古い記憶 ＃毎日ネタ出し７３日目

【タイトル】

古い記憶

【あらすじ】

私の趣味は「ゴミを集めること」だ。

ここだけ聞けばとてつもない変人に聞こえるだろう。しかし、落ち着いて聞いて欲しい。ゴミといっても一般的な家庭ごみを漁っているわけではない。いわゆる不法投棄されているゴミを回収するのだ。

それを自分で修理、改造し販売する。それで生計も立てている。しかし、目的は稼ぐことではない。あくまで趣味なのだ。

何がそんなに面白いのか。それは、捨てられているゴミには色々な物語が見てとれるからだ。修理や改造の過程でゴミを分解したり清掃したりする。その随所に「なぜこのゴミは捨てられることになったのか」を考察出来るポイントが隠れているのだ。

それを見つけ、考察するのが何よりも楽しい。時には徹夜でゴミとにらめっこしている時もある。

そうして私はまた不法投棄されているゴミを探しに近くの林へと車を走らせる。車を止め、ゴミが捨てられてそうな場所をうろうろとしてみると、すぐにゴミを見つけることができた。今日は小さいものばかり。炊飯器やポットなど数点見つけることが出来た。

それらを拾い、そろそろ車に戻ろうとしたとき、木の陰に何か置かれているのが目に入った。近寄ってみると、DVDプレイヤーと数枚のDVDが捨てられているではないか。

ゴミ収集家としてはとてもそそられる。これは観ると呪われてしまう恐怖のDVDなのか。それともいかがわしいものなのか。それとも世の中に出回ってはいけない重要な記録でも残っているのか。想像はどんどんと膨らんでいく。この手のものはトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあるので本当は持ち帰るべきではない。しかし、私は好奇心を抑えることができず全てを持ち帰ることにした。

しかし、この選択は間違っていた。やはり止めておくべきだった。

このDVDには果たして何が記録されていたのか。それは私の想像を遥に超え、国家をも揺るがすような映像が記録されていたのだった。