れたことで、坂上の人生は大きく転換する。
果たして坂上は「令和」の時代でも「人情」を貫くことが出来るのか。
時代に逆行した「人情男」の人生を描く。
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